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October 04, 2006

もしも昨日が選べたら

CinemaX第105回。

監督:フランク・コラチ
製作総指揮:ダグ・ベルグラッド、バリー・ベルナルディほか
脚本:スティーヴ・コーレン 、マーク・オキーフ
音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
出演:アダム・サンドラー、ケイト・ベッキンセイル、クリストファー・ウォーケンほか
(公式サイトはここ

「一発逆転タコ映画」

万能リモコンで世界が大きく変わる映画。原題はCLICKですが、そのまま邦題にすると必ず埋もれてしまいます。そこで考えたのが「もしも昨日が選べたら」この邦題に偽りはないのか、CinemaXの評価やいかに。

もしも…は、全米興行収入でも少しだけ粘りをみせましたので、それなりに実力はある映画なのですが、これといってパンチがなく、日本ではあまり人気がないアダム・サンドラー主演ということなのか、9月23日に地味に封切られました。同じ酒の目玉がイルマーレ、フラガールなので、どれほど地味なスタートだったか分かります。

もしも…は、B級映画の匂いがプンプンする映画です。エロ、下品なジョークが飛び交うので、カップルで観たり、子供を連れて見るにはそれなりの覚悟が必要でしょう。この辺りの妙なテンションが、日本での封切の際にファミリードラマとして大々的に売り出せない所以なのかもしれません。

長い前置きを経て、いよいよ万能リモコンが登場します。不思議なモノや世界を表現する場合は、出来る限り現在との接点が必要です。観客が置いてけぼりをくらってしまいますから、入口が必要なわけです。例えばバック・トゥ・ザ・フューチャーでは、最初の時計のシーンで観客は「?」と思い、主人公のマーティは周囲から行ってはいけないといわれていたドクの家に行ったがために、とんでもない発明品に遭遇してタイムスリップするのですが、この展開に観客はスーッと引き込まれます。

一方で現在に結びつけるという作業をないがしろにしたばかりに失敗したSF映画が山ほどありますから、注意が必要です。斬新なCGなど飛び道具を借りれば接点なしでもそれなりにインパクトのある映画になるのですが、これは特殊な例といえるでしょう。もしも…においては、万能リモコンが登場するシーンはかなり強引なのですが、まあこれはこれでよしとしてみましょう。

ターン1までの評価「B」

冒頭からジョークのテンポがいいのですが、中盤になっても同じようなテンションが続くとくたびれてきます。おまけに、人工知能搭載の万能リモコンは好き勝手に時間を移動(ほとんど進むだけ)し始めます。この好き勝手が本当に行き当たりばったりで、主人公たちの行動も行き当たりばったり。ましてや万能リモコンは返品不可というルールがあるなどご都合主義の設定のオンパレードです。

度重なる時間のなか、ストーリーは蛇行しながら数十年も経過し、後半にはいったい何の話だったかさっぱり分からなくなります。「アンドリューNDR114」を観るとくたびれてしまうように、映画の中での時間経過があまりに膨大だと観ている側は疲れてくるようです。現実ではなく映画の中だけなのに不思議です。もしも…は、ただでさえB級臭が漂う映画なのですから、万能リモコンを使ってもっとドキドキするようなシーンがあってもいいような気がするのですが、そんな期待を裏切ってリモコンは自動操縦しっぱなし。もういい加減にしてくれよ!

ターン2までの評価「C」

糸の切れたタコ映画、ストーリーに骨のないタコ映画かと思いきや、最後はマイケルの心変わりというオーソドックスな手法で攻めてきます。さんざんいろんな投球パフォーマンスを披露した挙げ句、最後はごく普通のフォームで投げるピッチャーのようです。特にマイケルが病院を抜け出して雨に打たれながら「ハ、ハネムーン」とつぶやくシーンは、この映画の名場面といえるでしょう。完全な完封負け試合かと思いきや、ここで一本ホームラン。

そこで終わるかと思いきや、ちょっと変化球。やっぱり夢だったので「安直だな」と鼻で笑っていると実はそうじゃなかったということでまたホームラン。終わり良ければ全て良しといわれますが、序盤の下品なジョーク、中盤のグダグダドラマを吹き飛ばすぐらい終わり方の良い映画でした。

最終評価「B」

序盤、中盤の走り方が影響してB評価ですが、終わり方を考えるとA寄りといえるでしょう。ケイト・ベッキンセイルの美貌とストーリーの締めくくり方の上手い、心憎い映画です。

鑑賞日:平成18年10月2日
劇場:みゆき座
観客数:25/183席
感涙観客度数:若干
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

約2時間の間に気が遠くなるほど長い時間が経過する忍耐映画「アンドリューNDR114」と現在との接点なんかよりCGで誤魔化しちゃえという作戦が何となく成功している「コンスタンティン」

天使や悪魔を扱う天国映画(?)はなかなかキツいものが多いような気がします。「普通じゃない」は、やはり普通じゃありませんでした。そういえば上段の「コンスタンティン」も天使が登場しますね。リュック・ベッソン監督の「フィフス・エレメント」は、レオンのような感動をもう一度と劇場に足を運んだ観客を唖然とさせました。あまりにも先の話しすぎて雲をつかむようでしたから。観客が感情移入できなかったのは、現在の接点がなかったのも理由の一つ。23世紀のタクシーの運ちゃんと小娘のされても困りますね。設定がぐちゃぐちゃのキャシャーンよりはマシですが。

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Comments

田舎暮らしの私は、大作『以外』の作品が評価B以上だと、「みれねーよチクショー」と、いつも腹をたててます(笑)。 ところで「フィフス・エレメント」は、大学当時好きだった女性とはじめて2人ででかけたときに観た作品で、苦いデートの思いでとあいまって『二度と観たくない映画』堂々のNo.1です。

Posted by: ぷれべる | October 04, 2006 at 03:58 AM

東京にだとマイナー映画を沢山観ることが出来るのですが、一方でダマされる確率も高くなりますね。良し悪し。フィフス・エレメントは、あのカメみたいな宇宙人が出た時点で「これは、レオンのつもりで観てはいけないんだ」と自分に言い聞かせました。映画は監督で選んではいけないことを知らしめる一例といえますね。といいながらスピルバーグというだけで罠にかかる日本人がいかに多いことか。

Posted by: yuworldmaster | October 05, 2006 at 12:34 AM

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