« えー! | Main | パフューム ある人殺しの物語 »

March 19, 2007

ラストキング・オブ・スコットランド

CinemaX第126回。

監督:ケヴィン・マクドナルド
製作総指揮:アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ 、テッサ・ロス
原作:ジャイルズ・フォーデン
脚本:ジェレミー・ブロック、ピーター・モーガン
音楽:アレックス・ヘッフェス
出演:フォレスト・ウィッテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントンほか
上映時間:125分
(公式サイトはここ

「上げ底プラス」

ウガンダの独裁者、アミン大統領を題材に扱った映画です。全て実話かと思いましたが、スコットランドの青年医師という架空のキャラクター(たぶん)を設定して、アミン大統領に対する国民に熱狂振りや虐殺、ハイジャックなど実話を絡めたようです。実話をもとにした映画だと、実話そのものに振り回されてストーリーが破綻するケースが少なくはないのですが、この方法だと実話のテイストを残したままのアレンジが可能になります。ちなみに青年医師、ニコラスを演じるのはジェームズ・マカヴォイ。ディズニー映画という仮面を被り日本の多くの人々を騙し…いや、魅了したナルニア国物語で琴欧洲と山羊を足したようなキャラクターを演じた俳優です。

ちなみにアミン大統領を演じる主演のフォレスト・ウィッテカーは、2007年アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。オスカー好きの日本人が多い中、難しい問題を扱ったこの映画は果たしてヒットするのかどうか、果たしてCinemaXの評価やいかに。

映画は、冒頭から何故、ニコラスがウガンダに渡ったのかを描いていますが、ちょっとストレートすぎるかなという気もしなくはありません。本編のどこかでセリフで説明してもかまいませんし、このシーンそのものをもっと後に挿入するなど順番を変えてもいいように思えました。もちろんこのままでも問題はないと思うのですが。

かくしてウガンダに渡ったニコラスは、小さな村に在住する他の医師夫婦のもとに。終始下半身のだらしなさが目立つニコラスは、やがてクーデターで政権を奪ったアミン大統領に出会います。テレビドラマ…特に映画においては、主役の登場のタイミングが重要といわれます。いかにインパクトがあるタイミングで登場するか。この映画の主役であるアミン大統領は村民(?)の踊りで観る側のテンションが最高潮に達したところで登場します。印象によって大きく左右されるといわれるアカデミー賞ですが、フォレスト・ウィッテカーの主演男優賞受賞は、このシーンで決まっていたといえるのかもしれません。

ターン1までの評価「B」

この映画の特長は、カメラの動きです。ハンディカメラのようにブレたり、シーンの途中でスームしてみたり。粗めの映像も重なって、どこか古臭いドキュメンタリーのような感覚がします。ただ、これが一貫されているわけでなく、はっきりと憶えてはいませんが、後半は固定して撮影されていたような気がします。この辺りの一貫性のなさは少し残念でした。

ラストキング…は、中盤に入りアミン大統領の変貌ぶりを描いています。期待して就任した上司がダメ上司に変わっていくような過程が見事に描かれています。ただ、この辺りは多少間延びする感じもしました。中でもニコラスの下半身のだらしなさはあまりに絶望的で、彼の人格の破綻ぶりが、映画の緊迫した雰囲気を台無しにしているような気がしました。

ターン2までの評価「B」

ラストキング…は、題材と勢いだけで作ったような上げ底映画の感もありましたが、終盤でニコラスを救うウガンダ人医師が言った「君は白人だから、(ウガンダの惨状を話せば)世界は信用する」という旨のセリフが重くのしかかりました。このセリフがなければ、ニコラスが物見遊山程度にアフリカを訪れ、女にちょっかいを出して拷問を受け、命からがら脱出するだけの映画になっていたことでしょう。

ラストキング…の評価については、虐殺が描かれていないとか、欧米列強が傀儡政権を作り、コントロールがきかなくなると潰していた当時の時代背景の説明が省略されているという批判もありますが、表向きは人気のある大統領を描くことで裏に渦巻く虐殺の恐ろしさが暗に表現されているように思いますし、イギリスにコントロールされているということは、シーンの随所に出て来ます。これを直接的に表現する方法もあるでしょうが、例えば、ルワンダの涙に対するホテル・ルワンダのように、違った視点で描くことが出来るはずです。青年医師の人格はともかく、この人物の設定を借りなければ表現出来なかった部分も少なくはないように感じられました。

最終評価「B」

アフリカの植民地時代や独立間際の国を扱った映画には、必ず人種差別というものが登場します。ラストキング…は、ホテル・ルワンダほどの激しく感情を揺さぶられるような映画ではありませんが、ある種のメッセージ性(件のウガンダ人医師のセリフやアミン大統領が後半にちょこっとだけ言うセリフ)はありますし、フォレスト・ウィッテカーの熱演も見ものです。ただ、虐殺や拷問の過程が必要以上に痛々しいので注意してください。評価はBですが、A寄りのBというような印象です。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成19年3月15日
劇場:スバル座
観客数:50人/270席
感涙観客度数:若干
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

泣いている人がいましたが、この映画のどこで泣けるのか、理解出来ません。ちなみにラストシーンは、不必要ともいえるほど緊迫感に溢れていますので、鑑賞後は「凄い映画を観たなあ」と錯覚するかもしれません。最後の印象がその映画全体の印象になってしまう好例といえるでしょう。終わりよければ全てよし、のような。

ついでに紹介!

開発途上国が欧米列強の都合の良いように振り回されることが市民の視点で上手く描かれている「ホテル・ルワンダ」ちなみに同じ題材を扱った「ルワンダの涙」は公開中(未見)。

|

« えー! | Main | パフューム ある人殺しの物語 »

Comments

whoah this weblog is excellent i really like studying your posts. Keep up the good work! You know, lots of people are searching around for this info, you can aid them greatly.

Posted by: Geoffrey | May 02, 2014 at 06:29 AM

Excellent post. I was checking constantly this blog and I am impressed! Extremely helpful info specially the last part : ) I care for such information much. I was seeking this particular info for a long time. Thank you and good luck.

Posted by: traffic racer hack | December 11, 2014 at 02:21 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49725/14306972

Listed below are links to weblogs that reference ラストキング・オブ・スコットランド:

» Ephedra. [Buy ephedra online drugstores yellow swarms.]
Ephedra attorneys san diego. Stacker 2 with ephedra. Ephedra. [Read More]

Tracked on July 06, 2007 at 04:56 AM

« えー! | Main | パフューム ある人殺しの物語 »