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November 11, 2006

平行線

会計検査院が役所の無駄遣いを指摘しました。2005年度で総額452億円。労働局では総額78億円にものぼり職員が大量に処分されました。税金を無駄遣いしやがって、と頭に来ますが、我々の怒りは彼らに届くことはありません。ほんの少し懲戒解雇をされただけで、あとは批判が喉元を過ぎるのをじっと待つだけですから。それに、今回は目に余る無駄遣いをした労働局がヤリ玉に挙げられただけで、目に見えないものは沢山あります。例えば平日夜、霞ヶ関をぐるっと取り巻く大量のタクシーが、夜遅くまで残業する職員を待ち受けています。これだって、仕事を早めに切り上げて電車で帰れば大幅な経費削減になります。確かに仕事が多く、大変な思いをしている職員もいますが、それだったら、コピーとかお茶くみしかさせないアルバイトでなく、職員を採用すればいい。一時的な人件費は増しますが、経費削減であっという間に相殺されるはずです。アルバイトの多くが身元のはっきりした綺麗どころのようです。いわば役人のお嫁さん候補。ただ、地味すぎる正規の女性職員(特にキャリア)と比べてしまうからか、仕事をしに来ているの?と思われるような身なりの人も多く、こういう人にもっと仕事を与えるのも職員の負担を軽減し、めぐり巡って経費削減になるのかもしれません。ボーナスみたいなものも出している訳ですし、ちゃんと働いてもらっても文句は言えないはずですから。

さて、先日文部科学省に送られた自殺予告の手紙の「実行日」がやってきました。当事者の生徒が手紙を投函したとされる豊島区内の学校では、夜通しで警戒していたようです。まるで凶悪犯に対峙するかのように。最近ではこの手紙に追随するように同様の内容の手紙が数通、同省に届きました。内容は「あなたが自殺すれば私も後を追います」と行動も追随するようなものばかり。面白おかしく当事者が自殺するよう追い込んでいるようにもとれますが、主体を他の人に押し付けてしまうような部分では、電車の中などで騒いでいる子供に母親が「おじさん(おばさん)に怒られるよ」と注意しているのと共通点があるのかもしれません。マスコミも今日、自殺者が出るか出ないかを追うのではなく、この挑戦状に対して、各地の教育委員会や学校がどのような対応をとったのかを徹底的に調べてもらいたいものです。労力はむしろそちらに向けるべきでしょう。

赤ちゃんポストが議論を呼んでいます。海外で多くの乳児を救った実績のある赤ちゃんポストを熊本県内の病院が設置しようというものです。この件に関しては、捨て子を助長するという声もありますが、中絶を減らし、置き去りで命を落とす乳児を救うことが出来るというメリットがあります。また、子供がなく養子を希望する方々の需要もあるでしょうし、少子化対策の遠因にもなるでしょう。ただ、これは当事者となる子供以外の視点です。子供の視点からみれば、親の愛情を知らずに育ち、養子で幸せに育てられたとしてもどこかに歪みは生じます。大人になって産みの親を探すにも確率は天文学的の低さといえるでしょう。無責任な親に捨てられたことは、一生の傷となって心の中に残るかもしれません。その後、温かい人々に囲まれて育っても、その傷がなかなか癒えることはないでしょう。

曲者なのは、もっと遠い視点から、この問題を見下す人々の視点です。若者の乱れを助長するとか、法律違反だとか、単に赤ちゃんがかわいそうとか、乳児をモノ扱いするとは何ごとだという見方です。もっと議論が必要との声もありますが、そうやって問題を先送りする間に置き去りになった乳児が命を落とす可能性は充分にあります。そういったことも考えずに、結論が出ないようなことを議論しろというほうが無責任なような気もします。前述の通り視点によって解釈が大きく変わる問題ですから、結論などあってないようなもの。

赤ちゃんポストは、まずは設置することが重要だといえるでしょう。これから寒い時期に入るからなおさらです。設置を決めた慈恵病院の理事長は、周囲の反発に負けないでもらいたいと思います。この理事長は、設置を決めた理由の一つに若い女性が乳児をトイレで産み落として殺したという事件を挙げています。子供が嫌いでも実際に赤ちゃんを手にすると変わると強調する人もいますが、そういう人もいれば、そうでない人もいるはずです。この若い女性も、赤ちゃんの顔を一度でも見ていれば気持ちが変わっていたのかもしれませんが、トイレで産み落とされては、そういうプロセスすら存在しませんから。

赤ちゃんポストに乳児を投函(?)すると法律違反に問われるという専門家もいます。確かに違法性はあるのかもしれませんが、例えば、城南電気の社長はかつて、食管法に反発して役人とケンカをしながらヤミ米を売り、硬直化していた米の流通に風穴を開けました。その結果、農家は良い米を作れば高い値段で売れることや、消費者も少しお金をかければ美味しい米が食べられることを知りました。結果は後からついてくるはずですし、そこから議論を始めても遅くないような気がします。人命が関わることなので、議論する前に、赤ちゃんポストを設置してみることが先決だといえるでしょう。履修漏れなんかより遥かに重要な問題です。
Daimonneko

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