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December 19, 2010

SPACE BATTLESHIP ヤマト

監督:山崎貴
原作:西崎義展
音楽:佐藤直紀
脚本:佐藤嗣麻子
出演:木村拓哉(古代進)、黒木メイサ(森雪)、柳葉敏郎(真田志郎)、緒形直人(島大介)、西田敏行(徳川彦左衛門)、高島礼子(佐渡先生)ほか

「浮気心が糞心」

スペースバトル…面倒くさい、宇宙戦艦ヤマトの実写版です。かなり前から準備が進められていて、エリカ様騒動がなければ彼女が森雪役でとっくに完成していた映画です。噂によるとこの騒動による封切り延期がネックとなり、パチンコをはじめ周辺の会社が大打撃を受け、中には倒産した企業もあるそうです。

それだけのリスクを追いながら、さんざんな評価が多いTBSが60周年をかけて公開する映画がスペースバトル…です。世界に初挑戦するSF映画とのことですが「さよならジュピター」は?世界の挑戦した映画って、殆ど惨敗してるんじゃない?とか、さまざまな評価が飛び交う壮大なコスプレ映画、スペースバトルシップ…の評価やいかに。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・10点
美しい地球を取り戻そうと日本人が戦艦大和を再浮上させて立ち上がる話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・10点
元気のない日本を勇気付ける強烈なメッセージがこめられている。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・0点
既に陳腐化しているため評価は出来ないが、戦艦大和を再浮上させるという点は、アニメ作成当時は壮大かつ斬新なアイデアだったのだと驚かされる。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点
アニメ放映当時なら満点クラスの魅力。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
美しい地球を取り戻すため、イスカンダルのようでイスカンダルでない、ガミラスのようでガミラスでない星に向かう点は、一貫している。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
原作では確か11番惑星で拾った斎藤という太っちょの戦士を主役と絡む重要なポストに引き上げたあたりは興味深い。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・1点
ガミラスに降りてからの壮大なコスプレコント。努力は評価できるが、イスカンダルとガミラスの設定がすべてをぶち壊している。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・1点
原作では沖田艦長の死はかなりの感動があったが、実写だと後半はドタバタ劇になるので泣けなかった。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
古代進が熱くなれば熱くなるほど、生身のキムタクにしか見えないところは笑えるが、ここでは評価外。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
ガミラスが何故、地球を攻撃するのか、動機とガミラスの実態があいまいすぎる。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(20)+技術点(30)+芸術点(7)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(61)

「E」(60~69点)

実写版と原作の人物設定の違いを評価する人も多いようですが、原作でも佐渡酒造と徳川彦左衛門のキャラがかぶったり(声優も)、真田と相原が若干、かぶったりするので片方が女性でもあまり違和感はないと思いますが、問題はガミラスとイスカンダル、そして後半部分の設定。

いじる必要がありますか?

この映画、もとは沈んでいる日本をもっと活気付けようとする映画かと思っていました。原作はもともと高度経済成長がひと段落し、立ち止まったことで再び敗戦ノスタルジーに襲われ始めた日本をもう一度浮上させようと、南の海に沈んでいる戦艦大和をもう一度再浮上させようとさせた側面もあります。

戦争を経験した世代、原作に親しんだ世代、戦争も原作も知らない世代にも訴える良い機会といえるでしょう。海外の人たちがこの心理を理解できるとは思えませんが、世界に進出するのもまあ、いいでしょう。

だったら、ガミラスやイスカンダルの設定まで変える必要なないでしょう。原作はもともと件の理由でプロデューサーの故・西崎義展氏をはじめ大の大人が寄ってたかって作った話です。それをいじって意味不明なとんちにしてしまったことで、映画の魅力が完全に殺がれてしまいました。これなら宗教じみた終わり方のテレビ版エヴァンゲリヲンやリアリティ溢れる嘘の理論を散りばめたトップを狙え!の方が100倍面白いように思います。

2010年12月12日/シネプレックス新座
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December 17, 2010

武士の家計簿

監督:森田芳光製
原作:磯田道史
音楽:大島ミチル
脚本:柏田道夫
出演:堺雅人(猪山直之)、仲間由紀恵(猪山駒)、松坂慶子(猪山常)、西村雅彦(西永与三八)、草笛光子(おばばさま)ほか

「20枚シナリオ映画」

「武士の家計簿」です。巷では「ぶしかけ」と呼んだりもするようです。江戸時代の下級武士の家計、大いに気になるじゃないですか。1ヵ月どれぐらいのお金をもらって生活していたのか、どんな風に節約して家計の危機を脱したのか、多いに気になるじゃないですか。

