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March 29, 2010

隣の家の少女

監督:グレゴリー・M・ウィルソン
製作総指揮:マリウス・カーデル、アルバート・ポーデル
原作:ジャック・ケッチャム
音楽:ライアン・ショア
出演:ブライス・オーファース、ダニエル・マンチ、ブランチ・ベイカーほか

「モニュメント」

隣の家の少女です。前売券をもらって一度劇場に足を運んだのですが、ついゾンビを観てしまいリベンジ。
「少女は、嬲られ続けた」という下品なキャッチフレーズの通り、観客の大半はおっさんという映画なのですが、色物どころか「気持ちが重要」という人間社会における不変のテーマが込められた映画でした。

1960年代に米国で実際に起きた事件がベースになっています。交通事故で両親を失った姉妹を引き取った親戚の母子たちがこの長女を難癖つけて陵辱の限りを尽くすというもの。元の事件も共犯者が子供達という点で衝撃的だったようですが、映画でもその惨さが描かれています。

特にルースという中年女性は圧巻でした。夫に捨てられて若い女に憎しみを持つ彼女は、モンスターマザーというべき存在で、引き取った姉妹を虐待。特に長女、メグをなじり最後は子供達の餌食にしてしまいます。ルースは精神的に壊れているのですが、ただ単に壊れているという説明ではなく、理論的に壊れているのでかえって不気味さが増しています。子供達に飲酒や喫煙させるのもその一旦でしょう。教育ママの体で子供達をしつける一方で、子供達に少女を強姦させるのは鬼畜以下です。

主人公は隣に住むデヴィッドという少年なのですが、自分なりに少女を救おうとして事件に巻き込まれていってしまいます。これがもどかしいのですが、小さな小さな子供の世界ではこれが限界なのでしょう。上手くいかなくても少女は品詞の状態で「気持ちが重要なのよ」と感謝の言葉を述べます。これが心に響きます。

評価に移ります。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
嬲られ続ける隣の少女を救おうと必死になる少年の物語。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
愛は不変。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・6点
上手く説明出来ないが、時代背景のようなもの。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・6点
これは1960年代だったから明るみになった事件かもしれない。もっと昔には表沙汰にならず葬られた事件も少なくはないはず。例えば、チェンジリングも時代の流れと当事者の勇気と執念で偶然、解決したようなもの。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・7点
だらしない一面を持ちながら、自分なりに策を巡らせ、メグを救うデヴィッドの行動は一貫していた。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・9点
嬲られる少女、メグ。妹思いの優しさと明るさを持つ反面、事故で両親を失った境遇とこの時代に生まれた運命に諦めを見せているようだった。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・9点
少女が「気持ちが重要なのよ」と言うシーン。実際にご覧下さい。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・8点
デヴィッドの助けでたった一度だけ、メグは逃げ出せるチャンスがあったのに、どうしてルース一家に捕まってしまったか、後に伝聞形で分かるエピソードだが、メグの優しさが観客に伝わってきているだけに、感涙ポイントが高かった。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・3点
理論的に壊れているルースの行動や言動は鬼畜を通り過ぎて滑稽とも言うべき感もあった。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・7点
ルースが子供たちにメグを強姦させるシーンに強い怒りを覚える。その後の行動はさらに衝撃的。

【減点項目】

筋違いのPRが行われている(-10点)
・-3点
エロ映画のように宣伝しないで欲しい。

基礎点(15)+技術点(35)+芸術点(36)×1.5-減点(3)=CinemaX指数(101)

「B」評価(100~119点)

原作本はもっと刺激が強いようですが、映画でも充分だと思いました。ラブリーボーンも同じような要素があると思うのですが、この映画を通じて、昔、米国の片田舎に心優しい少女がいたことを知り、甚振られて亡くなっていった事を知ることが重要なのだと思います。何も出来なくても悼むことは出来ます。表ざたにならず亡くなっていた人々も含めて。

この映画では、警察が実に無力な存在として描かれていますが、これは今も変わりません。今日また、母親の恋人に虐待され亡くなった2歳の男児のニュースが報じられました。本来は命がけで守ってくれるはずの親に虐待され、亡くなっていく子供達があとを絶たないことが無念でなりません。

2010年3月26日/シアターN渋谷
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March 28, 2010

