サスペリア・テルザ 最後の魔女
監督:ダリオ・アルジェント
製作総指揮:クラウディオ・アルジェント、カーク・ダミコほか
音楽:クラウディオ・シモネッティ
脚本:ダリオ・アルジェント、ジェイス・アンダーソンほか
出演:アーシア・アルジェント、クリスチャン・ソリメノ、アダム・ジェームズほか
「若気の至り」
点数制の新基準を導入して約20作品を評価してきましたが、もう一度観たいような映画が最低の評価になったり、二度と観たくないような映画がそこそこの評価だったり、ジャンルによって向き不向きがあるようなのですが、「ホラーでも通用するかどうか」ということを確認するため、今回は「サスペリア・テルザ 最後の魔女」を評価してみました。
映画ファンが劇場に回帰してきたおかげで、東京都内にも単館系の映画館が増加しました。単館映画でも面白いかどうかはともかく、綺麗系の映画を扱ってきた恵比寿ガーデンシネマ、そこまでお高くはない映画を扱うシネスイッチ銀座、アングラ臭が漂う銀座シネパトスなど特色がある映画館があるのも楽しみの1つです。人口が多いからこそこういう映画館が生き残れる訳なのですが、やはり最も激戦区といわれるのは渋谷です。
渋谷には、メジャー系の映画館のほか、単館系の映画館が点在しています。道玄坂には単館系の映画館を集めたシネコンのようなところもあります。単館系の映画館は、マイナーな邦画などが劇場公開の実績作りのために利用されているような部分もあるのですが、やはり上映作品で勝負しなければ潰れてしまいます。
シアターN渋谷も同じく競争に晒されており、若者向けのB級映画を中心に上映することで生き残りを図っています。サスペリア・テルザもそうですが、これから上映予定の作品を見ると、さらにこの流れは加速しているようです。
さて、この映画は、1977年の『サスペリア』、80年の『インフェルノ』に続く魔女3部作の完結編という位置づけのようです。前2作を観ていないのですが、さっそく評価してみましょう。
【基礎点】
日本・アメリカ以外の映画(25点)
・25点
【技術点】
テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
復活した最後の魔女「涙の母」を再び闇に葬ろうとする女の話。
そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・2点
いつの時代も変わらないという視点なら、マッチする部分もあるのかもしれない。
観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・2点
ローマ観光みたいな気分になる部分はある。
観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・1点
観光要素といっても、残虐なシーン(電車のドアで魔女の手下の女の頭をガンガンつぶすとか)込みです。
主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・1点
主人公の若い女性は周りに言われるがままに行動しているので、真に貫通行動としての要素は薄い。
【芸術点】
印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・3点
腸を首に巻かれて死んでしまう主人公の女友達と電車のドアに頭を挟まれて脳みそが飛び出してしまう日本人?の若い女。
印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・3点
棺おけから箱を見つけ出すシーン。掘る方も彫る方だが、家に持って代える神父?もどうにかしている。「そんなことやっちゃって、いいの?」と思わせるシーンから悪の連鎖が始まるのはホラー映画の常套手段か。
泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・0点
バタバタ人が死ぬ映画だが、プロレスの流血を観ているのと同じような印象。
笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
残虐な死に方をするキャラクターが何人かいるが、どれも観客を喜ばせようという作り手の意図が感じられ笑えた。ただしストーリーの流れで笑えたわけではないので、評価外。
怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
主人公の家系と涙の母との因縁みたいなのはストーリーに込められていたが、前2作を観ていないのでわからなかった。
【減点項目】
・0点
基礎点(25)+技術点(14)+芸術点(6)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(48)
「F」評価(59点以下)
開場の際に楽しみにしていた!と言わんばかりに嬉々として座席に座る観客も多く、人気のある監督なのだなと伝わってきました。残念なのは、前半の執拗で笑える残虐シーンから一転して後半は魔女たち?によるシリアスなシーンばかりになってしまうので、特にホラー好きでもない私にも物足りなさが感じられました。言い方をかえれば失速したような。この映画の監督は御年68歳のようですが、この失速はもしかすると年齢から来ている部分もあるのかもしれません。みんな大好きジブリ作品の宮崎駿監督でも同じ傾向がみられるわけですから。
ただし、主要なキャラクターが観客の期待を裏切らず脱いだり、最後には主人公を肥溜めに落として糞尿まみれにしてしまうところなどは、観客の要望に応えた、趣味の世界とも言えるでしょう。これはこれでアリ、の映画だと思います。



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