それは転じて、赤字が膨らむ現在の国家財政や景気低迷で悲鳴をあげる現代の日本人の家計にも直結するじゃないですか。まさに時代を切り取った映画になるのかなあという印象でしたが、

張り切って映画館に行って、冒頭で誇らしげに表示されるテロップを観て、固まってしまいました。

「森田芳光監督作品」

監督に対する印象はあまり持っていないのですが、森田監督に対しては、新鮮な魚でビーフステーキを作ってしまうという先入観を抱いています。つまり、方向性がとんちんかん。

確かに「(ハル)」では、インターネット(当時はパソコン通信)を駆使した作品として先見の明があったといえますが、原作があれだけ面白かった「黒い家」を滅茶苦茶にしてくれたりとガッカリ度が高い映画監督です。

それでも次々と世に作品が生み出せるのですから、監督以外の(例えばプロデューサーとか)もっと違った方向に自分の才能を持っていけばいいのにとも思うのですが。

評価に移ります。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・2点
下級武士が家計簿をつけて苦難を乗り切る話と思いきや、この部分はほんの少し。後はうす伸ばししたような主人公の父親や息子、家族のエピソードがちりばめられており、あんこが少ない饅頭のような印象。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・2点
「苦難を乗り切る」という点で、歳入より支出が多い現在の日本の国家財政や景気低迷で困窮する家計に共通する部分があるはずなのに、タイトルに関した「武士の家計簿」などどこ吹く風で群像劇に終始してしまったのは残念。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・1点
使用人を2人抱える下級武士が、現在の貨幣価値に換算して1ヵ月どれぐらいで生活していたのかは興味のあるところ。その家がどのぐらい借金をして、どのように家計を立て直していくのかは興味のあるところだが、残念ながらこれらの期待には殆ど応えてくれない残念な映画でした。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・1点

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・6点
算盤馬鹿というところは徹底していた。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・1点
話が細かくなるが、冒頭の家族紹介に「おばばさま」とテロップを入れるのはいかがなものか。他の家族は皆、名前なのに。中途半端なら入れないほうがいい。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・2点
算盤をめぐって主人公親子が対立するシーン。ただし2つもいらないし、無事な算盤を見て「今度は守ったぞ」というセリフもいらない。何年経ってるんだ?

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
何人かの人がなくなるが、人が死ねば悲しいのは当たり前。群像劇に終始して人物描写が希薄なため、それ以前の積み重ねが感じられないのが残念。ただし松坂恵子の怪演で常の死だけはそれなりのカタルシスが感じられた。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・1点
どこか1ヵ所で笑った記憶があるが、思い出せない。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
極悪人が出ないそこそこ良い人だらけのパンチのない時代劇。

【減点項目】

筋違いのPRが行われている(-10点)
・-5点
内容に対するPRの仕方を見ると「武士の家計簿」と冠するのはやや看板に偽りあり、のような気がする。

基礎点(20)+技術点(10)+芸術点(6)×1.5-減点(5)=CinemaX指数(34)

「F」評価(59点以下)

眠くはならなくてもいまいち乗れないのは、シーンの最後を端折ったり、説明台詞が多いからかなあと思いましたが、脚本の方を見て納得しました。

「柏田道夫」

柏田氏は某シナリオ講座の超人気講師で、受け持っているゼミの「入ゼミ待ち」が半年とも1年ともいわれている方です。当人は映画の楽しみ方を教えてくれる良い専制なのですが、信者が多いのか各サイトのレビューでもベタ褒めする人が割と多いのが興味深いです。

「シナリオは省略の技術」「回想シーンは使わない」という某シナリオ講座の鉄則を用いると、こういう映画も出来るんだなあと言うお手本のような映画だと言えます。堺雅人ファンならスクリーンの大きな劇場で、そうでない方はテレビで放映されたら、ちょこっとチェックしてみるといいでしょう。

2010年12月11日/シネプレックス新座
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December 14, 2010

レオニー

監督:松井久子
音楽:ヤン・A・P・カチュマレク
脚本:松井久子
出演:エミリー・モーティマー(レオニー・ギルモア)、中村獅童(野口米次郎)、原田美枝子(津田梅子)、竹下景子(小泉セツ)ほか

