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April 19, 2009

レッドクリフ PartⅡ―未来への最終決戦―

監督:ジョン・ウー
製作総指揮:ハン・サンピン、松浦勝人、ウー・ケボ、千葉龍平ほか
音楽:岩代太郎
脚本:ジョン・ウー、チャン・カン、コー・ジェン、シン・ハーユほか
出演:トニー・レオン、金城武、ヴィッキー・チャオ、リン・チーリンほか

「今さら羊頭羊肉」

レッドクリフPartⅠから半年、PartⅡが帰ってきました。赤壁の戦いを扱いながら、PartⅠでは戦いすら始まらなかったレッドクリフです。よほど観客動員を稼ぎたいのか、各球場のバックネットに広告を出して封切日から「大ヒット上映中」とか、「女と女の戦い」とか、半ばヤケクソのような内容でローズマリー兄弟がぐちゃぐちゃ話すだけのCMとか、見境のないPRが目立つレッドクリフですが、極めつけは「PartⅠを見なくてもOK」というコピー。素直に解釈すると「こんな映画、観ても観なくても一緒」という風にとれるのですが、果たしてCinemaXの評価やいかに。

PartⅠが上映された昨年10月はリーマンショックで世界的な経済危機が始まった時期でしたが、それから半年、PartⅡが公開される現在はさらに深刻な状況にあります。おそらく映画館に足を運ぶファンも減少しているはずで、損をしない製作委員会方式でクソ映画を量産していた邦画も製作のスピードが鈍り、これは経済危機の震源地である米国も例外ではありません。テレビ朝日を中心にレッドクリフⅡを血眼になってPRするのは、興行成績がDVD化やテレビでの放映権で大きく影響することも1つの要因なのですが、見境のないPRが行われるほど「大ヒット上映中」という言葉が嘘っぽく聞こえてきます。

ところが、意外や意外、PartⅡはきちんとした映画なのです。

PartⅠのイメージで観にいくと、良い意味で期待を裏切られるかもしれません。観客をおちょくるようなイントロのテーマ曲が、一転して壮大な物語の序章であるように感じるぐらい、この映画のイメージが変わりました。

PartⅠでは、ズームを多用する昭和40年代っぽいカメラワークと、人がバッサバッサ殺されるばかりの映画でしたが、PartⅡではちゃんとした脚本で映画が撮影されているようです。伏線もきちんと張られていて、例えば急に登場人物が死んだりとか、そのシーンだけで泣かせるのではなく、それまでのシーンの積み重ねで観客を泣かせるという脚本のセオリーも守られています。喜怒哀楽もきちんと用意されていて、映画の体を成しているのです。

バレバレのワイヤーアクションが気になったり、女性が戦場に向かうというナンセンスな設定もありますが、そういう無理矢理さも脚本のテクニックや丁寧な人物設定であまりボロが目立たなくなっています。PartⅠとPartⅡの撮影が同時だったのか、少し時間が空いたのかは分かりませんが、脚本やカメラワークなど明らかに別の人が絡んだような映画に仕上がっています。何度も繰り返しますが、これは本当に意外でした。

ところが、時すでに遅し。PartⅠの時に大々的なPRに乗せられて劇場に足を運んだ割に無駄なシーンが多く、人の手足がちぎれるような過激な映像を延々と見せられ、結局は入門編のような状態で「PartⅡ」に続くというような映画を観た観客の中には、PartⅠを羊頭狗肉のような映画と感じた人も少なくはなかったのかもしれません。

ところが一転してPartⅡは映画の基本を抑えていて、羊頭羊肉の映画なのですが、PartⅠで狗肉を喰らって騙されたと感じた観客は、PartⅡを観ようとなかなか劇場に足を運ぼうとはしないでしょう。見境のないPRが繰り返されればなおさらです。

これと同じことが邦画全体でも起こっています。テレビ局や広告代理店はスポンサーが減ってアップアップですから、映画での集金に走る傾向が強まる可能性があります。ただ、クソ映画ばかり作っていると、騙されたと一度離れた観客はなかなか戻らないことを肝に銘じるべきといえます。

【基礎点】

日本・アメリカ以外の映画(25点)
・25点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
3つの国の武将が命をかけて戦う。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
戦争は決してなくならないものなのでいつの時代にも当てはまる。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・0点
PartⅠでの多彩な陣形は目を見張るものがあったが、PartⅡでは戦場での生活や戦闘は多くの戦争映画で見慣れたものであり、中国の三国時代「らしさ」もほとんど感じられなかった。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
周瑜や孔明を主人公とするならば、約束を守り、君主に仕え続ける行動は一貫している。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・10点
地味だけど実は主役だった周瑜。PartⅠでは役者の顔が趙雲と似ていてさらに地味だったが、今回は主役らしさが感じられた。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・10点
最後に周瑜が「この戦争の勝者はいない」というシーン。戦争は日常生活で築き上げた人間の倫理観が往々にして崩壊してしまうため、善悪を突き詰めると答えが出ないことを一言で表現している。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・10点
孫権の妹、尚香がスパイとして乗り込んでいた時に出会った兵士と戦場で再会し、死別するシーン。尚香が「おバカさん」と呼ぶ見た目の通り純朴な兵士があざといまでに描かれていて、伏線は丸見えなのだが、単に死ぬというその場限りのイベントだけでなく、きちんと組み立てられているので泣ける。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・6点
笑えるシーンはいくつかあるが、前述の兵士の純朴さは、悲しみを帯びた笑いだった。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・6点
・疫病で死んだ自軍の兵士を敵に贈りつけるなど曹操の血も涙もない行動は一貫している。

【減点項目】

筋違いのPRが行われている(-10点)
・-10点
女と女の戦いというPRの意味が分からなかった。「―未来への最終決戦―」というサブタイトルもいらない。

基礎点(25)+技術点(26)+芸術点(42)×1.5-減点(10)=CinemaX指数(104)

「B」評価(100~119点)

2009年4月18日/シネプレックス新座
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Comments

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