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August 31, 2006

太陽

CinemaX第101回目。ワンワン。

監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:イッセー尾形、ロバート・ドーソン、佐野史郎、桃井かおりほか
上映時間:115分
(公式サイトはここ

「ヘアヌード」

昭和天皇を扱った映画として、日本での公開はどだい無理だろうと言われていた「太陽」です。ところが、劇場公開してみると猛烈な数の観客が押し寄せています。公開に踏み切った勇気ある劇場の一つである銀座シネパトスは、上映回数を増やしたり整理券を配布したりと恐らく開館以来の盛況ではないかと思われます。

最終評価「C」

映画そのものの展開は、たいしたことはないと思うので、冒頭で最終評価を行います。イッセー尾形の一人芝居が好きな人は、彼のテイストがふんだんに盛り込まれていて、加えて昭和天皇の「あ、そう」という口癖や口をクチャクチャさせる癖、ぼんやりした視線が異常に似ているので驚かされますが、内容はたいしたことはありませんし、どこまで実話かも分かりませんので、特に批評することもないでしょう。

また、主人公である昭和天皇が心の変化を見せることもなく、米軍の通訳だけがやたら天皇を恐れ敬ったりしていたりと、素人目にも不思議な点は多々あります。プロの評論家の間でも先日発見された、実際に昭和天皇の意見かどうかもさだかではない富田メモを引き合いに出したり、史実を忠実に描いた映画として真剣に評価する試みも行われているようですが、これも全く意味がないことと思うので行いません。ボイスレコーダーのみで作り上げたユナイテッド93を観て「乗客は英雄達ばかりだなあ」と短絡的に評価するのと同じです。

「太陽」は、内容よりむしろ存在が重要で日本で公開にこぎつけたことに大きな意味があります。それは、最近の皇室報道にも似ています。週刊誌では、なかなか公務に復帰しない皇太子妃をターゲットに「わがまま放題」だとか「オランダからは戻らない」などと叩き続けています。それに対して宮内庁に気を遣い、皇太子妃の静養の様子や彼女と出産間近の秋篠宮妃の話題を絡め「皇室は多忙」と無茶苦茶な敬語を使いながらミソクソのように扱ってヨイショし続けるテレビ各局などの皇室報道も異常としか思えませんが、週刊誌のこうした報道は「皇室を叩いて何かクレームが来るかなと思って覚悟していたが、何もなかった」ということを発端にエスカレートした経緯があります。

異常な皇室報道といえば、皇太子のご成婚前に雅子様がお妃候補であることをすっぱ抜いた海外メディアを思い出します。この時はいつものように大手メディアは報道協定を結び、特ダネにはさせないが、特オチもないという、極めて消極的な約束を交わしていたところですっぱ抜かれました。国内のメディアなら、宮内庁記者クラブへの出入り禁止など彼らにとって極めて重い制裁が待っているのですが、海外にその力は及ばず、すっぱ抜かれた過程を国民に言い訳しながら慌てて後追い報道するだけという、井の中の蛙ぶりを露呈したのでした。情けない。

太陽の存在は、ヘアヌードにも例えることが出来ます。ヘアヌードという聞こえはいいですが、アンダーヘア、もっと露骨な表現である陰毛は、かつてはほんの少しでも写っていただけで販売者など関係者は処罰されていましたが、1990年代頃からどうやら大丈夫らしいという雰囲気が漂い、試しに写真集を発刊してみても何も起こらなかったという経緯があります。もちろん、警察当局のさじ加減が変わったということもありますが、世間一般的に陰毛がちょこっと写っている程度なら卑猥ともいえないという見方が広まったともいえるでしょう。芸術か猥褻かという問題は常に付きまといますが、より芸術の範疇が広がったともいえるでしょう。

大河ドラマもかつて、南北朝時代は扱わないという見方が世間一般的でした。親方日の丸の国営放送が、天皇家が万世一系でないことをわざわざ露呈しなければならない題材は使わないのではないかという考え方によるものです。ところが、1991年の太平記でそれは見事に打ち破られました。「太陽」も同じです。昭和天皇を、しかも終戦前後の彼を主人公に扱うということは、日本の映画界にはタブーのはずでした。それがロシアで簡単に実現し、難しいといわれた日本で公開するとこの盛況をみて、旨みがあると判断した劇場が次々に公開に踏み切っています。成せば成るということを体現したという点では、この映画は大いに評価出来るでしょう。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年8月28日
劇場:MOVIXさいたま
観客数:60/133席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

劇中で使われている写真は昭和天皇や皇太子(現在の今上天皇)が写った実物を使い、エンディングは現人神宣言にバッハの無伴奏チェロ組曲第5番をかぶせるという日本人離れした作り方には驚かされます。また、香淳皇后とは似ても似つかぬ桃井かおりはチョイ役で最後の何分間かしか登場しませんが、その存在感にも驚かされるばかりです。

Movixsaitama

ついでに紹介!

