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June 09, 2007

300(スリーハンドレッド)

監督:ザック・スナイダー
製作総指揮:フランク・ミラー、デボラ・スナイダー、クレイグ・J・フローレスほか
原作:フランク・ミラー、リン・ヴァーリー
脚本:ザック・スナイダー、マイケル・B・ゴードン、カート・ジョンスタッド
音楽:タイラー・ベイツ
出演:ジェラルド・バトラー 、レナ・ヘディ 、デヴィッド・ウェンハム 、ドミニク・ウェストほか
上映時間:117分
(公式サイトはここ

「結局アメリカ」

グラフィック・ノベルといういまいちピンとこないジャンルの作品が原作の300です。大人の絵本?アメリカでは封切直後しばらくは興行収入ランキングでも上位に居座っていました。情報源は日曜夜の「SHOWBIZ COUNTDOWN」です。このランキングは映画の面白さに比例するようで、日本でヒットした「ナルニア国物語」なんかは速攻でランキング外に落ちていきましたし、結構参考になります。

予告編で映像を観て、赤みがかった画面とCGを織り交ぜているので、キャシャーンみたいだなと思ったのが結構前でした。嫌な予感は的中するのか、果たしてCinemaXの評価やいかに。

ゲームみたいなオープニングです。CG混成の画像は意外に見辛くはありませんでした。ストーリーも至ってシンプル。食うか食われるか。300を一言で説明すれば、ペルシアに攻め入られるスパルタの話なのですが、一度制覇されれば、その後は自治権を与えられても属国になってしまうわけです。どこか企業社会みたいですね。例えばカルピスは味の素の軍門に下ってブランドはあるものの、会社は味の素に牛耳られています(多分)し、他にもヱビスビールや三ツ矢サイダーなど、商品名は残っているものの会社自体は消えてしまった(多分)ものは沢山あります。

ターン1までの評価「A」

300は、スパルタのレオニダス王が、ペルシアのクセルクセス大王がスパルタに攻め入ることを知り、兵を出そうとするのですが、硬直化した国の法律で300人でしか出せません。これがカセになります。スパルタでは、子供を産み落とすのは女性だという理由で、王妃も王に口出し出来るらしいのですが、300を観ていると、日本は男ばかりの社会になってしまったことが、様々な腐敗を生んでいるのではないかと思えてきます。少し遡って江戸時代には将軍家を大きく左右する大奥というものがありましたし、戦国時代でも直接的・間接的問わず女性は男性に大きな影響を与えてきました。結婚を例にあげると、遥か昔は、女性が主導権を持っている妻問い婚が主流でしたし。このほかにも歴史上、日本の歴史末を大きく左右する女性が何人も出てきます。

それに引き換え今の日本は、男女平等の世の中とはいえ、男だらけです。確かに女性も社会進出しているのですが、キャリアウーマンと呼ばれる方々は、男性と同列にある女性です。300では、女性として男性を支え、時に見守る役割を果たそうとしている女性が出てくるのですが、この2種類の女性は、全く違う存在であることが分かります。そういう意味では、今の日本は、女性本来の力が足りないのかもしれません。女性の本来の活躍の場を奪ったのは、男たちなのでしょうが。

ターン2までの評価「A」

300は、戦闘シーンも見せ場です。次から次へと現れる軍隊、それは、広い地域を統治しているペルシアの軍隊という設定なので、軍隊の人種から武器、戦い方まで多岐にわたっています。これがかなり面白いです。キン肉マンのトーナメントみたいです。バッサバッサ斬りまくられて、時に首まで飛ぶシーンもあるのですが、赤みがかった映像のせいか、ひどく残酷な感じはしませんでした。血液が泥みたいに飛ぶなど、あえてリアルさを回避しているような設定によるものも大きいかもしれませんが。一応R-15指定なのですが、残酷さで指定されたのなら、そこまで過敏に反応する必要はないのかなと思いました。

強さを誇ったスパルタ軍も、あることで劣勢に転じます。あることとは何なのか、最後はどうなるかは実際に観ていただくといいのですが、このきっかけとなる出来事の「あーあ、何でそんなことするんだよ」感は、映画に必要な要素です。例えば、他の映画に例えると、主人公が迷ったために仲間が死んでしまったりとか、それで観客に「あーあ」と思わせる要素です。これで観客は感情を揺さぶられ、さらに映画に惹きこまれる事になります。

このあることのきっかけとなる出来事があるのですが、レオニダス王、いや、強い者だけしか生き残れないスパルタ軍の方針を良く物語っています。この設定には批判も多いかもしれませんが、平時はいくら大事にしましょうと呼びかけていても、戦時ではこれが現実なのでしょう。みんな仲良しという映画が多い中で、かえってリアリティが出てくるような気がします。この時のレオニダス王の判断にも「あーあ」感が漂っています。面白いです。

最終評価「A」

ストーリーも至ってシンプルで、映像的にも面白いのですが、出汁のない味噌汁のような映画です。ただ、地味なキャストや見辛そうな映像(実際に観るとそう違和感はないのですが)など不利な状況の映画の割には、面白い映画だと思います。B寄りAという感じです。

原作のテイストなのでしょう「結局アメリカかよ」と思わせるような展開は、賛否両論あると思いますが、愛国心バリバリの米国で原作を含め大ヒットしたというのは頷けます。周囲の評価には時代考証がなっていないという見方もありますが、中世ヨーロッパならともかく、そこまで厳密に考える必要はないと思うのですが。時代考証を無視した「マリー・アントワネット」とか、アジアということでごった煮にされた「DOA/デッド・オア・アライブ」そしてクソ映画の王様であり、はるか未来の設定でありながら1年後とかみみっちい設定を混ぜるという、小銭に五月蝿い大金持ちのような「キャシャーン」で感じた違和感には遠く及びません。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成19年6月2日(先行上映)
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:156人/156席
感涙観客度数:20%
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。
まあ、泣こうとして観ていれば、泣けなくはない映画です。

戦闘シーンも見所ですが、中ボスや大ボス(クセルクセス大王)などが乗る、無駄に豪華な櫓なんかは、ばかばかしくて楽しいです。他にも役立たずのサイが速攻でやられたり、このシーンを無駄にスローモーションにしたりとか。意外に面白いエンディングを観ると、ゲームっぽいなあと思ってしまいます。これも原作のテイストなのかもしれませんが。

ついでに紹介!

実写プラスCGという映画の可能性を広げた「グラディエーター」この映画なくしてここ数年の戦記映画はなかったかもしれません(注:ゲド戦記は論外)。ハチャトゥリアンの組曲「スパルタクス」はかなり大人しめの一方、吹奏楽曲としては最高峰だと思う、ヤン・ヴァンデルローストの交響詩「スパルタクス」は、ド派手で聴き応え充分です。

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Comments

Very energetic post, I loved that a lot. Will there be a part 2?

Posted by: Peter | May 04, 2014 at 05:37 AM

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