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November 05, 2008

ICHI

「ICHI」

監督:曽利文彦
原作:子母沢寛
音楽:リサ・ジェラルド
脚本:浅野妙子
出演:綾瀬はるか、中村獅童、窪塚洋介ほか

「寄せ鍋」

女版座頭市です。主演は綾瀬はるか。写真より動いている方が絵になる人です。一方で新垣結衣は写真の方が絵になる感じがします。女優としてギアチェンジの必要がない長澤まさみはどっちでもいいんですが、最近は下積み時代とは打って変わってテレビにあまり出なくなったような気がする綾瀬はるかのほうが女優っぽい感じがしてきたのは気のせいでしょうか。

さて、女版座頭市とはどのようなものかと思いきや、完全無欠でないヒロインでした。かつては金髪の座頭市もいたぐらいですから、もう何でもありなのでしょう。座頭市があまり強くないという設定は面白いのですが、むしろ周りが気になります。侍の癖に刀が抜けないという典型的なトラウマ落ちの男と一緒に、七人の侍と用心棒を足したような設定で、池袋ウエストゲートパークみたいな村人が、マッドマックス2みたいな相手に戦いを挑む。もしオリジナリティを重視して作ったのなら問題ありです。

ただし、いろんな面白い要素を取り入れて、エンタテインメントということで作ったのならありなのかもしれません。綾瀬はるかの演技も酷評されるほどではないですし。やっぱりこの人の表情は不思議な魅力がありますね。非の打ち所のない美女というでもなく、街を歩いていて埋もれるような顔でもない。微妙なバランスで保たれている危なっかしさが魅力なのかもしれません。かつてはグラビアもやっていたのですが、別に露出なんかどうでもいいので、もっと映画に出て欲しいと思います。

と、ここまではいいのですが、脇を固める俳優が通り一辺倒なのが気になります。大沢たかおはともかく、もういい加減飽きてきた中村獅童の「デヘヘ」演技、久々に見る窪塚洋介は、この配役(宿場の元締めのボンボン)は見事にハマっているのですが、息継ぎなしに一度に山を登って下るようなセリフ回しは懐かしいようでもあり、またこれかよという感じもしなくはありません。ほかにも柄本明の時代劇のお手本のような演技もあり、いろんなところからいろんなものを持ってきて、無難にまとめたなあという映画です。

ただし、トラウマ落ちの侍が、刀を抜くきっかけが極めて弱く、せっかくここまで持ってきた展開が台無しになっています。後半に進めば進むほど話の展開が雑になっていくのがもったいないと思うのですが、おしんの夫役を演じた並樹史朗が出ていて懐かしかったり、ベッタベタの竹内力の演技は楽しかったりもします。特に竹内力の夢に出て来そうなベッタベタの死に顔は一見の価値があります。最高の死に顔です。

「最終評価C」

2008年10月30日/新宿ミラノ座

080813_ichi_main

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