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April 25, 2009

おっぱいバレー

監督:羽住英一郎
原作:水野宗徳
音楽:佐藤直紀
脚本:岡田惠和
出演;綾瀬はるか、青木崇高、仲村トオル、大後寿々花ほか

「ウソをつかない映画」

「おっぱいバレー」です。実話をもとにした原作があるので、原作を読んだ人と、読んでいない人では感想が異なるかもしれません。CinemaXでは原作を読んでいない立場で評価を行います。原作はいつのどの時代かは分かりませんが、映画では設定を1970年代の北九州に変更したようです。

この映画を知ったのは、昨年の27時間テレビでした。夜中の時間帯に電話に出た綾瀬はるかが「おっぱいバレーの撮影をしています」とさらっ答えて、明石家さんまが混乱していたのが印象的でした。後に明らかになるのですが「おっぱい」という、口にするには恥ずかしい単語は、ロケ現場では慣れてくると挨拶のように使われていたようなので、綾瀬はるかが臆面もなく答える理由はここにあったのかもしれません。

冒頭は、弱小バレー部の5人(後に6人になる)が当時の中学生なら恐らく誰でも知っていたであろう、時速100キロで走って手をかざす試みからスタートします。他にも「道程」(高村光太郎)の響きだけで興奮したり、部室に穴を開けて女子の着替えを覗こうとしたり、典型的な中学生ぶりを発揮します。そこに赴任してきたのが綾瀬はるか演じる女教師、寺嶋です。バレー部員は、大会で1勝すれば教師のおっぱいを見せてもらうという約束を取り付けて、発奮します。

予告やレビューを見るとスポ根もののようですが、バレー云々のくだりはだいたい4割ぐらい。例えばバレーだけで全編通してしまうと、無駄撃ち邦画の1つになっていたかもしれません。ポイントは残りの6割です。何故、寺嶋が教師を志したか、何故、バレー部員の約束をするはめになったのか、枷や伏線がたっぷり敷かれた見応えのある映画に仕上がっています。

良い映画の条件の1つには、主人公が追い詰められて、そこでどんな行動に出るか、どんなことを言うか、観客の期待を一心に集めるというものがあります。寺嶋は、クソ真面目という性格が常に影響して、教師になり、この学校に来て、約束をするはめになるわけです。その後もこれまでの枷や伏線が影響していて、最後の最後まで人格として際立った映画になっています。

一言でいえば、丁寧な映画です。

序盤で寺嶋に喧嘩をさせたり、しかも理由がクソ真面目故の理由だったり、生徒と教師で乗り越えてはいけない壁(恋愛とかではない)についてどう考えるべきかとか、実はメッセージ性の強い堅い映画なのです。一見、おっぱいというオブラートにくるんでいるのでコメディととられがちですが、油断して観ると良い意味で痛い目に逢う映画でした。

この映画では、誰もが共通して持っている想い出を引っ張り出して共有するという、恐ろしい隠し玉を秘めています。「自分の人生で影響を受けた先生」です。小中高あるいは大学でも何でもいいのですが、影響を受けた先生というのが必ずいるはずです。どっぷり付き合った担任かもしれませんし、ある教科だけを教える先生、部活の顧問、あるいは接点はほとんどなかったものの、ある期間だけ大きな影響を受けた先生など、この映画を観ると必ず誰かが頭の中に浮かぶことだと思います。

これは、ラジオドラマのように、音声だけの情報で聴取者それぞれの頭の中で映像を再生し、共有化するということにも共通します。鉄板です。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・6点
おっぱいを目的にバレーに青春をかけた中学生たちの話。
(裏テーマ:今度こそウソをつかないと決めた女教師の話)

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・6点
頑張ることに、理由なんか関係ない。
(裏テーマ:どんな仕事も信念がないと必ず狂いが生じる)

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・4点
中途半端に古くて泥臭さが残る北九州(特に八幡)の街を見ることが出来る。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・3点
北九州の泥臭い雰囲気はあるが、東京とは少し違うので懐かしいという感じはしないかもしれない。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
女教師、寺嶋の人格は全くブレがない。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・9点
女教師、寺嶋の中学時代の回想シーン。教師、原田の行動はわずか1週間で荒んでいた寺嶋の心を変化させ、教師の道へと導くきっかけとなる。この1週間の回想のくだりは、大後寿々花を起用。1週間の後日談を含め、このシーンがないと映画全体の魅力は半減すると言ってもいい。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・10点
女教師、寺嶋の中学時代の教師、原田との1週間。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・10点
1週間のくだりの後日談。冒頭で寺嶋が登場するシーンにも繋がるので、是非本編を見て欲しいところ。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・10点
教師という立場と、生徒にウソをつきたくないという立場で葛藤する寺嶋のクソ真面目さはかなり笑える。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・4点
何でも頭ごなしに決めつめる学校現場の陰険さには怒りを覚える人が多いと思う。

【減点項目】

筋違いのPRが行われている(-10点)
・-2点。
序盤はテンポ良くおっぱいで釣って、中盤以降はしみじみと泣かせる映画。おっぱいは肝だが、かこつけてテレビなどでおっぱいグッズなどを引き合いに出して観客を集めようとしたあざとさが感じられたのは残念だった。口コミでも必ず高評価を得られる映画になると思う。

基礎点(20)+技術点(29)+芸術点(43)×1.5-減点(-2)=CinemaX指数(112)

「B」評価(100~119点)

実話をもとにした映画は、殆どが実話負けしてしまう中で「おっぱいバレー」が面白く仕上がったのは、実話=無難に面白いと安心することなく、オリジナル作品のようにキャラ設定をしっかり行い、丁寧な構成を心がけた賜物といえるでしょう。バレー部員はオーディションであえて冴えない雰囲気の役者を選んだようですが、見ていて段々とかっこよく見えてくるのが不思議です。丁寧な設定は、脚本がオリジナルドラマ全盛の頃から活躍を続ける岡田惠和氏ということもあるのかもしれません。

2009年4月23日/丸の内TOEI1
Opv_4

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Comments

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