ゾンビ

監督:ジョージ・A・ロメロ
音楽:ゴブリン、ダリオ・アルジェント
脚本;ジョージ・A・ロメロ
出演デヴィッド・エムゲ、ケン・フォリー、スコット・H・ライニガー、ゲイラン・ロスほか

「金字塔」

前売券をもらった「隣の家の少女」を観るためにシアターN渋谷に足を運んだのですが、その日は水曜日で誰でも1000円デー。ついつい一度も観たこともないゾンビを選んでしまいました。13日の金曜日を初めて観たのは数ヶ月前、ゴッドファーザーも昨年初めて観ました。古い映画を観るのは重い腰を上げる感じになるのですが、一時代を築いたような古典に触れるのはいいですね。

ロメロ監督は、このゾンビ以前に生き返った死人を扱った映画を扱っているようなのですが、タイトルから分かるとおり金字塔みたいな作品なのかもしれません。ロメロ監督自身、これ以降に生き返った死人を扱った作品をライフワークのように撮り続け、他の監督がこれをリスペクトし、今やゾンビ映画は全世界に広がっています。

ということでこのゾンビ、何故出てきたか理由ははっきり分からないのですが、登場人物が一言呟いた「地獄が人で溢れたため追い返された」という言葉に妙に説得力があります。何かの宗教の考え方なのかもしれません。

ゾンビから逃げ出した主人公たちが向かったのは、何故かショッピングセンター。ここまで来る展開はちょっとかったるいのですが、ショッピンセンターに来ると少しテンポが良くなります。そこには何を買うわけでもなく、歩き回るゾンビたち。ゾンビは本能に近い動き方をするので、銃を持ったからといって攻撃してきたり、人間の肉は食べたくても走って追いかけてくるわけではないのですが、これがゲームっぽくて妙な緊張感を生み出します。

主人公たちは後にギャング団に襲撃されるのですが、ゾンビよりも人間の方が怖いというのが滑稽でした。主人公の中の女性は存在の意味が分からなかったのですが、女ゾンビが服をドアに挟まれているのを助けてあげたり、自分に興味を示しているような男ゾンビと目を合わせてあげたりと女心みたいなものが微妙に観客の心に染みてきます。

もし今、このような映画を作ったなら、CGや特殊メイクを駆使して本当に怖いものになるでしょうが、後半に向けて段々雑になる青いファンデーションを塗るだけのメイクはアナログっぽい味があって楽しいです。といってもこれは現代人からの目。当時は怖くて怖くて仕方がなかった映画なのかもしれません。

ちなみに、ゾンビがショッピングセンターに集まるのは、彼らが生きていた頃の記憶「ここは楽しいところ」というのが刷り込まれているからだとか。人間の本能を垣間見るようで興味深い設定だと思います。

評価に移ります。


【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
ゾンビから逃げる。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・5点
何かから逃げる映像はPVや自主映画の定番。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・6点
ショッピングセンターの中。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・6点
ショッピングセンターの店内は米国の当時の生活を垣間見るようで面白い。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
とにかく逃げる。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
本能しか残っていないはずなのに、人間の心を残していそうなゾンビが数人。ゾンビ化してしまう主人公の1人もそう。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・5点
主人公の女性がゾンビとほんの少しコンタクトするシーン。ドアに挟まった女ゾンビの服を外してあげたり、男ゾンビと視線を合わせて2人で首を傾げたり。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・5点
上記に共通する部分あり。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・5点
上記に共通する部分あり。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・3点
怒りの対象はゾンビではなくむしろ人間であるギャング団にある。

【減点項目】

原点なし。

基礎点(15)+技術点(33)+芸術点(23)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(83)

「C」評価(80~99点)

ゾンビは、怖そうで怖くない、今流行りのラー油のような映画です。劇中のほとんどに明るい音楽が流れるのは一見、奇妙ですが、これが逆に恐怖心を演出します。これに比べると視覚や音楽で過大に演出するただ怖いだけのホラー映画は小さく見えてきます。

2009年3月25日/シアターN渋谷
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March 22, 2010

フローズン・リバー

監督 コートニー・ハント
製作総指揮 - 原作 -
音楽 ピーター・ゴラブ 、シャザード・イズマイリー 脚本 コートニー・ハント
メリッサ・レオ(レイ)
ミスティ・アッパム(ライラ)
チャーリー・マクダーモット(TJ)
マーク・ブーン・ジュニア(ジャック・ブルーノ)

