GOEMON
監督:紀里谷和明
音楽:松本晃彦
脚本:紀里谷和明、瀧田哲郎
出演:江口洋介、大沢たかお、広末涼子、ゴリ、要潤ほか
「2ミリ前進」
史上最悪の映画「CASSHERN」を生み出した紀里谷監督が帰ってきました!何の因果か試写会が当たってしまい、行ってきました「GOEMON」CinemaXの評価やいかに。
まずは気になった点をあげると…。
・シナリオが悪い。
とにかく何もかも喋りすぎ。「さてと」「あいつ遅いな」など喋らずともすむものをいちいち喋る。こんなにセリフに詰め込むのなら映像を隠して音声だけにしてもいいぐらいです。CASSHERNに引き続き陳腐なセリフばかりで俳優も感情移入がしにくいのか、大沢たかおや平幹二朗など演技派の俳優を除きみんな広末涼子みたいになっちゃってます。劇場でご覧になる方は、いちいち喋る登場人物たちのセリフに注目してください。
・ストーリーが悪い。
とにかく意味が分かりません。人物相関図を頭に入れておいたほうがいいかもと言われても、ほとんど役に立ちません。信長を光秀が殺して、三成と家康が戦うことぐらい。あとはキャシャーンと同じく行き当たりばったりで思いついた映画のストーリーを寄せ集めたような展開です。光秀と秀吉が結託して信長を殺したという陰謀説も目新しくもなく、映像にしろストーリーにしろ、目新しさは全く感じられない映画でした。パンドラの箱なんか意味が全く分かりませんし、最後もさっぱり分かりません。最初の30分と最後の30分は不要で、1時間弱の内容を水で薄めたような映画です。
・カットが悪い。
カットに一貫性がありません。カットやシーンを変えると観客は大なり小なり衝撃を受けるので、出来るだけスムーズにしなければなりません。一方でショックを意図的に与えるために奇抜なカットを入れるなどの方法もあるのですが、GOEMONのカットは計画性があるとは思えず、いちいち中途半端に電気ショックが走るような衝撃を受けてしまいます。ほかにもカットの前後で突然、登場人物の髪の色が変わっていたりとか、自主映画でも気をつけるようなミスを平然と繰り返す素人仕事も大いに気になりました。
・シーンが悪い。
シーンの繋ぎも最悪です。カットと同様にシーンの繋ぎは観客に衝撃を与えます。これはちょっと早めだった、もう少し遅い方がよかったなど、バラエティ番組のディレクターでさえ気にするような大事なことをあまりにも適当にやっつけてしまっています。まるで鼻くそをほじりながら適当に繋いでいるような粗い仕事で感情移入が出来るはずもありません。
・CGに艶がない。
紀里谷監督はプロモーションビデオで売り出した人なので、SAKURAドロップスばりのCGがウリといえばウリなのですが、のっぺりした映像になるので、高所から落ちたりしてもサッと血の気が引く感じにもなりません。アニメなのにジェットコースターに乗っているかのような感覚をともなう宮崎アニメよりもリアルさに欠けるということになります。CGのくせに情けない。お金がかかるので仕方がないのかもしれませんが、グーグルアースで詳細な航空写真がない地方の画像を無理矢理拡大しているようなピンボケの背景も気になりました。綺麗なのか誤魔化されているのかは分かりませんが、やはりPVはPV、CASSHERNと同じく2時間以上も見続ける類の映像ではないのかもしれません。
・デザインに品がない。
滝とか、ホタルとか、天守閣とか、数が多けりゃいいってものではありません。街もそう。これで創造性溢れると思っているのかもしれませんが、架空の街にせよ、人が暮らしているわけですからどこにどのように誰が生活しているかぐらいは考えないと、全くリアリティのない街になってしまいます。例えば「戦国自衛隊1549」では、現代人が戦国時代の人々に文明を伝えてしまったため、天守閣などが奇異な発展を遂げてしまうのですが、前述のバックボーンがあるからこそこういう光景になるのだということが観客にも伝わってきます。ところがGOEMONはやっつけもいいとこ。こんな街に行きたくも住みたくもない。
・らしさがない。
CASSHERN、GOEMONの両方に共通するのですが、どこかで見たような映像やストーリーを寄せ集めたような映画になってしまうのが気になります。阿修羅城の瞳?スパイダーマン?300?さらば宇宙船間ヤマト?セブン?ナルニア国物語?スターウォーズ?パロディ映画と思えるようなシーンもあります。おまけに登場人物の着物も庭も建物も鎧も街並みも何かの映画で見たようなものばかり。綺麗といえば綺麗ですが、目新しさはありません。ストーリーも同じく目新しさゼロ。せっかくお客さんが高いお金を出して劇場に足を運んでくれるのですから、そろそろ本気になって紀里谷監督「らしさ」を出すことを考えた方がいいのかもしれません。。
【基礎点】
一般の邦画(20点)
・20点
【技術点】
テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・0点
パンドラの箱は何だったのか。
そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・0点
観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・1点
武将それぞれに忍者がついていて代理戦争のようになっている設定は面白かったが、あまりにも構成が悪く台無し。
観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点
主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・0点
生きろと言ってみたり、強くなれといってみたり、これで最後にしろと言ってみたりGOEMONの別人格ぶりが気になったが、これでもCASSHERNよりはマシ。
【芸術点】
印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
大沢たかお演じる霧隠才蔵。
印象に残るシーンはあったか(10点)
・5点
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
大沢たかお演じる霧隠才蔵のかまゆでの刑での演技は見物です。一瞬で終わる中村橋之助演じる織田信長の舞と並んで本編中で数少ない見所のあるシーンかもしれないので、前後のストーリーがグチャグチャじゃないかとか、一体何を言いたいシーンなのかとか、細かいことを気にせず楽しむのがコツです。
泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・0点
霧隠才蔵やその妻が死ぬシーンでズルズル泣いている人がいたが、言うまでもなく人が死ねば悲しいもの。その場限りの泣かせはCinemaXでは評価の対象にならない。
笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
クスッと笑いかける部分が2ヵ所ほどあるが、その場限りの笑いなので評価外。
怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・1点
霧隠才蔵の子供までかまゆでにする秀吉に怒りを感じるが、それまでの積み重ねがほとんどないので評価は低い。
【減点項目】
今回は宇多田ヒカルの援護射撃もなく減点ゼロ。CASSHERNより若干我慢できる映画にはなっているので寝ることもありませんでした。
基礎点(20)+技術点(1)+芸術点(11)×1.5-減点=CinemaX指数(38)
「F」評価(59点以下)
GOEMONの「こんな時代劇、見たことない。」というコピーはその通り!こんなの時代劇じゃありませんから!
どうか、これでもう最後にしてください。



Comments
かなりの苦痛を耐えられたのですね・・・
お疲れ様です。
しかもこんな糞映画に丁寧にレスするあたり愛すら感じます。
予告を見ただけで"あの"CASSHERN(あえてカナでは書かない)を彷彿とする小汚い映画であることは明白、無意味なカットも健在のようですね・・・・
かなりの苦痛を伴うと思いますが、半年後にDVDで見るかもしれません・・・
Posted by: | April 30, 2009 at 09:14 PM
コメントありがとうございます。
設定はめちゃくちゃでも戦国時代というだけ、救いなのかもしれませんね。
CASSHERNの時はいつの時代なのかすら理解できませんでしたから。
Posted by: yu-worldmaster | May 01, 2009 at 11:06 PM