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October 20, 2007

自虐の詩

監督:堤幸彦
製作総指揮:迫本淳一
原作:業田良家
脚本:関えり香 、里中静流
音楽:澤野弘之
出演:中谷美紀、阿部寛、カルーセル麻紀、西田敏行ほか
上映時間:115分
(公式サイトはここ

「繋ぎのないハンバーグ」

27日封切りの「自虐の詩」です。今回も試写会で鑑賞しました。原作は4コマ漫画なのですが、私は読んだことがありません。愛読者とそうでないひとでは評価が分かれると思いますが、Cinemaxは原作も続編もその映画に初めて出合ったという観点の元で評価しています。果たしてCinemaXの評価やいかに。

冒頭は気仙沼でのエピソードです。主人公の少女「幸江」は何から何まで恵まれず運が悪いまま大人になりますが、その前のちょっとした部分の説明です。その割にはちょっと長すぎるような気がします。

それから十数年後、幸江は大人になります。新聞の日付で時間経過を、ホクロで同一人物(成長した幸江)を説明しているのですが、微妙だった少女が成長すると…中谷美紀に。これは無理があるような気がしますし、この設定だと嫌われ松子の一生が浮かんでしまいます。プロデューサーが植田博樹氏なので、このスタッフやキャスティングになったのは安易に想像できますが、だからこそ安易過ぎます。観客動員で金稼ぐ気あるの?

前半は4コマ漫画をそのまま映像にしたようで、映像の中にコマが丸見えです。原作が優れているからなのでしょうが、観客席からは度々笑いがこぼれます。そのうちに感情移入が進むという手法もありだとは思いますが、ストーリーは全く進まず、観ていると段々と食傷気味になってきます。

ターン1までの評価「D」

幸江の父親役で西田敏行が登場します。冒頭、パンツ一丁でちょこっと登場するのですが、ここからが見せ場です。主人公やその周囲の人間など気仙沼の人間が何人か登場するのですが、ネイティブに感じるのは序盤にチョイ役で出てきた気仙沼ちゃんと福島出身の西田敏行。特に西田敏行の字幕が入るほどの訛りは見ものかもしれません。

中盤以降は幸江の浮かばれない人生と少女時代の回想が中心になります。前半の4コマ漫画まみれの状態からすると、クライマックスに向かってやや坂道が見えてきますが、どうも木に竹を繋いだ無理無理感は否めません。その後、阿部寛が演じる主人公の夫、イサオのエピソードが浮上します。阿部寛は序盤からいい味を出しているのですが、こういう壊れキャラが続くとちょっと飽きてきます。

イサオは、暴力団組員の親を持ち、将来有望なワルとして期待されていましたが、主人公の女性のために極道を捨て、真っ当な道を歩みはじめる…というエピソードはいいのですが、これを説明するのは映画の最後のあたり。まるで時系列関係なくシーンをぐちゃぐちゃにかき回したTAKESHIS’のようです。ただし、もともと難解だと思って観ているのといないのでは受けるインパクトが違います。「自虐の詩」の場合は、無茶苦茶という印象を受けてしまいます。

ターン2までの評価「D」

幸江とイサオのエピソードに混じって、主人公の少女時代の親友、熊本さんのエピソードが出てきます。このあたりの回想は、なかなか見所があって、人によっては感涙ポイントになりえるのでしょうが、本筋のストーリーに無理矢理挟み込んだ感も多く、端折ったり、省略したりすることも可能なのかなと思いました。

さて、感動のフィナーレに向かうのですが、主人公の心変わりという点で見ると、幸江は何一つ代わることなく、イサオのみが変化します。ただしイサオは冒頭から木偶の棒なので、ちょっと感情を見せると心境の変化とみえてしまう設定上の「利点」があります。でも、この映画は大きな問題があります。

最終評価「D」

イサオは、極道の道から足を洗い、真っ当な道を歩もうとして、時系列的には冒頭の部分に繋がります。ただ、この時点ではチンピラ同然になっています。最初の悪→善になったきっかけは、幸江に出会ったことなのですが、次に善→悪になり、幸江を苦しめる部分の心境変化が本編では全く説明されていません。で、最後の悪→善に繋がります。「根は良い人なんだよ」という説明では、絶対に納得できません。肝心の部分が省略された、繋ぎのないハンバーグのような映画でした。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成19年10月16日
劇場:中野サンプラザ
観客数:2222人/2222席
感涙観客度数:20%
※感涙観客度数は、劇場内の鼻すすり音で判定

そのシーンだけ切り取れば泣けます。少女時代の幸江がああいう成長を遂げたので、熊本さんもさぞかし美人になるのかと思えば、そのまんまでした。この辺り、もうちょっとひねりが欲しかったような気がします。ちなみにエンディング後にも映像があるのですが、この映画のテーマみたいなのを幸江が言葉で説明するだけ。これでは観ても観なくても同じ。恥の上塗りのようでした。

脚本の関えり香氏は数年前、某シナリオ学校の合宿に講演者として参加した植田博樹氏の出した課題を提出して目にとまり、その後、連ドラに大抜擢された脚本家です。当時は確かシナリオの書式を学んだぐらいの駆け出しだったので、まさにシンデレラストーリーだったといえます。その当時は講座に通う生徒は誰にでもチャンスがあるんだと色めき立つ雰囲気はありました。

ただ、この件に関しては当時、いろいろあって、ナンバー1で選出された女性が結果的に重用されず、この女性と思しき人物が「結局顔で選んだのよ!」とネットのあちこちで恨み節を吐いていたといわれています。運も実力のうちなので、何ともいえないのですが。

ちなみにこの映画、堤幸彦ファミリーで固められているのがちょっとがっかりしました。何だか仲間うちの学芸会のような感じです。竜雷太なんか出て来たらがっかり。堤氏は同時期に公開されている映画、「包帯クラブ」の監督をつとめていますが、興行収入としては世紀のの大失敗と噂されています。原作を読めば映画にはなじまないと分かるはずなのですが。ちなみに、もう一人の脚本家、里中静流氏とは、実在の人物でしょうか?別の映画(もちろん堤監督)の主人公の名前だったような。もしそうなら、こういう学芸会のノリに辟易してしまいます。

現在、多くの邦画製作で製作委員会方式がとられていますが、資金は確保出来るうえにDVD収入(というよりレンタルショップに無理矢理買わせる)が見込まれるので、興行収入がショボくても失敗することは少ないといわれています。劇場公開はDVDへの箔付けととらえるむきもあるとか。だから、最近の邦画は作り手からヒットさせようという意気込みが伝わらないのかもしれません。「自虐の詩」もしかり。

ついでに紹介!

「包帯クラブ」原作。どちらかといえば雰囲気を味わう小説です。そもそも新書で発刊しているのですから、知る人ぞ知るという存在で、メジャーになるとは誰も思わなかったはず。だからこそ映画化の話を聞いた時点で嫌な予感がしました。予感的中。

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Comments

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