« August 2009 | Main | October 2009 »

September 24, 2009

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

監督:ギャヴィン・フッド
製作総指揮:スタン・リー、リチャード・ドナー
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
脚本:デヴィッド・ベニオフ、スキップ・ウッズ
出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、リン・コリンズ、ダニー・ヒューストンほか

「鼎立の妙」

一時期流行ったアメコミやハリウッド映画のいわゆるビギンズのもですが、遅ればせながらX-MENにも登場しました。アメコミ独特のどぎついエッセンスが日本には馴染まないような気もする中で、X-MENは比較的柔らかい感じもしますが、果たしてCinemaXの評価やいかに。

ヤフーの映画サイトで検索したところ、ビギンズと名の付く映画は7件、そのどれもが2003年以降です。ビギンズものの潮流を生み出した映画の1つが、スターウォーズといえるのですが、ジョージ・ルーカスがどうしてエピソード4からスタートしたかというと「物語は途中からが面白い」から。ということでビギンズものは本来は面白くない部分を扱うはずなのですが、キャラが立っていた場合だけ例外になります。

スターウォーズも最初のシリーズ(エピソード4~6)のような輝かしさはないのですが、おなじみのキャラクターがどうやって産まれたかは観客にとっても興味があるもの。ということで、いくつかのビギンズものは成功しています。スパイダーマンデアデビルも誕生の経緯が描かれているので、初回作そのものがビギンズものといえるかもしれませんが。

X-MEN ZEROのポイントは、鼎立です。対立ではなくて鼎立。正義と悪という単純な対立ではなく、必ず第三者が絡んでいます。ウルヴァリン誕生の経緯は、まるで仮面ライダーなのですが、もともと不思議な能力を宿した兄、ビクターと弟、ローガン(ウルヴァリン)の兄弟が協調し、対立していきます。前半はあちこちの戦争に参加して殺戮を繰り返すという、ちょっと過激なシーンも含まれるのですが、これがローガンの性格をより強調する好材料になっていきます。

ローガンは戦いを避け、恋をするのですが、これもまた鼎立の構図に崩され、ウルヴァリンが誕生します。誕生した後からもつねに鼎立の状態は続き、どうしてウルヴァリンには過去の記憶がないのかとか、X-MENシリーズに続くエピソードへと展開します。これも悲しいエピソードを絡める周到ぶり。

対立の構図を複雑にすると、ストーリーの厚みは増すのですが、観客にストレートに説明する技量が必要になってきます。多くの映画がコケてしまうのは、この手順を雑に扱ってしまうために、作り手だけが理解しているだけの自己満足的な設定になってしまうからです。

ところがX-MEN ZEROは一見、ややこしく思える設定をすんなりと描き、観客をストーリーへと引き込みます。まるできつねにでもつままれたような気分です。このストーリーの原作があるのかないのか分かりませんが、仮にあるとしても映画化にあたりパワーダウンする作品も多い中でストーリーにきちんと反映された映画といえるでしょう。

評価に移ります。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
超人的な能力を持った男、ウルヴァリンが誕生するまでの話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・3点
世の中から争いごとはなくならない。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・3点
個性に富んだミュータントたちの能力は面白い。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・5点
今回は直接相手に触って催眠術をかけるミュータントがキーとなっている。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
兄、ビクターをこの手で殺す。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ウルヴァリンが思いを寄せる女性、ケイラ。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・9点
終盤のシーン。記憶を消されたウルヴァリンが横たえるケイラを前…。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・3点
前述のシーン。だけど泣けはしなかった。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・3点
意外と笑えるシーンも少ない。ずっと身体を強張らせてしまうような緊張感のある映画。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・3点
敵の目的が曖昧(説明はしているが理解出来ない)なので、心の底から怒りを感じるほどでもなかった。

【減点項目】

・減点なし。

基礎点(15)+技術点(27)+芸術点(26)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(81)

「C」評価(80~99点)

アクションもさることながら、ストーリにおいても作り手の巧さを感じる映画でした。X-MENはエンドロールの間にもシーンを挟むことが多いので、速攻で席を立つせっかちな人は大損することもある映画なのですが、今回もちゃんと挟まれています。ただ、どうでもいいようなシーンなので、左右の座席の人を蹴散らしてでもいち早く劇場を出たいという貧乏臭い人も安心出来る映画といえます。

2009年9月20日/シネプレックス新座
Wolverinebonecapcom_1024

| | Comments (149) | TrackBack (3)

« August 2009 | Main | October 2009 »