英国王のスピーチ
監督:トム・フーパー
製作総指揮:ジェフリー・ラッシュ、ティム・スミス、ポール・ブレット、マーク・フォリーニョ、ハーヴェイ・ワインスタイン、ボブ・ワインスタイン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
脚本:デヴィッド・サイドラー
出演:コリン・ファース(ジョージ6世)、ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ)、ヘレナ・ボナム=カーター(エリザベス)ほか
「優等生の映画」
英国王のスピーチです。アカデミー賞の多くの部門にノミネートされるなど話題の多い映画ですが、評判通り、万人にも勧められる優等生の映画でした。
吃音に悩まされる後の英国王、ジョージ6世と医師免許などももたないスピーチ矯正の専門家、ローグとの友情物語です。映画は予想以上にひどい吃音のジョージ6世のスピーチのシーンから始まります。これでマイナス100からのスタート。そこからどのように這い上がっていくかがポイントの映画になります。
その後の展開も期待を裏切りません。ローグがあらわれ、ジョージ6世との距離が絶妙に変化していきます。これが男女ならラブストーリーです。英国王室の私生活も垣間見えるなど観光要素も充分。最後のスピーチのシーンも感涙ポイントになるなど誰が見ても楽しめ、誰にでも勧められる素晴らしい映画です。
ストーリーも単純なので、アカデミー賞をとろうものなら後世まで語り継がれる名作になりそうです。ただし、第9地区を見た時のような衝撃はありません。強烈な悪人が登場するわけでもなく、目を覆うようなお色気シーンもなく、本当に善人の塊のような映画です。それでいて面白いのですから、レアな映画といえるでしょう。
【基礎点】
一般の洋画(15点)
・15点
【技術点】
テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
吃音に悩まされる英国王が、自身の悩みを克服して国民に愛される話。
そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
悩みの克服は、人間の永久不変のテーマ。
観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・8点
前時代の吃音の矯正法や英国王室の日常生活などが垣間見える。
観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
覗き見根性が奮い立つ。
主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
吃音の克服、英国王の座への思い、兄への嫉妬など全ては真面目な性格によるもの。
【芸術点】
印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ローグ。ジョージ6世にとって友人であり、兄であり、父であるような存在。
印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・10点
スピーチ後、テラスに立つジョージ6世一家の背中を見つめるローグのシーン。ジョージ6世のスピーチのシーンも印象的だが、ローグのこのシーンの方がこの映画の全てを物語っているように思えてくる。
泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・10点
前述のシーン。優等生の映画なので、きちんと感涙ポイントを抑えている。
笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・10点
ジョージ6世が、幼い頃の辛い思い出をスワニー川に乗せて歌うシーンは、笑えて、泣ける。
怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
この映画に悪人は出てこない。
【減点項目】
・減点なし
基礎点(15)+技術点(40)+芸術点(38)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(112)
「B」評価(100~119点)
自信をもってお勧めしたい映画です。
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