« February 2011 | Main

June 05, 2011

プリンセストヨトミ

東日本大震災以降、初の更新となります。最初の映画は何にしようかと迷っていたのですが、SFっぽい映画もいいかなと思い、プリンセストヨトミにしました。この映画を選んだのも、この時期ならではの理由があります。

監督:鈴木雅之
原作:万城目学
音楽:佐橋俊彦
脚本:相沢友子
出演:堤真一(松平元)、綾瀬はるか(鳥居忠子)、岡田将生(旭ゲンズブール)、沢木ルカ(橋場茶子)、森永悠希(真田大輔)、笹野高史(長曽我部)、和久井映見(真田竹子)、中井貴一(真田幸一)ほか

「着地失敗」

プリンセストヨトミ、全く先入観なくタイトルを聞いて「時代劇かな?」と思ったのですが、秀吉には娘がいない。「架空の話かな?」と思ったら、半分当たりでした。

詳しいストーリーは、他の映画サイトをご覧いただくとして、この映画には時機を得たポイントがいくつかあります。

1.日本国内全体でSFに対する免疫が低い。
国民の何分の1かが、東日本大震災という、非日常体験をしていますから、ちょっと並外れた出来事は「ひょっとしたらあるかも」と受け入れやすい土壌になっているといえます。この映画は、軽いSFですから、奇しくも時代に当てはまっているのかもしれません。

2.大阪が主体となっている。
この話、大阪府が主体の話です。東京を含めた東日本は、電力不足や震災、原発で元気がなくなっていますから、大阪が日本を支えていこうという考え方の映画なら、時代にマッチしているといえます。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
ある理由で、大阪が立ち上がる話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・4点
東京が弱っているなら、大阪が支えていかなければという話なら、時代にマッチしているが、違っていた。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・5点
大阪城からの抜け道。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・5点
大阪城からの抜け道は、都市伝説のようになっているが、それを題材にしたのは興味深い。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
会計検査院の松平が、大阪の秘密を暴こうとするところ。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
ミラクル鳥居。話をそこそこにかき混ぜていて重要な存在。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
秀頼を逃がすシーン。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・0点
泣ける要素は少ない。設定や構成次第では、感動ポイントはいくらでも作れたはずなのに、残念。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・5点
ひょうたん。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
怒りのポイントは皆無。これがあれば、もう少しパンチのある映画になっていたと思う。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(20)+技術点(30)+芸術点(18)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(77)

「F」評価(59点以下)

ここからは若干ネタばれなので、未見の方は注意して下さい。

この映画が、設定の割に見掛け倒しに終わっているのは、出発と着地が同じというところにあります。会計検査院の役人が大阪国の秘密を暴きかけたのに、結局は折れて、何事もなかったこととして終わる。松平は少しだけ心情が変わりますが、ほんの少しだけ。あとの設定は何も変わらない。これでは2時間何だったのか、となってしまいます。

震災が来るなど予想もつかなかったと思いますが、大阪国が誕生した経緯が上手い具合に嘘を並べて作り上げていた割に、大阪国が単に日本に寄生しているというのは、何とも萎縮した設定に終わって寂しい感じがします。

プリンセストヨトミという設定もそう。大阪人は父から息子に大阪国の秘密が継承されるという設定もそう。例外(松平は例外になっているのであまり批判は出来ませんが)の場合はどうするのか?とか、ひょうたんの話は女性も知っていたりとか、肝心なところで矛盾だらけ。

原作があるのでどうにもならないのは分かりますが、もうちょっと工夫すれば、面白い映画になったのにと思えてなりません。

東京が隔離されてしまう「首都消失」という映画も、その理由は謎で、出発も着地も同じです。ただし、東京がだめなら大阪が立ち上がろうとか、それなりにカタルシスがありましたが、プリンセストヨトミは、大風呂敷を広げた割に、こじんまりとまとまってしまいました。ロケは壮大だっただけに、実にもったいないです。

2011年5月29日/ワーナーマイカルシネマズ板橋
_0479

| | Comments (13) | TrackBack (0)

« February 2011 | Main