「実力勝負」

フローズン・リバーです。単館系映画としてシネマライズ/ライズエックスにてロングラン上映中。周囲の評判がいいので観てみました。東京には単館系を上映する劇場が結構あるのですが、話題先行の劇場が多い中でシネマライズは割と骨のあるものを上映しているような気がします。

単館系映画の醍醐味は、前評判なしに作品に触れることが出来ることです。思いがけず良い作品に出会った時は「どうして大手はこういう映画に目をつけなかったんだ」と奉行にでもなったような優越感に浸ることが出来ます。

ただし一方で単館系映画は当たり外れが大きく、例えば不味いラーメン屋と同じように必然的に人口が多い地域でないと収入が成り立たないので大都市限定になってしまうというのが残念ですが、地方の方も例えば2日がかりで上京して渋谷地区を絨毯爆撃するだけでも楽しいと思います。

旅行代理店でツアーとかやるとそこそこ当たるかもしれませんね。

さて、フローズン・リバーは、その名の通り薄氷を渡るようなスリルのある映画でした。しかも演出ではなくストーリーで。観客を着かず離れずで微妙にコントロールする謎の引っ張り方も秀逸でした。俳優が絶世の美女や稀代のイケメンでもない映画なので、ストーリーで勝負するしかないのですが、その心意気に違わない出来でした。

特に何の変哲もない人が、ちょっとしたことで大きなイベントに巻き込まれていく様を上手く描いています。観光要素はネイティブアメリカンの居留区の実状と凍った川を渡れば別の国に行けるという地理的な面白さあたりでしょうか。これが何の変哲もない映画として埋もれるか、心に残る映画になるかの差だと思います。

エンディングに締まりがないのが残念でした。ここでピリッと締められていれば、メジャーな映画になったかもしれませんが、テイストとしてはこれはこれでありなのでしょう。白人とネイティブアメリカン、メジャーとマイナー、貧しさと悪などさまざまな境目を扱っている映画なのですが、面白い映画こそ境目を上手く映画描いているものが多いと思います。

評価に移ります。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
母親が家族の生活を守るため、凍った川を行き来する話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
母は強し。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・10点
日本固有の観光要素かもしれないが①ネイティブアメリカンの居留地②そこでのルール③凍った川を渡れば別の国に行ける。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
インビクタスで扱った南アフリカのアパルトヘイトもそうだったが、旧時代の遺物が今なお(あるいはつい最近まで)残っていること。今はそれらのルールが180度転換して価値観がひっくりかえっていること。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
とにかく家族を守る。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ネイティブアメリカンの女性、ミスティ。この女性なくしてこの映画は成立しない。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
赤ん坊を氷上に棄ててしまったパキスタン人の赤ん坊を主人公のメリッサらが回収に行くシーン。全編通して緊迫感のある映画。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・4点
ミスティの過去には感涙の要素がある。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・5点
最初はメリッサがミスティに誘われて始めた仕事が、後半は誘う、誘われるの構造が逆になってしまうことは面白い要素。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・2点
怒りの要素が意外とないのが、この映画が真のメジャーになれなかった理由か。

【減点項目】

・減点なし。

基礎点(15)+技術点(44)+芸術点(27)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(100)

「B」評価(100~119点)

中盤までの緊迫感とは一転して終盤はちょっとグダグダで、終わり方にも賛否両論があると思いますが、面白い映画だと思います。DVD化されてご覧になるのもいいかもしれませんが、氷上の緊迫感は暗い劇場で大きなスクリーンを通すとさらに増幅されると思います。今のところゴールデンウィーク後までのロングラン上映の予定なので、チャンスがあれば劇場で観ることをおすすめします。

2009年3月9日/シネマライズ
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March 17, 2010

アイガー北壁

監督:フィリップ・シュテルツェル
音楽:クリスティアン・コロノヴィッツ
脚本:フィリップ・シュテルツェル、クリストフ・ジルバー、ルーペルト・ヘニング、ヨハネス・ナーバー
出演:ベンノ・フユルマン、ヨハンナ・ヴォカレク、フロリアン・ルーカス、ウルリッヒ・トゥクールほか

「山は一流、麓は三流」

アイガー北壁です。「史実に基づく映画」ということなので、砕け散った多くの映画のように史実負けしないか心配なのですが、果たしてCinemaXの評価やいかに。

アイガーは、いくつかのルートのうち日本人が初登頂したものもあるせいか、日本でも割と知られた山であります。この時点でかなり有利で、それがドイツでの公開から2年を経て、はるばる海を越えて日本で上映される所以なのかもしれません。

