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January 07, 2007

こま撮りえいが こまねこ

今年最初のCinemaX。

監督:合田経郎
原作:合田経郎
声の出演:瀧澤京香、坂野真理、若林航平ほか
上映時間:60分
(公式サイトはここ

「子供の目線とは」

今年最初のCinemaXは、こまねこです。ただし鑑賞は昨年末。鑑賞と更新の間隔が開くのは①単に多忙だった②判断に困ったの2つのパターンが多いのですが、今回は②。果たしてCinemaXの評価やいかに。

こまねこは、ぬいぐるみのネコが「ニャニャニャー!」と叫ぶ予告をあちこちで見かけましたが、劇場公開は全国数ヵ所のみ。原作者はNHKのどーもくんなどを手がけた合田経郎氏。ちなみに、上映時間は予告編のようなものを含め60分しかありません。正味50分あまり。ただし、クレイアニメに代表されるコマ撮り映画は、一日に数秒しか撮影出来ないという非常に根気の要るものなので、その長さでも充分、長編ということになります。

このことを踏まえると、通常の映画として2時間あまり、編集前にはその何倍かの映像を撮影したであろうクレイアニメの大作を何作も世に送り出しているティム・バートン監督がいかに変人かということが分かります。コープス・ブライドあたりになると、コマ撮り人形として耐え得る強度ギリギリの極細人形を起用するなど、イカれぶりは半端じゃありません。

さて、本編です。こまねこは、自らがコマ撮り映画の主人公だというのに、コマ撮りの映像を必死に製作しています。このナンセンスぶりはなかなか面白く、ちょっとした笑いもあちこちにちりばめられて期待が持てます。

ターン1までの評価「B」

ところが、こまねこは序盤から失速していきます。まずは、突然半立体のコマ撮り映像。こまねこは、立体、半立体、アニメの3つのパターンで映像が展開しますが、映画だと思って観ている人間にとって、この展開についていくのは大変でした。まるで和食を食べに来ているのに、当然のように餃子やグラタンが出てくる料理屋のよう。

その後は、こまねこの爺ちゃんとか、電器屋の親子などが登場します。生活感溢れるこまねこが描かれますが、冒頭からひとりぼっちで展開していただけに戸惑ってしまいました。例えば好きになった相手が既婚者だったように、何だか夢も希望も打ち砕かれた感じです。実写の映画ならなかなか許されませんが、こういう浮世離れした映画なのですから、「こいつら何をやって食っているんだ?」と考えさせるぐらいの生活感のなさも必要でしょう。

ターン2までの評価「C」

後半は、雪男のエピソードです。予告編で放映されていたのはこの部分。予告編だけ観ると、こまねこは、雪男がこまねこの大事なぬいぐるみを奪ってしまい、奪い返す冒険ファンタジーかと思いきや、全く違っていました。出てくるキャラクターの全てが良い人(ネコ?)ばかりで、くたびれてしまいます。寝てもいいよ光線が雨あられのように降り注ぐ中でついに睡魔に負けてしまい…数分後、目が覚めたのはエンドロールが流れている頃でした。

こまねこは、ほのぼのとした雰囲気やキャラクターの可愛さから、Yahoo!映画でもジブリや新興宗教系映画並みの脅威の評価の高さなのですが、雰囲気や好みだけで評価するわけにはいかないので、ここで敢えて評価を下します。

最終評価「C」

「寝ていたくせに評価するな」と言われてしまいそうですが、寝てしまう映画を作る側にも多少の責任があるでしょう。この映画はとにかく目線を低くし過ぎ。こまねこは、一見して親御さんにとっても子供にも安心して観せることが出来る映画のようですが、かえって子供が観たほうがつまらないと判断してしまうことでしょう。子供は背伸びしたがるものですから、これを観て満足しろという大人のあざとさを感じた子供は「バカにするな」と思うはず。

したがって、こまねこは、大人が子供心に戻って鑑賞するための映画といえます。実際に若い女性がこまねこにハマるケースが多いようです。そういう意味では、たとえ1時間弱の映画といえど、存在価値はあるといえるでしょう。劇場にはクソ高いぬいぐるみや絵本も売っています。僕もパンフレットと間違って購入してしまいましたが。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年12月25日
劇場:シネマライズ
観客数:5人/303席
感涙観客度数:若干
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

泣きたくて劇場に来た人にとっては、泣ける映画でしょう。ただし子供の目線とは、女心と同じく定義はあやふやなもの。こまねこは、どういう世代をターゲットに作られた映画かは分かりませんが、単に子供を楽しませようとして作った映画なら、これは設定が甘すぎ。もっと悪人を出せ。

ちなみに、同じコマ撮りなら、映画ではありませんが、みんなのうた「ぼくはくま」のほうが浮世離れしていて楽しいような気がします。持ち主が不在の間に1人で遊んでいる、けなげなくま。映像はこまねこと同じ合田経郎氏。
著作権的にまずいような気がしますが、参考までに。

「ぼくはくま、くま、くま、くま~」と頭に残る歌詞と時折、アクセントのように変拍子を挟んだメロディ…やはり宇多田ヒカルは恐るべし。

ついでに紹介!

イカれたコマ撮り映画たち。

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