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November 21, 2006

父親たちの星条旗

CinemaX第114回。

監督:クリント・イーストウッド
原作:ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ
脚本:ポール・ハギス、ウィリアム・ブロイルズ・Jr
音楽:クリント・イーストウッド
出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチほか
上映時間:132分
(公式サイトはここ

「一万円のステーキ」

クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作第1弾。アメリカ側から見た硫黄島です。数人の兵士が星条旗を有名な写真の裏側に隠された真実を扱った意欲的作品です。ナチョ・リブレと同様に鑑賞から更新まで半月のスパンがありますが、殴り書きのメモがどこまで復元できるか、果たしてCinemaXの評価やいかに。

冒頭から大変な戦場だということが分かります。この手のシーンは、プライベート・ライアンやシン・レッドラインにもあったのですが、これらの映画に比べるとかなり地味です。特に衛兵が死にかけの日本兵の隣で米兵を必死に救うさまは、戦争の理不尽さを物語っています。このシーンだけで、戦争の悲惨さを物語っています。

この映画の特長は、時系列がバラバラだということです。現在と過去、過去同士の映像もシーンによってバラバラに分解されています。観ている側は、頭の中で組み立てていく必要があるのですが、意図的にシーンをバラバラにしたといわれるTAKESHIS’のような、困難な作業を必要としません。例えば、①朽ちて割れた花瓶②花瓶に枯れた花③花瓶に花を生ける人のシーンをバラバラに流しても、観ている側は③→②→①の順番なのだなと判断できます。シーンの並べ替えの難易度は、その程度のレベルなので、観ていて混乱することはないでしょう。

ターン1までの評価「A」

映画そのものは、第二次大戦に参加した兵士の孫だかが、硫黄島の戦いを振り返るため、生存者のインタビューとともに戦争を振り返るという、割とオーソドックスな形式です。こういう方法をとらなくてもいいような気がするのですが、恐らく第2弾の「硫黄島からの手紙」は、この手法を使わないと、説明できない部分が多いはずなので、インタビュー形式で統一したのでしょう。と、肝心の「硫黄島からの手紙」を観ずに判断しているわけですが。

この生存者が語っていた「本当の兵士は戦争を語らない」というのは、かなり説得力があります。生存者が僅かだったにも関わらず、世の中には「俺は大和に乗っていて助かった」という爺さんがどれほど多いことか。ちなみに僕の祖父が、憲兵で捕虜虐待の疑いでMPにしょっ引かれたこと、実は虐待していたのは他の兵士で、祖父は捕虜にこっそり食糧を与えていたこと、その証言を捕虜が行ったため無罪となったことなどは、全て死後に聞いたことです。もちろん周りの家族は知っていたのですが、僕に語った戦争の話というのは、ケチャップをかけて飯を食ったとか、今思うと肩透かしのような話ばかりでした。決して口を割らない旧731部隊の兵士しかり、戦争の悲惨さを間近で見た人ほど、多くを語らないのでしょう。一方でその悲惨さを語ることも、罪滅ぼしにはなると思うのですが。

いろいろな映画に登場する米兵を見て感じるのは、愛国心って何?ということです。旧日本兵は、天皇や両親に命を捧げることが愛国心として、場合によっては自決の道を選んできました。ところが米兵のアバウトさからは、愛国心というものが伝わってきません。生活のために職業として戦っている人もいるようですし、そうでなくとも何故戦うのかといえば、友人のために戦うのだということが、この映画を観ると伝わってきます。ただ、その友情も戦場で培ったものであるため、戦場に赴く動機にはなりません。統制の取れた旧日本兵やドイツ兵に比べると、あまりにもアバウト過ぎるような感じがするのですが。

ターン2までの評価「A」

星条旗を揚げたとされる6人に注目が寄せられますが、それは、真実の周りを嘘で塗り固めたものだということが分かります。このやらせを見ていると、イラク戦争を思い出します。フセイン像を倒す演出をしたことや、普通の病院から女性兵士を救って、拉致された兵士を奪還!と大々的にPRしたり。ただ、以前と異なるのは、マスコミがそのまま踊らされることなく、事実を追求して批判したことです。これが仮に日本のマスコミなら、公表された情報をそのまま垂れ流しにしていたことでしょう。権威に対する弱腰ぶりをみると、むしろ日本のほうが危険だといえるでしょう。

CGを観ると、やはりハリウッド映画の資金力、技術力を感じます。邦画でこの手の戦争を取り扱った場合、がっかりすることも少なくはないですから。第2弾の「硫黄島からの手紙」もハリウッド映画といえばそうですが、それだけで喜び勇んではいけません。ハリウッドの威を借りて、悲惨な戦争を再現した邦画として観るべきでしょう。そして何よりも肝心なのは、2本の映画とも確実に上映することです。太平洋戦争を取り扱った洋画として、唯一とも言っていいほど中立的なスタンスです。恐らく硫黄島からの手紙も同じテイストなのでしょう。「パール・ハーバー」を観て「感動しました!」などとぬかす若者を見て殴ってやろうかと思いましたが、硫黄島2部作こそ、同一の映画館で立て続けに上映されないと意味がないといえるでしょう。「父親たちの星条旗」だけを上映したのでは、全く意味がありませんから。特に米国の劇場の動向が心配です。

ハリウッド映画と邦画の差は、よくステーキとラーメンに例えられます。この話は第2弾で触れましょう。「父親たちの星条旗」そしてアメリカでは注目度が低いはずの日本側からの硫黄島を取り扱った「硫黄島からの手紙」は、日本の映画市場の洋画に対する包容力と市場そのものの大きさを象徴しているといえますが、生前の黒澤明を前にして、直立不動で顔を真っ赤にして緊張しながら話をしていたというクリント・イーストウッドならではの映画なのでしょう。だからこそ日本を見下さない。「硫黄島からの手紙」が楽しみです。

最終評価「A」

スタジアムで岩山のセットに向かう3人の兵士の場面あたりで「この映画は歴史に名を残す」と身震いすら感じましたが、終盤はかなりグダグダになってしまいました。結局、主人公がインディアン(一応、差別用語です。ネイティブアメリカンという言葉を使います。使用を控えるのは全く意味がないと思うのですが)出身の兵士、アイラのような感じになってしまったり、現在のシーンに移った後のフォローも焦点がボケてしまいました。終盤はまるで別の映画のようになってしまいましたが、戦争を美化しない映画として、やはり名を残す作品となるのでしょう。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年11月6日
劇場:丸の内プラゼール
観客数:200人/540席
感涙観客度数:不明(広すぎ)
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

もともとは日本をさんざんコケにした内容で、日本での公開にあたり改変を余儀なくされた「パール・ハーバー」と、いわゆるバンザイクリフの直前で信じられない寸劇が繰り返された「ウインド・トーカーズ」ともにCMでは涙を流す観客をつかまえて「感動しました!」
太平洋奇跡の作戦キスカ」は、太平洋作戦を扱った邦画としては奇跡的にボロの少ない映画。伊豆大島の全島避難を彷彿とさせる奇跡的な作戦といわれるだけに、手に汗握ります。怪獣映画ではありません。

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Comments

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