アイガー北壁は、山の部分は恐ろしいまでの迫力がありました。実際に俳優を山に登らせた「剱岳点の記」も迫力はありましたが、山の荒れ具合は比べ物になりません。ちょっと興味深かったのは、アイガーは観光地で、イベントでも見るかのように望遠鏡でアイガー北壁に挑む人々を観察できるというものです。まるでパチンコ台の玉を見るかのように。

エベレストなどでも同様の光景が見られましたが、あれはベースキャンプからの映像で、一般人はハードルの高い場所です。一方でアイガーはお金さえあれば誰でも来れる観光地。その上、アイガーの中には坑道が掘られていて、富士山五合目みたいに途中までなら誰でも行けるという死と生が隣り合わせの不思議な山のようです。

アイガー北壁は、試写会前の知らない人のトークショーで「真面目なドイツ人が作った映画」と紹介されていた通り、バカ正直な内容でした。山の迫力もバカ正直なものでしたが、一方で麓のドラマもバカ正直で、不器用な人が客をもてなそうと必死になっているかのようでした。

ちなみにこの映画、何故アイガー北壁に挑むのかという動機もはっきりしています。舞台は1936年、アイガー北壁に登るというのはナチスドイツの国家プロジェクトであって、達成すると同年に開催されるベルリン五輪で金メダルをもらえるというものでした。ナチスドイツがどういう国家で、ベルリン五輪開催を通じて何をしようとしていたかは一般的にかなり知られているので、この点も映画に惹き込む重要なエッセンスとなっています。

評価に移ります。

【基礎点】

日本・アメリカ以外の映画(25点)
・25点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
アイガー北壁初登頂に挑む男たちの物語。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
未踏の領域への挑戦にはカタルシスがあります。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・8点
アイガーが観光地で、山には命を賭けて登る人がいるのに、麓からのんびり望遠鏡で観察していたり、山の中は繰り抜かれて途中まで誰でも行けたりする点。北壁を初登頂した者にはベルリン五輪で金メダルを授与されるというのも面白い。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
生と死が隣り合わせという妙なON・OFFがあるのが興味深かった。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
男たちは愚直なまでにアイガー北壁をよじ登ろうとするが、主人公のクルツの恋人、ルイーゼの設定がフラフラし過ぎた感もある。中途半端な恋心じゃ理解出来ない行動も多く、いっそのこと結婚とか婚約していてもよかったんじゃないかと思う。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
オーストリア隊の2人と主人公の相棒、アンディの行動は、怪我をしたりみすみす退路を断ったりと「あーあ感」がにじみ出ている。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
後半の主人公以外の仲間たちの行動。敵対していたオーストリア隊とのやりとり、相棒の決断。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・5点
感涙の要素は麓ではなくむしろ山にある。終盤はクルツとルイーゼとの愛が描かれるが、ルイーゼの設定がブレ過ぎているためにコントみたいになっているのが残念。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・3点
悲しい笑いが多い映画。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・2点
悪天候の前にどうにもならないもどかしさのような怒りはある。

【減点項目】

・減点ゼロ。

基礎点(25)+技術点(40)+芸術点(26)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(104)

「B」評価(100~119点)

思いがけず評価が高くなりました。山の部分の緊迫感は一流、麓の小芝居は三流ですが、大きなスクリーンでご覧になることをおすすめします。

映画『アイガー北壁』公式ホームページ

映画『アイガー北壁』公式ツイッター

48c79908ac727

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March 05, 2010

コララインとボタンの魔女3D

監督:ヘンリー・セリック
原作:ニール・ゲイマン
音楽:ブリュノ・クーレ
脚本:ヘンリー・セリック
声の出演:ダコタ・ファニング、テリー・ハッチャー、ジョン・ホッジマン、イアン・マクシェーンほか

「不親切」

コララインです。ちょうど一年前の「SHOWBIZ COUNTDOWN」で紹介されてずっと気になっていました。今は編集ばかりになってしまいましたが、7年前にパソコンを買い換えたのもストップアニメーションアニメをやるためだったという動機なので、全般的に気になるところです。

