ボルト
監督:バイロン・ハワード、クリス・ウィリアムズ
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:ジョン・パウエル
脚本:ダン・フォーゲルマン、クリス・ウィリアムズ
声の出演:ジョン・トラヴォルタ、マイリー・サイラス、スージー・エスマン、マーク・ウォルトンほか
日本語吹替:佐々木蔵之介、江角マキコ、天野ひろゆきほか
「消化不良」
ボルトです。映画業界にとって特別料金が稼げて美味しい3D映画第2弾。犬と猫とハムスターが駆け回るコメディ。今回はディズニーという上げ底に加えて動物と子供は間違いない(ヒットする)と言われる中で果たしてCinemaXの評価やいかに。
ボルトは、自分が物語の中で演じているスーパー犬?のまま、日常生活を生きています。犬版「」といった感じです。序盤はボルトのスーパーぶりが紹介されるのですが、ここだけを引っ張って映画にすればいいんじゃないかと思えるぐらい面白いです。このような劇中劇は、作品の中の人々が感動していることにすれば説明出来るので雑になりやすいのですが、リアルの観客をも惹き付けます。この部分が雑だったら「ボルト」の映画としての存在価値はなかったとも思えるほどです。
物語の中で飼い主を演じている女の子と離れ離れになったボルトは、「女の子は自分のことを心配している」と信じて猫とハムスターとともに女の子を捜します。ボルトは途中、自分の能力が物語の中だけだったと知り、女の子は本当に自分のことを思っているのかどうかも悩みます。このあたりの描き方は面白いと思いました。女の子はずっとボルトのことを想っているのですが、この女の子の気持ちは、最後まで隠しておくと見ごたえが出たのかもしれません。
後半、ボルトは女の子と再会します。リアルでも女の子を救い、猫とハムスターと一緒に暮らすようになるのですが、この大団円の終わり方がこの映画の大欠点です。最近のハリウッドCGは子供に迎合しようと目線を下げたのかもしれませんが、志村けんが「子供だと思ってバカにしてコントをやると、子供たちは絶対に笑ってくれない」と言っているように、子供は難しい設定でもきちんと理解するはずですし、今分からなくても成長するにつれて「あの話はそういう意味だったのか」と知ることで二度美味しい映画になるはずです。このチャンスを自ら逃しているように思えてなりません。
具体的には、ボルトは猫とハムスターとの生活か、女の子との生活かを選ぶ必要がありました。猫とハムスターとの出会いがあり、少しづつ融和するという積み重ねがあったわけですから、主人公を選ぶことにより猫とハムスターと別れざるをえないという設定にすれば、泣けたはずです。後に一緒に住もうとも、少なくとも猫とハムスターとの別れのシーンは必要です。ところが実際には、ちょこちょこっと別れただけですぐに合流、大団円に終わってしまいました。垂れ流しの味気ないストーリー展開が、全ての感動の芽を摘んでしまうように思えました。
評価に移ります。
【基礎点】
アニメーション(ジブリ以外)(5点)
・5点
アニメーション+動物の超上げ底なので本当は0点にしたいぐらい。
【技術点】
テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
犬が、自分のことを想ってくれているかどうか分からないまま別れた主人公を探す話。
そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・6点
信じて努力すれば必ず報われるということは多くの人を勇気付けるはず。
観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・2点
劇中とリアルを分離せず犬を買うと、こういう犬になっちゃうかもなという「ああ、そうかも」感は若干ある。
観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点
ただし、劇中劇の部分は秀逸。
主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
主人公を探し続ける。
【芸術点】
印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・10点
猫のミトンズは、人間社会に詳しいところを見せ続け、実は捨てられたということを話す。ちなみにいつの間にかボルトのことが好きになり、ハムスターと3人で空き地で暮らし続けようと準備をして、得意げに話すシーンは健気で泣ける。このシーンは「印象に残るシーンはあったか」「泣けたか」にも共通。
印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・10点
「印象に残る人物はいたか」に共通。
泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・5点
「印象に残る人物はいたか」に共通。ここから先、ボルトと猫、ハムスターが別れていれば、そのシーンが最も泣けたシーンとなったはず。
笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・3点
鳩の仕草やセリフは笑えるが、それ以上にあちこちのシーンでキーになっているところで評価。
怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
本格的な悪者が出ない。例えば主人公の母親を悪人にしてもストーリーは壊れず、見ごたえのあるシーンが作れたのではないか。母親=悪人というのは教育上良くないと考えるのかもしれないが。
【減点項目】
・減点なし。
基礎点(5)+技術点(26)+芸術点(29)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(75)
「D」評価(70~79点)
プレミア試写会は、同じ会場の中なのに一番観やすい中央の座席に座る芸能人などの招待者、サイドや前に座る下々の者に分かれるので、現在の封建制度を現しているようで妙な感じがします。



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