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October 25, 2006

不都合な真実

監督:デイヴィス・グッゲンハイム
製作総指揮:デイヴィス・グッゲンハイム、ジェフ・スコール
音楽:マイケル・ブルック
出演:アル・ゴア
上映時間:96分
(公式サイトはここ

「もう一つのアメリカ」

地味で堅い映画ながら、一時は全米興行収入の上位に食い込んだアル・ゴア元副大統領の講演を中心に収録した変化球ドキュメンタリー(?)映画、CinemaXの評価やいかに。

ゴア元副大統領といえば、現在のブッシュ大統領と2000年の大統領選で伯仲し、いい加減なフロリダ州の投票用紙の解釈が世論を二分したものの、結果的に時間切れという形でブッシュ陣営に破れた人物です。不服申し立ての過程で一瞬だけ大統領に認められた経緯があると記憶しているのですが、それで彼は映画の冒頭に「一瞬だけ大統領になったゴアです」という登場の仕方をして拍手喝さいを浴びます。

ゴアが大統領になっていれば、9.11も起こっていなかった可能性があり、これを発端に起こったアフガン侵攻、イラク戦争などを含め多くの犠牲者を出すことはなかった可能性があります。そして何よりも、この映画の主題である地球温暖化について世界的な取り組みとなる京都議定書を二酸化炭素排出大国である米国が間違いなく批准し、先進国を中心とした世界的な取り組みとして、地球を救う動きは今とは比べ物にならないほど活発化していたことでしょう。石油利権まみれのブッシュ政権が批准せず、独自の大甘な環境政策をとった挙げ句、昨年は地球温暖化の影響で巨大化する傾向にあるといわれるハリケーンに相次いで襲われ、甚大な被害を蒙ったのは皮肉としか言いようがありません。

ターン1までの評価「B」

この映画では、地球温暖化のメカニズムとそれにともなう影響を、分かりやすいグラフや実際の映像、CGなどを駆使して見せてくれます。例えばユーモアのセンスが全くない日本人が、大学の講義のように解説するのなら、これほど退屈なものはないのでしょうが、普段はイライラすることもある英語独特の言い回しは、こういう場合は緩衝材のような存在として、退屈さを解消してくれるような気がします。温暖化が進む中、氷の中をさ迷い、まさに取り付く島(ここでは氷)もなくなったホッキョクグマのCGは、ユーモラスな映像の裏に寂しさすら感じられます。

ターン2までの評価「B」

エピソードで興味深かったのは、渡り鳥がやってくるタイミングと、イモムシが地上に出てくるタイミングのズレです。温暖化で春の訪れが早くなった地域で、渡り鳥がやってくるタイミングが早くなり、それにともないヒナの孵化も早まります。ただ、イモムシが地上に出てくるタイミングは渡り鳥のそれに追いつかないというものでした。これは、ヒナが生まれてもエサがないということを意味します。それをグラフを交えて解説するので、とても分かりやすかったりします。

最終評価「B」

映画なのかといわれれば、アクションもありませんし、主人公のラブストーリーもありません。ただ、観ている側の感情は動きます。このままでいいのか、と。日本でも温暖化対策に向けた取り組みが進められていますが、企業が中心で、一般市民は夏をクールビズで過ごしたり、企業が売り出す省エネ機器を利用する程度にとどまっていて、それを啓蒙しようと官僚の天下り機関などが予算使いまくりで役人好みの芸能人(東大卒のK.Rとか、クリーンなイメージのN.Yなど。プロ野球選手に食べられてしまったN.Kも独身時代はお役人に人気があったようです)を登場させるCMを垂れ流して、そのうち「お上はちゃんとPRしていたのに、ほら、いわんこっちゃない。お前らがちゃんと取り組まなかったから温暖化が進んだじゃないか。対策をとるために税金を上乗せするぞ」というのが規定路線として考えられているとの噂もあります。

ブッシュ政権でさらに露呈されてしまった利権ばかりを得ようとして周囲に影響を与えまくる意地汚いアメリカに対し、同じ主張するアメリカでも、こういうアメリカもあるのかということを、感じてください。一度敗北した大統領候補が再度大統領選に担ぎ出されるという可能性はほとんどありませんが、出来ることならこのゴア氏にもう一度立ち上がってもらいたいような気がします。学校教育でも使えそうな内容ですが、ちょっと政治がらみの話も入るので、その部分では中立性に欠け、教材としてはなじまないような気がします。劇場でご覧になると、目の前で彼の抗議を受けている臨場感が得られるかもしれません。近日公開。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年10月19日
劇場:機内先行上映
観客数:不明
感涙観客度数:皆無
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

同じ大統領選を戦った男なのに、ここまで扱いが違うものなのか。

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