「他人史」

「レオニー」です。絶対にチョイスしないタイプの映画なのですが、友人の姉がいっちょカミしているとやらで前売券を購入、観て来ました。

「レオニー」は、イサム・ノグチという、恐らく多くの人は名前を聞いたことはあってもどんな人かピンと来ない人物の母親を描いた映画です。これがさらにピンと来ない。

史実かどうか分かりませんが、津田梅子や小泉八雲の妻との交流も描かれていますが、これが逆に嘘っぽく感じられました。ただ、この部分がないとピンと来ない人達を描いた本当にピンと来ない映画になってしまいますから、調味料程度としてはいいのかもしれません。

人の生き様は興味があると思いますが、それは親しい人、あるいは有名人のものに限られるでしょう。良く分からない人の人生を見せられるとこうなるんだという要素が、この映画にはあります。

主人公のレオニー。確かに人生は波乱万丈なのですが、あまりにもストレートに話が展開するので、ただ流されているだけのようにしか思えなかったりします。

つわりを覚えて、すぐに出産シーンとか、変な咳をして、次は葬式のシーンとか。レオニーが葛藤する暇がなく話が展開してしまうところに、物足りなさを感じました。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・4点
戦前の日本を訪れた米国人女性が、日本人男性との混血児を守り、育てていく話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・2点
日本人と外国人のハーフが珍しくなくなった今、前時代の話かなあ、と思ってしまう。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・2点
明治村を駆使したであろう戦前の町並みは、それなりに雰囲気はあった。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・2点
同上。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・6点
子供達を守ろうとするところには貫通行動があるが、どこかだらしないのが気になる。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・4点
レオニーの英会話の生徒3人。この中の1人が後に出産する長女の父親なのだが。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・2点
ヨネがレオニーに妻の存在をカミングアウトするシーン。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
観客は口をあんぐりと開けて観ているだけなので、レオニーが泣いても感情がなかなか伝わらない。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
中村獅童の金太郎飴のようにワンパターンな演技は笑えるが、ここでは評価外。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・2点
ヨネがレオニーに妻の存在をカミングアウトするシーン。

【減点項目】

・減点なし。

基礎点(15点)+技術点(16点)+芸術点(10点)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(46)

「F」評価(59点以下)

レオニーの感情はさっぱり伝わって来ない映画なのですが、まがりなりにもハリウッド女優のエミリー・モーティマーが、良く分からない映画に出演するために日本に連れてこられて、ポカーンとしている雰囲気は伝わってくるような感じがしました。

2010年12月10日/シネ・リーブル池袋
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December 13, 2010

おまえうまそうだな

監督:藤森雅也
原作:宮西達也
音楽:寺嶋民哉
脚本:村上修、じんのひろあき
声の出演:原田知世(お母さん)、加藤清史郎(ウマソウ)、山口勝平(ハート)、別所哲也(片目のバクー)ほか

「境目の妙」

「おまえうまそうだな」です。予告編をみて涙した人も多いはず。

もとは絵本の話なのですが、肉食恐竜が草食恐竜のもとで育てられたらという設定でスタートします。これがこの映画の肝です。

個人的には、映画やドラマの題材に「境目」を扱うと面白くなると考えています。時代の境目、東洋と西洋の境目、男と女の境目など。例えば「北の国から」も、母親の浮気現場を見た蛍と、そうでない純との間で物事が行ったり来たりするという、境目が巧みに描かれています。

【基礎点】

アニメーション(ジブリ以外)(5点)
・5点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・6点
肉食動物と草食動物が1つ屋根の下?で生活する話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・6点
人種や国籍を超えた交流に共通する。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・0点
ない。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点
ない。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・6点
ハートは、ウマソウを守ることで、自分の幼少時を振り返る。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ウマソウ。声変わりがそう遠くない時期に訪れる、こども店長の最後の神通力か。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
駆けっこで決める、ハートとウマソウとの賭け。これが今生の別れなら10点だったのだが。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・6点
感涙ポイントは、ハートの幼少時の方が多い。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・4点
自分の名前をはじめ、ウマソウの度重なる勘違いは笑いのポイントでもある。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
この映画に真の悪人は出て来ない。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(5)+技術点(18)+芸術点(26)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(62)

「E」評価(60~69点)

「おまえうまそうだな」は「ウマソウ」が登場してからの話ですが、ハートとその兄弟(血は繋がっていない)の幼少の頃の話がずっと内容が濃かったりします。最初だけ気合を入れて、後はリラックスして鑑賞することをおすすめします。

2010年10月30日/ワーナーマイカルシネマズ板橋
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