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November 12, 2007

マイティ・ハート/愛と絆

監督:マイケル・ウィンターボトム
原作:マリアンヌ・パール
音楽:ハリー・エスコット、モリー・ナイマン
脚本:マイケル・ウィンターボトム、ローレンス・コリアットほか
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビほか

「アンジーとブラピの凡作」

今回も試写会です。アンジェリーナ・ジョリー主演、ブラッド・ピットがプロデューサーを務めているというせいか、観客のほとんどが女性でした。前評判が良い映画ですが、アンジェリーナ・ジョリーがその期待に応えられるか、果たしてCinemaXの評価やいかに。

舞台はパキスタンです。アフガニスタンでもイラクでもありませんが、治安の悪さは伝わってくる映像が目に飛び込んできます。僕が学生時代の頃は、国際関係学部の連中がこぞって「パキ、パキ」と言いながら研修先に選んでいた、比較的治安の良い国だったと記憶しています。一方でタリバン政権下にあったアフガニスタンは、完全に世界の地図上からブラックアウトしていました。

この映画、一言でいえば、パキスタンでジャーナリストのダニエル・パール氏が誘拐、殺害された2002年の実話をもとにした映画です。実話をもとにした映画は、実話負けしてしまうことが多いだけに、展開が気になりますが、前半はカットバックでそれなりに緊張感があるのですが、ちょっと間延びしているような気も。

ターン1までの評価「C」

パール氏が誘拐され、アンジェリーナ・ジョリー扮する妻とその周りの人々による謎解きが始まります。関係者の交友関係探りながら、犯人を割り出していく地道な作業が続きます。友達の友達は他人であることが分かります。友達の友達がアルカイダなどと言った現職大臣のいい加減さが分かります。彼は何故か無罪放免。

誘拐に対する怒りはあるものの、観客の心は揺さぶられることがなく平坦な展開です。題材が重いため一見、良い映画に見えるのですが、実は非常に薄っぺらいことが分かります。ところどころに米国のプロパガンダが込められているようにも思えてくるのですが。

ターン2までの評価「C」

さて、後半はいきなりアクション映画さながらの展開です。パキスタン版CIAみたいな男が、兵隊を率いて次々と犯人と思しき男たちを突き止め、拷問していきます。唐突な感じがします。こんなことが出来るなら最初からそうすればいいのに。

かくして、事件は最悪の結末を迎えます。妻は号泣しますが、何故かこの感情も伝わってきません。シーンの時系列がバラバラな割に観客の頭の中でしっかりとシーンが繋がる映画なのですが、最後まで平坦な感じがしました。「テロはダメ」というのは当たり前すぎ。原作はきっと読者に訴えるものがあるのでしょうが、映画としては普通でした。前述の通り、題材が重く、家族の大切さを扱っているだけに良い映画と錯覚してしまう人が多いようですが。

最終評価「C」

試写会のアンケートで「アンジーとブラピの○○」という穴埋めを強いられるのですが、僕は「アンジーとブラピの凡作」と書いてしまいました。普通の映画です。ほんとに。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成19年11月8日
劇場:一ツ橋ホール
観客数:882人/882席
感涙観客度数:多数
※感涙観客度数は、劇場内の鼻すすり音で判定

人が死んだら悲しいのは当たり前。でもしっかりと種まきをしなければそのシーンだけ。薄っぺらくなります。

ついでに紹介!

マイティ・ハートではアンジェリーナ・ジョリーの新たな可能性が感じられましたが、やはり彼女といえば「17歳のカルテ」でしょう。

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November 06, 2007

ディスタービア

監督:D・J・カルーソー
製作総指揮:アイヴァン・ライトマン、トム・ポロック
音楽:ジェフ・ザネリ
脚本:クリストファー・ランドン、カール・エルスワース
出演:シャイア・ラブーフ、キャリー=アン・モス、デヴィッド・モースほか

「椿三十郎」

割と前評判のいい「ディスタービア」の試写会に行きました。ヒットコックの「裏窓」をヒントに得たといわれていますが、どこにもリメイクとは書いていないようですね。リメイクだとすれば、よほど工夫しないと二番煎じ以下になってしまいがちなもの。果たしてCinemaXの評価やいかに。

冒頭は主人公、ケールと父親のエピソードです。宣伝方法に使われて印象付いてしまった感のある「覗き」というイメージとはかけ離れたスタートです。冒頭で衝撃的な印象を与えることを「殴り」というらしいのですが、ディスタービアは殴りスタートの映画といえます。

そのトラウマが、ケールの行動に繋がります。裏窓では足にケガをした主人公が物理的に動けないという設定なのですが、ディスタービアでは、ケールが自宅軟禁に追い込まれるまでの説明に意外と長い時間を割きます。これが無駄なような気もしなくもありません。

ターン1までの評価「B」

自宅軟禁に追い込まれたケールは、アジア系の友人、ロニーと隣に引っ越してきた美女、アシュリーと近所の怪しい男、ターナーの監視を始めます。ここに至るまでの過程で、ケールのアシュリーの部屋や水着姿を覗きいたりするのですが、映画の宣伝は悲しいかな、この部分だけクローズアップしています。確かにアシュリーは少年達がメロメロになるのも納得できるような美女だと思うのですが、本筋とはあまり関係がありません。

