ディズニーネイチャー/フラミンゴに隠された地球の秘密
監督:マシュー・エバーハード
日本語版ナレーション:宮崎あおい
「無味無臭」
ディズニーネイチャーというカテゴリの映画らしいです。手っ取り早く言えばNHKのドキュメンタリーのような映画。果たして劇場で観る意味があるのかないのか、CinemaXの評価やいかに。
日本では良くも悪くも「ディズニー映画=安心して子供に観せられる映画」という意識が根付いているので「フラミンゴ…」ももちろん、子供が見ても何の害もありません。ただし、高い受信料で製作されているだけあって、NHKのクオリティの高いドキュメンタリーには足元にも及ばない雰囲気がします。それは何故なのか、考えてみます。
①現在との接点がない。
「フラミンゴ…」は、アフリカ・タンザニア北部のナトロン湖周辺に生息するフラミンゴの一生を追った映画なので、我々がおおよそ日常生活で出会うことのない風景が目白押しです。その一方で環境破壊によるフラミンゴの減少も暗に訴えていますが…ずっと湖とフラミンゴの映像ばかりなので今ひとつ伝わってくるものがありません。
②粘り強く撮影した感がない。
ちょっと行ってパッと撮影したような雰囲気が漂います。NHKの場合はあざとく「これだけ苦労しました」と言わんばかりにクルーの撮影風景などを挟み込むことも少なくはないのですが、それだけのクオリティの高い映像を見せてくれますが、「フラミンゴ…」は何故かそのような雰囲気が感じられません。
③ストーリーが不鮮明。
ドキュメンタリーといえどもシナリオは存在し、演出(ヤラセとは違う)がないとただ漠然と撮影した風景を見せられたのでは、単なる環境ビデオのようになってしまいます。「フラミンゴ…」は、「あの雛」が主人公なのですが、鑑札があるはずもなく、成長の過程で「あの雛」と紹介されてもどの雛なのか分からなかったりします。中途半端な演出が、鑑賞にあたっての壁になっているような感じです。
評価に移ります。
解説: アメリカのウォルト・ディズニーによる環境や自然にスポットを当てた新レーベル“ディズニーネイチャー”の第1作目となるドキュメンタリー。アフリカ・タンザニア北部のナトロン湖に毎年雨季になると飛来する、150万羽にもおよぶフラミンゴの生態に迫る。この奇跡の鳥たちを描いた物語のナレーションを務めるのは、テレビドラマ「篤姫」で今や国民的女優に成長した宮崎あおい。フラミンゴの親たちが子を敵から守り、必死に生き抜く姿に感動する。
シネマトゥデイ(外部リンク)
あらすじ: 雨季になると、タンザニア北部のナトロン湖は150万羽ものフラミンゴの群れによって真っ赤に染まる。乾期中は湖の水は干上がり、雨期には潤うものの湖水は毒性が強く、そこでは生き物はほとんど生命を育むことができない。だが、フラミンゴたちは毎年“死の湖”と呼ばれる場所で子を産み育て、やがてまたさっそうと飛び立って行くのだった。
【基礎点】
動物や子供を扱った映画(10点)
・10点
【技術点】
テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・9点
ナトロン湖に生息するフラミンゴの一生を追う。
そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・6点
環境問題に訴えるという点では、今の時代にマッチしているが、意外とメッセージ性が弱い。
観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・8点
塩分濃度が高く生物を寄せ付けない真っ赤な湖で生まれ育つフラミンゴ。
観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
一見、優雅なフラミンゴがどれだけ苦労して生きているのかという点は、興味深いものがある。
主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・1点
生きるために必死に走るフラミンゴの行動は、貫通行動というより本能。「あの雛」と無理矢理主人公を仕立て上げる必要はないのかもしれない。
【芸術点】
印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・3点
人物ではないが、フラミンゴの雛を食い散らすアフリカハゲコウ。残酷な部分もシーンに収めたのは評価出来るが「ディズニー=安心」と過信している父兄には刺激的過ぎるかもしれない。
印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・4点
前述のシーン。これより前は退屈で度々寝入ってしまったが、フラミンゴがアフリカハゲコウに襲われて以降は、大移動など見ごたえのあるシーンが多くなる。
泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・1点
道半ばで死んでしまうフラミンゴの無念な思いは映像を通して伝わってくる。ちなみに、赤い湖に浮かぶ老いたフラミンゴの死体はヤラセじゃないかと思うぐらい絵画的。
笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
オオフラミンゴとコフラミンゴの雛が交じり合い、小学生の全校生徒が走りまくるように大移動する風景はやや滑稽。話によると、大フラミンゴと小フラミンゴが何千羽も終結してコロニーを作っていることが多いとのこと。同じ生活空間の中でどうして中フラミンゴが発生しないのかが不思議。
怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
とにかく雛の数が多すぎるので、ちょっとぐらい他の鳥や動物に食べられても食物連鎖だから仕方ないと思ってしまうのは、製作者の意図するところではないのではないか。ありのままを伝えたいのなら別だが、40年もの寿命の間につがいで2羽残せば充分と言うほどの低い生存率が映像を通して全く伝わってこなかったのは残念。
【減点項目】
寝てしまった(-30点)
・-30点
前半は抑揚のない大自然の映像と宮崎あおいさんのナレーションで睡魔に耐えるのに必死。
基礎点(10)+技術点(32)+芸術点(8)×1.5-減点(30)=CinemaX指数(24)
「F」評価(59点以下)
試写会場では、本編が短い(79分)をカバーするためか、専門家の大学教授によるトークショーが行われましたが、フラミンゴの生態がよく分かっていないのを物語るように、この先生は分からないことは分からないと正直に言うので、かえって好感がもてました。驚くべきは20人足らずの観客の中に実際にアフリカに行ってフラミンゴを見たという人が数人いたこと。動物園でも定番ですし、世界の王の打法に冠しているだけあって、日本ではメジャー級の知名度を誇る鳥といえるのかもしれませんね。
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