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August 30, 2006

マッチポイント

CinemaXついに100回目。

監督:ウディ・アレン
製作総指揮:スティーヴン・テネンバウム
脚本:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リス・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマーほか
上映時間:124分
(公式サイトはここ

「気がつけば、凄い映画」

前評判も良く、映画館のごった返し具合からどうやらあちこちで紹介されたと思しきマッチポイントです。封切り直後ですが、シネスイッチ銀座では、ファーストディでもレディースデイ(この劇場は金曜日に設定)というわけでもなく、平日昼の1回目というのに、立見客も出る盛況ぶり。不倫を扱った映画だからか、若い女性のほか、熟年カップルも目立つという奇妙な状況でした。

さて、冒頭はネットを行きかうテニスボールの映像からスタートします。ネットに引っかかって、どっちに落ちるかで運命が変わるということを表現しています。映画のテーマにもなっていて、これがなかなか面白いスタートです。主役級の人物は、主役のクリス、妻のクロエ、その兄のトム、トムの元許婚ノラの4人です。ベタな恋愛ドラマの設定ですが、使い古された設定はそれだけバランスがいいという証明でもあるわけで…4人の関係は早い段階で観客分かるという点では、大いに評価出来ます。

ターン1までの評価「A」

詳しいあらすじは、いつものように公式サイトや他の映画批評サイトをご覧頂くとして、この映画は「タイミング」というものを絶妙な手口で扱っています。まずは、クリスとクロエの結婚。大富豪の令嬢であるクロエと結婚することで、クリスの将来は磐石になるはずが、トムの許婚のノラに出会ったことで歯車が狂い始めます。クリスがノラと出会わない、あるいはクロエと出会う前にノラと知り合っていればこのような展開にならないので、このタイミングの挟み方が絶妙だったりします。加えて、良妻賢母タイプのクロエと危険な香りが漂うノラのキャラクターの対比もかなり見応えがあります。

邪念を捨てれば幸せな生活を送ることが出来るクロエは、トムがあっさりノラを捨ててしまうことでさらに動揺してしまいます。仕事がバリバリ出来るはずなのに、問題を先送りにするだけで嘘に嘘を上塗りして自らもガラガラと崩れていくという、出来る男が一人の女性の存在でどんどんヘタレになっていくのが上手く描かれています。そして、ある大事件が起こったことで、ノラの性格が一転します。考えてみれば、クリスは出来る男からどんどんヘタレに変化していますし、良妻賢母タイプだったクロエも、危険な香りのしたノラも、ストーリーが進むにつれ変化していることが分かります。彼ら彼女らを変化させるイベントも自然で、気がついてみれば周りの状況が変わっていることを観客は後で知ることになります。絶妙です。

ターン2までの評価「A」

切羽詰ったクリスは、あるとんでもない行動に出ます。この展開は賛否両論ありそうですが、これがマッチポイントを単なるユル系ドロドロ恋愛映画に終わらせない重要な要素となっています。巷には「人間はこんなに軽はずみな行動をしない!」と憤る意見もみられますが、巷で些細な動機で起こる事件の多さを考えると、決してあり得ない設定ではないなと納得してしまいます。

マッチポイントは、日本の時代劇のようにキュッとストーリーが解決せず、下痢中の便のようにダラダラととりとめなく終わるのはいかにもヨーロッパの映画という感じもしますが、人間万事塞翁が馬の諺にも似た最後の展開は、日本の映画ファンにも通じるものがあるはずです。すんなり終わらないところが、この映画の大きな特徴ともいえるのですが。

最終評価「A」

ハリウッドのアクション映画ややたらリアルなCG映画に疲れて、たまにはスローペースで内容が濃い映画が観たいなと思う映画ファンも多いと思いますが、雰囲気だけに騙されたり、やたら難しかったりと最近の単館系の映画は期待を裏切られるものばかりでした。マッチポイントは、そうした映画ファンのモヤモヤを吹き飛ばす映画だといえます。中盤以降は先の展開を予想し難い映画なのですが、それでも「あり得ないよー」というものではなく、観客の想定のレールの範囲を進むという難しいバランスの上に成り立っている映画です。必見!

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年8月22日
劇場:シネスイッチ銀座
観客数:280人/273席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。
平日昼なのに満席!しかも立見客も!

9月から公開される劇場は増加しますが、それでも全国10ヶ所足らずでの上映です。今年上半期イチオシのククーシュカ ラップランドの妖精でも感じたことですが、公開劇場の数や観客動員数が必ずしも良い映画のバロメーターとなり得ないことを証明する映画といえます。

Csginza

ちなみに、入場は「ほぼ日カード」を使って500円割引!ほぼ日カードは、ほぼ日刊イトイ新聞で2000年頃にセンサー会員の募集を開始、その第一期で登録をした最古参の会員のはずなのですが、使い道がほとんどなく引き出しの奥に眠っていたのでした。個人情報保護法の関係で現在は募集を停止中のようですが、お持ちの方は使わない手はありません。

ついでに紹介!

スカーレット・ヨハンソンファンの方々に。

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