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March 22, 2010

フローズン・リバー

監督 コートニー・ハント
製作総指揮 - 原作 -
音楽 ピーター・ゴラブ 、シャザード・イズマイリー 脚本 コートニー・ハント
メリッサ・レオ(レイ)
ミスティ・アッパム(ライラ)
チャーリー・マクダーモット(TJ)
マーク・ブーン・ジュニア(ジャック・ブルーノ)

「実力勝負」

フローズン・リバーです。単館系映画としてシネマライズ/ライズエックスにてロングラン上映中。周囲の評判がいいので観てみました。東京には単館系を上映する劇場が結構あるのですが、話題先行の劇場が多い中でシネマライズは割と骨のあるものを上映しているような気がします。

単館系映画の醍醐味は、前評判なしに作品に触れることが出来ることです。思いがけず良い作品に出会った時は「どうして大手はこういう映画に目をつけなかったんだ」と奉行にでもなったような優越感に浸ることが出来ます。

ただし一方で単館系映画は当たり外れが大きく、例えば不味いラーメン屋と同じように必然的に人口が多い地域でないと収入が成り立たないので大都市限定になってしまうというのが残念ですが、地方の方も例えば2日がかりで上京して渋谷地区を絨毯爆撃するだけでも楽しいと思います。

旅行代理店でツアーとかやるとそこそこ当たるかもしれませんね。

さて、フローズン・リバーは、その名の通り薄氷を渡るようなスリルのある映画でした。しかも演出ではなくストーリーで。観客を着かず離れずで微妙にコントロールする謎の引っ張り方も秀逸でした。俳優が絶世の美女や稀代のイケメンでもない映画なので、ストーリーで勝負するしかないのですが、その心意気に違わない出来でした。

特に何の変哲もない人が、ちょっとしたことで大きなイベントに巻き込まれていく様を上手く描いています。観光要素はネイティブアメリカンの居留区の実状と凍った川を渡れば別の国に行けるという地理的な面白さあたりでしょうか。これが何の変哲もない映画として埋もれるか、心に残る映画になるかの差だと思います。

エンディングに締まりがないのが残念でした。ここでピリッと締められていれば、メジャーな映画になったかもしれませんが、テイストとしてはこれはこれでありなのでしょう。白人とネイティブアメリカン、メジャーとマイナー、貧しさと悪などさまざまな境目を扱っている映画なのですが、面白い映画こそ境目を上手く映画描いているものが多いと思います。

評価に移ります。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
母親が家族の生活を守るため、凍った川を行き来する話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
母は強し。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・10点
日本固有の観光要素かもしれないが①ネイティブアメリカンの居留地②そこでのルール③凍った川を渡れば別の国に行ける。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
インビクタスで扱った南アフリカのアパルトヘイトもそうだったが、旧時代の遺物が今なお(あるいはつい最近まで)残っていること。今はそれらのルールが180度転換して価値観がひっくりかえっていること。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
とにかく家族を守る。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ネイティブアメリカンの女性、ミスティ。この女性なくしてこの映画は成立しない。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
赤ん坊を氷上に棄ててしまったパキスタン人の赤ん坊を主人公のメリッサらが回収に行くシーン。全編通して緊迫感のある映画。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・4点
ミスティの過去には感涙の要素がある。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・5点
最初はメリッサがミスティに誘われて始めた仕事が、後半は誘う、誘われるの構造が逆になってしまうことは面白い要素。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・2点
怒りの要素が意外とないのが、この映画が真のメジャーになれなかった理由か。

【減点項目】

・減点なし。

基礎点(15)+技術点(44)+芸術点(27)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(100)

「B」評価(100~119点)

中盤までの緊迫感とは一転して終盤はちょっとグダグダで、終わり方にも賛否両論があると思いますが、面白い映画だと思います。DVD化されてご覧になるのもいいかもしれませんが、氷上の緊迫感は暗い劇場で大きなスクリーンを通すとさらに増幅されると思います。今のところゴールデンウィーク後までのロングラン上映の予定なので、チャンスがあれば劇場で観ることをおすすめします。

2009年3月9日/シネマライズ
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