3人で特定の人物を監視するのは、「モンスターハウス」の設定に似ています。怪しい男、ターナーが犯人か否か、観客を巻き込んでハラハラさせるのは面白いのですが、これも裏窓の域を超えていません。この間、ケールとアシュリーのラブロマンスも展開されるのですが、心の動きが作り手の独りよがり過ぎてちょっと置いてけぼりをくらってしまいます。

ターン2までの評価「B」

クライマックスは、ケールが自宅軟禁の禁を破って飛び出して、今までとは全く違ったスプラッタムービーに豹変します。こういう展開が好きな人もいるでしょうが、木に竹を繋いだような流れなので、違和感たっぷりです。暴力あり、血しぶきあり、ドクロあり、何でもあり。何でもやりすぎて、笑えてしまいます。

ディスタービアは、全米での興行収入10週連続トップ10、うち3週連続1位という米国では実績のある映画なのですが、日本では「覗き」という点に特化した宣伝方法が果たして吉と出るか凶と出るか…あえてB級映画として、銀座シネパトスあたりでこじんまりと上映した方が、話題を呼ぶような気がするのですが。

最終評価「B」

思ったより面白いですが、裏窓の域を出ていないような気がします。前半のお色気と、後半のドタバタを付け加えて無理矢理映画に仕上げたような印象です。そう考えると、それ以上に限られた空間を使って巧みに2時間弱の映画に仕上げたヒッチコックの手腕が一層引き立ってしまいます。きっと、リメイクの「椿三十郎」を観た後も同じことを感じるんだろうなと思います。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成19年10月30日
劇場:一ツ橋ホール
観客数:882人/882席
感涙観客度数:皆無
※感涙観客度数は、劇場内の鼻すすり音で判定

終盤はケールの父に対するトラウマと母との確執がクローズアップされます。これは自宅軟禁にきっかけにもなったのですが、隣人のターナーを含め人を動かす動機としては、前半にあまりにも小さく扱いすぎているような気がします。後付けの理由のような。

ついでに紹介!

裏窓とモンスター・ハウス。

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November 04, 2007

どうでもいいこと

久々の日記です。

長い間更新をサボっている間にいろいろなことがありました。亀田騒動、赤福騒動、防衛省元次官の接待、そして今日、民主党の小沢代表が辞意を表明しました。でも、けしからんと騒いでいるのはマスコミだけのような気がするのですが。

亀田騒動もそう。次男の試合はひどいもので、父親がリング上で反則を促す発言をしているのをマイクが拾っているのでこの点は批判されるべき点ですが、今まで贔屓目で扱っていた一部のテレビ局や有名人を一斉に批判するのも問題があるのかもしれません。

先日、テレビ番組のアンケートで、社長が問題を起こした場合、辞めるべきかという質問に実に8割の人が「やめるべきでない」と回答しました。辞めるだけで全て幕引きというのは時代遅れなのかもしれません。

その一方で、何か問題があるたびにマスコミは「責任はどうとるのか?」と社長に詰め腹を迫ろうとします。前述のアンケートは極めて短時間で行ったものであり、サンプル数も少ないので世論を完全に反映していないのかもしれませんが、マスコミと世間との温度差を感じずにはいられません。

マスコミは問題が起きると何故、社長を辞めさせようとするのか。これは社長だけに限りませんが、辞めると話題作りになるからです。ターゲットが実際に辞めるとマスコミの役目を果たしたと自分自身だけで納得し、辞めないと徹底的に責める…これもまた話題作りになります。報道はそこまで。辞めた人間はそのまま社会から放り出されて路頭に迷います。

ミートホープのような悪質なケースは救いようがありませんが、社長がそのまま残って自力で再建出来たケースもあるはずです。社長の座にすがりつくだけの人間は論外ですが、可能性の芽を奪ってまでも話題作りをしようとするマスコミの姿勢に疑問を感じてしまいます。

小沢代表は先ほどの会見で、福田総理との党首会談での大連立構想の提案内容に続けて、日経、朝日以外のマスコミを痛烈に批判しました。小沢代表から自民党に大連立を持ちかけたという報道に憤っていました。自分や秘書に一度も取材しないで、与党関係者から垂れ流された情報をそのまま鵜呑みにして誹謗中傷をしているというものでした。

NHKは中継を行ったので、小沢代表がマスコミ批判を行った部分も視聴者に届きましたが、他のテレビ局や新聞は間違いなくこの部分をカットすることでしょう。政権交代に関する報道も社長の詰め腹と同じです。民主党が躍進すれば話題になりますし、勢いを失っても話題になる。所詮はマスコミの政治部の取材体制は今の与党に守られているわけですから、民主党が勢いを増すのはいいけれども、政権をとってもらっては困るということになります。

このように何でもバランスをとるように話題を拾いながら、上手く世論をコントロールするのが今のマスコミの仕事です。記者クラブ制度で独自でネタを掘り起こす能力がなくなっているわけですから、既存の材料をどう上手く料理するか、いや、美味く見せられるよう視聴者や読者を騙せるかがポイントになります。

亀田騒動なんかどうでもいいと考えている人が多いでしょうし、赤福だって早く管理体制を立て直して発売を再開して欲しいと思っている人が多いはずです。今回の大連立構想に関しても、会見を聞くと理に叶った部分が多く、それを党内に持ち帰っただけで「けしからん」という論調は、世論を反映しているとは言い難いでしょう。ただ、今回の一連の騒動で衆参逆転でようやく格差政策に向かい続けた与党の暴走を止められて面白くなってきただけに、この構造が壊れてしまうとすれば、残念でなりません。

20071104184645

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