この映画、3Dとタイトルにつけられているように、2Dでは上映されていません。それどころか、国内の99%の劇場が吹替版、しかもいつものように主役には声優初挑戦の芸能人を充てる最近の流れの極め付きのような選択肢の少なさです。ちなみに今回は字幕版3Dで鑑賞。声がかすれ気味のダコタ・ファニングのコララインは魅力的でした。吹替版は榮倉奈々。

吹き替えには本来、オリジナルの俳優の骨格を重視して決めていたようですが、今は先に芸能人ありきなのでどうでもよくなっているようです。ダコタ・ファニングなら安達祐実あたりが妥当なのかもしれませんが、年齢設定も骨格はもちろん、オリジナルの声質すら無視して決めるあたりは、大人の事情以外の何ものでもないのでしょう。 榮倉さんはいっちょかみした以上、これからも声優をやって欲しいとは思うのですが。

オリジナルの主人公もダコタ・ファニングが声優を務めているように、俳優が声優を担当するのは海外でも珍しくありません。日本でもマルチトラックで二ヶ国語の音声が一度に収録出来るDVDの登場や、映画産業の復興など金に群がるように声優素人の芸能人が絡むことが多くなりました。

長らく字幕の文化が根付いていた日本では、吹替版は当時隆盛だったテレビ放送で初めて放送されるのが一般的で、需要があまり大きくないのかアニメなどで活躍しているプロの声優が担当していることが多いようでしたが、
金の臭いに誘われ人々が群がるのはいつの時代も同じ。これも時流なのでしょう。

中には声優で器用さを発揮する芸能人もいます。声優と俳優の二足のわらじで有名な人もいますし、伊武雅刀や戸田恵子などまず声優で名を上げ、今に至る俳優もいます。当然、彼ら彼女らも初挑戦のタイミングはあるので一概に批判は出来ないのですが、少なくとも主役級に声優初挑戦の芸能人を充てるのは理解出来ません。

例えば、アバターの吹替版はプロの声優が務めています。この映画で字幕版3Dが辛いことを思い知った方が多いことと思いますが、逆に主人公にチャラい若手俳優や芸人を充てていたら、アバター熱がもう少しパワーダウンしていたのかもしれません。逆に、話題作りのために芸能人を起用しているのなら、せっかく映画館に戻ってきたファンを遠ざけることにならないかと心配です。

ちょうど今週末はドラえもんが封切られますが、アニメ30年、映画30年と記念を引っ張り出しては関係者の趣味で選んだようなリメイクを繰り返し、総とっかえで頑張っている声優陣はともかく、脇を固める声優は芸能人だらけで目も当てられない状況になっているのが典型的な例だといえます。

評価に移ります。

【基礎点】

アニメーション(ジブリ以外)(5点)
・5点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・5点
女の子が、あっちの世界とこっちの世界を行ったり来たりする話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・3点
幼い頃、現在とは別世界があるんじゃないかと思った人は多いはず。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・6点
目がボタンということで世界を区別したのは面白い。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・3点
ボタンがらみの話は大人向けと思えるようにグロい一面も。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・3点
最初は現実の両親に落胆し、後に会いたくてたまらなくなる心情を丁寧に描いているのは、ストーリー全体の主人公の動機としては良いと思う。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ワイビーと黒猫。特に余計なことばかり言うワイビーはあっちの世界では喋らなくなるのだが、逆にそのほうが味が出るのが面白い。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・0点
印象に残るシーンはないが、無駄に労力をかけたシーンは沢山ある。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
あっちの世界のワイビーは行動に味がある。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・4点
この映画は目をボタンにするという点が全て。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・1点
両親にほったらかしにされているコララインの現状には怒りの要素が多少あるかもしれない。

【減点項目】

・減点なし。

基礎点(5)+技術点(20)+芸術点(15)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(48)

F評価(59点以下)

ストップアニメーションにしては主人公が可愛いのが特徴です。中盤から後半にかけて少し面白いのですが、あとはかなり退屈です。もしかするとストーリーやキャラクターの設定にあまり毒がないからかもしれません。監督のヘンリー・セリックは、鬼才ティム・バートンと関わりの深い人のようですが、恐らく真面目な人なのでしょう。映画の随所に雰囲気が現れています。逆にティム・バートンがどれだけイカれた人であるか、1つのものさしになる映画といえます。

2009年3月1日/TOHOシネマズ六本木ヒルズ
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