« ロッキー・ザ・ファイナル | Main | 主役捏造・主役不在 »

April 12, 2007

犯人探し

留年通告を理由に女子学生が自殺しました。通告を行った准教授は懲戒免職となりました。そんな理由で死を選んでしまう学生がいたことにも驚きですが、大学側の処分の重さ、そして異例の早さにも驚きました。身内に甘いくせに企業などが問題を起こすと犯人探しをして何かと処分が甘いと食いつくマスコミですが、今回の大学側の対応に批判の手を緩めてしまったような気がします。

留年の原因となった課題は、難易度が高かったといわれていますが、一概にこれを批判していいものかと思います。例えば、大学教授や講師は、一般的にその大学のOBか、外部の場合はその大学のレベルより高い大学を卒業した人間が招かれる傾向にあるようです。実際僕が通っていた大学にも国立大や有名私立を卒業した教授や講師がウジャウジャいました。教育熱心な人もいましたが、天下りとでも考えているのか、学生を見下した言動を繰り返すバカもいました。「東大では、君らと違って生徒と呼ぶんだ」「どうせ君たちには理解出来ないだろうけど」とか。

自殺した女子学生が通っていた高崎経済大学は、最高学府でも私立の難関校でもありません。ただ、どのレベルの大学にも向学心に燃える学生が必ずいるはずです。学生は単に偏差値で輪切りにされているに過ぎませんから。それらの学生に難しい課題を出すことが、果たして批判に値するかと考えると疑問です。亡くなった学生は真面目、完璧主義者だという声もあります。留年というのが人生の大きな傷になると判断したのでしょうが、そうした心のケアが出来る友人や家族がいなかったのかと思うと残念です。ケアできなかった学校や准教授を批判する声もあります。准教授が女子学生が自殺するとメールを送って放置していたことも批判されていますが、学生生活の何から何まで学校や講師に面倒をみろというのは違うような気がします。

准教授の懲戒免職の理由に言動がおかしかったことも挙げられています。例えば、キャミソールワンピを着た女子学生に「ピンサロ嬢みたいだ」と言ったとか。教育者の立場で発言する言葉ではありませんが、一方的に非難するのも行き過ぎなような気がします。ビジネスではスーツが必要ですが、講義を受けるのにキャミソールワンピは必要ですか?このほかにもおかしな言動があったといわれていますが、一方で授業が面白いという意見も。どちらも一方的な意見なので、これらの声だけを汲み取って判断するのは危険だといえるでしょう。

さて、水晶岳でヘリコプターが死傷事故を起こしました。マスコミは犯人探しに躍起です。座席の一部が外されていたことで乗客の生死を分けたという見方がありますが、会社側の弁明では、当日の飛行ルートの判断を含め、全ては亡くなった機長に一任されていたという「死人に口なし」の状況に追い込もうとしているようにもみえます。一方でテレビや新聞では今後、先日の胴体着陸後の過熱報道のように、ヘリコプターのちょっとした事故を針小膨大に取り上げることでしょうが、日本全国のヘリコプターが全て危ないものだと勘違いしないよう、注意しなければなりません。

犯人探しがもう1つ。小学校でワーワーロープなる遊具が破損し、小学生が軽傷を負いました。一部のテレビ局は定期点検を行っていた業者に詰め寄り「責任を感じませんか?」「点検ミスということですか?」と詰問していました。まともに答えない業者の態度も不可解なのですが、そういう報道をすることに何か意味があるの?という気がします。そもそも、ワーワーロープは、PTAが贈った遊具ですから、箱ブランコの事故のように製造業者を吊し上げることが出来ないので、点検業者を犯人としたいのでしょう。学校側に一定の責任があっても何年も経てば教師は入れ替わってしまうことや、遊具を贈った当事者であるPTAも役員は入れ替わり、そのそもマスコミはPTAを批判することに及び腰ですから、犯人探しに腐心すれば、矛先は業者に向かうということになります。

遊具による事故が発生したことで、いつものように日本全国の学校や公園の遊具が危ないともとれるような報道がなされることでしょう。ただ、ブランコの足元ですら人工芝になるなど過保護な遊具が増えるなか、ワーワーロープのようなスリルのある遊具が学校から消えてしまうのは残念なような気がします。子供は、少々危険な思いをすることで成長します。そういったチャンスを塞いでしまうことは、成長の目を摘むことと同じだといえます。これでは、頭と身体は昔より成長しても人の痛みが理解できない子供が増えてしまいます。

マスコミは、犯人探ししてはしゃぐするよりも、むしろ無菌社会の危険性について議論すべきではないでしょうか。関西テレビのやらせ問題に関する激甘処分などのように、身内すらまともに裁けないのですから、正義の味方のような顔をする資格はありません。
Kiso

|

« ロッキー・ザ・ファイナル | Main | 主役捏造・主役不在 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49725/14656398

Listed below are links to weblogs that reference 犯人探し:

» 准教授 [いま人気のコトバとは?]
准教授 プロフィール検索 動画検索 画像検索 [Read More]

Tracked on April 18, 2007 at 08:59 PM

« ロッキー・ザ・ファイナル | Main | 主役捏造・主役不在 »