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October 18, 2006

カポーティ

CinemaX第108回。

監督:ベネット・ミラー
製作総指揮:ダン・ファターマン、フィリップ・シーモア・ホフマンほか
原作:ジェラルド・クラーク
脚本:ダン・ファターマン
音楽:マイケル・ダナ
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナーほか
上映時間:114分
(公式サイトはここ

「澱んだ川」

困った映画が登場しました。 M:i:IIIで我儘なお坊ちゃんギャングみたいな役を演じた主演のフィリップ・シーモア・ホフマンは、このカポーティでアカデミー賞主演男優賞を受賞。彼はこのほか様々な賞を受賞し、作品や監督などもアカデミー各賞にノミネート、そのほか多数の賞を受賞しています。評価からすれば素晴らしい映画のはずなのですが、果たしてCinemaXの評価やいかに。

カポーティという人物に対する先入観もなければ、どういう話なのかすら分からずいきなり本編に突入しました。このカポーティは、割とマイナーな映画を扱うソニーピクチャーズ・クラシックス作品なのですね。記憶違いでなければグッドナイト&グッドラックもそうではなかったかと。何だか嫌な予感がします。

最初の難関は、作り上げられたトルーマン・カポーティのキャラクターです。フィリップ・シーモア・ホフマンが必死に出す甲高い声は、学生時代、先生などをバカにする時に真似る声(?)のようで、無性にイライラしてきます。ストーリーの盛り上がって、そんなことなど考える暇がなければいいのですが、残念ながらそういう映画ではなさそうです。まずは、このキャラクターに対して免疫があるかないかで、この映画の評価が変ってくると思います。終始、この声がつきまとうわけですから。

ターン1までの評価「D」

カポーティは、テンションやストーリーが超スローで展開します。一家惨殺事件が発生した街に降り立ったカポーティが、あっちでウロウロ、こっちでノロノロしているのですが、あまりにもテンポが悪く、果たして先に進んでいるのか、後に戻っているのか(そんんなはずはありませんが、錯覚しそうになります)、自分が一体何を観ているのかも分からなくなります。おまけに映像は晩秋の夕暮れのように薄暗くぼんやりしているので、一層、焦燥感がこみ上げてきます。本当に困った映画です。

主人公が一体何をしたいのかを知るまで、相当な時間を費やします。心を少しづつ開く始める殺人犯の片割れの行動が少しだけ面白いのですが、これから犯人同士の対立が見られるのかな?と少し期待させておいて、実はそれ以上はナシ。殺人犯は最後の最後で殺人に至った経緯を話すのですが、これも凄い秘密があるわけでもありません。カポーティの最後のセリフに何かが込められるのかな?と期待してみても「Good-Bye」なんだそりゃ。これまで何度も事実に基づいた映画を作ろうとして、悉く実際のエピソードに振り回され過ぎて、凡作に仕上がるケースを観て来ましたが、これもその一つにカウントされるのでしょう。

ターン2までの評価「D」

結局、誰も何も変わらない、つまらない映画でした。カポーティは映画の中でさんざん苦悩していますが、妙に登場人物が多すぎたり、余計なエピソードが混じったりして、映画そのものが散漫になってしまうようでした。フィリップ・シーモア・ホフマンの熱演は分かりますが、何が言いたかったのかさっぱり分からない映画でした。

もう一つ困ったことがあります。カポーティという退屈な作品が何故、あちこちで様々な賞を受けているか、ということです。Yahoo!映画での評価や他の映画系サイトを回ってみると、意外に評価が高いことに驚かされます。本当に素晴らしいと感じて評価するのは結構なことだと思いますが、数多くの賞を受けていることで便乗して、まず「良い映画に決まっている」という考えありきで評価されている面もあるような気がします。

終盤、殺人犯が処刑されるシーンで鼻すすり音を検知しました。人が死んだというだけで悲しいのは分かりますが、そこまで殺人犯に感情移入出来るほどの人物描写がなされていましたか?あちこちでのカポーティの評価を見ると、アメリカン・ビューティーが話題になった頃に「どうしてこの映画の良さが分からないの?」という風潮があったことを思い出します。あの映画だって、アカデミー賞を受賞していなければ、ちょっと映像が綺麗で何が何だか分からない映画に過ぎないのですから。最近ではTAKESHIS’も同様です。分かったようなふりをする人々を沢山見かけましたね。

最終評価「D」

やはり僕には理解出来ませんでした。風邪を引きかけたような怠惰な雰囲気の映画を楽しみたいというのなら、おすすめです。アカデミー主演男優賞は、作品+男優の演技ではなく、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技が評価されたと信じたいところです。アカデミー賞などノミネートして選出する映画賞には、必ず噛ませ犬のような映画がピックアップされますが、カポーティはその類の映画ではないかと。きっと、アメリカン・ビューティーの時ように映画を観る目のリトマス紙として、カポーティを引き合いに出す人も多いでしょうが、あまり意味がないような気がします。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年10月15日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:200人/296席
感涙観客度数:若干
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

トルーマン・カポーティがこの事件を通じて上梓した「冷血」ソニー・ピクチャーズ・クラシックのこれまた微妙な映画だった「グッドナイト&グッドラック」アカデミー賞受賞当時は「どうしてこの映画の良さが分からないの?」と熱くなる人が異常に多かったような気がする「アメリカン・ビューティー」どれもおすすめ。

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