興味があったらどうぞ。

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August 30, 2006

マッチポイント

CinemaXついに100回目。

監督:ウディ・アレン
製作総指揮:スティーヴン・テネンバウム
脚本:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リス・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマーほか
上映時間:124分
(公式サイトはここ

「気がつけば、凄い映画」

前評判も良く、映画館のごった返し具合からどうやらあちこちで紹介されたと思しきマッチポイントです。封切り直後ですが、シネスイッチ銀座では、ファーストディでもレディースデイ(この劇場は金曜日に設定)というわけでもなく、平日昼の1回目というのに、立見客も出る盛況ぶり。不倫を扱った映画だからか、若い女性のほか、熟年カップルも目立つという奇妙な状況でした。

さて、冒頭はネットを行きかうテニスボールの映像からスタートします。ネットに引っかかって、どっちに落ちるかで運命が変わるということを表現しています。映画のテーマにもなっていて、これがなかなか面白いスタートです。主役級の人物は、主役のクリス、妻のクロエ、その兄のトム、トムの元許婚ノラの4人です。ベタな恋愛ドラマの設定ですが、使い古された設定はそれだけバランスがいいという証明でもあるわけで…4人の関係は早い段階で観客分かるという点では、大いに評価出来ます。

ターン1までの評価「A」

詳しいあらすじは、いつものように公式サイトや他の映画批評サイトをご覧頂くとして、この映画は「タイミング」というものを絶妙な手口で扱っています。まずは、クリスとクロエの結婚。大富豪の令嬢であるクロエと結婚することで、クリスの将来は磐石になるはずが、トムの許婚のノラに出会ったことで歯車が狂い始めます。クリスがノラと出会わない、あるいはクロエと出会う前にノラと知り合っていればこのような展開にならないので、このタイミングの挟み方が絶妙だったりします。加えて、良妻賢母タイプのクロエと危険な香りが漂うノラのキャラクターの対比もかなり見応えがあります。

邪念を捨てれば幸せな生活を送ることが出来るクロエは、トムがあっさりノラを捨ててしまうことでさらに動揺してしまいます。仕事がバリバリ出来るはずなのに、問題を先送りにするだけで嘘に嘘を上塗りして自らもガラガラと崩れていくという、出来る男が一人の女性の存在でどんどんヘタレになっていくのが上手く描かれています。そして、ある大事件が起こったことで、ノラの性格が一転します。考えてみれば、クリスは出来る男からどんどんヘタレに変化していますし、良妻賢母タイプだったクロエも、危険な香りのしたノラも、ストーリーが進むにつれ変化していることが分かります。彼ら彼女らを変化させるイベントも自然で、気がついてみれば周りの状況が変わっていることを観客は後で知ることになります。絶妙です。

ターン2までの評価「A」

切羽詰ったクリスは、あるとんでもない行動に出ます。この展開は賛否両論ありそうですが、これがマッチポイントを単なるユル系ドロドロ恋愛映画に終わらせない重要な要素となっています。巷には「人間はこんなに軽はずみな行動をしない!」と憤る意見もみられますが、巷で些細な動機で起こる事件の多さを考えると、決してあり得ない設定ではないなと納得してしまいます。

マッチポイントは、日本の時代劇のようにキュッとストーリーが解決せず、下痢中の便のようにダラダラととりとめなく終わるのはいかにもヨーロッパの映画という感じもしますが、人間万事塞翁が馬の諺にも似た最後の展開は、日本の映画ファンにも通じるものがあるはずです。すんなり終わらないところが、この映画の大きな特徴ともいえるのですが。

最終評価「A」

ハリウッドのアクション映画ややたらリアルなCG映画に疲れて、たまにはスローペースで内容が濃い映画が観たいなと思う映画ファンも多いと思いますが、雰囲気だけに騙されたり、やたら難しかったりと最近の単館系の映画は期待を裏切られるものばかりでした。マッチポイントは、そうした映画ファンのモヤモヤを吹き飛ばす映画だといえます。中盤以降は先の展開を予想し難い映画なのですが、それでも「あり得ないよー」というものではなく、観客の想定のレールの範囲を進むという難しいバランスの上に成り立っている映画です。必見!

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年8月22日
劇場:シネスイッチ銀座
観客数:280人/273席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。
平日昼なのに満席!しかも立見客も!

9月から公開される劇場は増加しますが、それでも全国10ヶ所足らずでの上映です。今年上半期イチオシのククーシュカ ラップランドの妖精でも感じたことですが、公開劇場の数や観客動員数が必ずしも良い映画のバロメーターとなり得ないことを証明する映画といえます。

Csginza

ちなみに、入場は「ほぼ日カード」を使って500円割引!ほぼ日カードは、ほぼ日刊イトイ新聞で2000年頃にセンサー会員の募集を開始、その第一期で登録をした最古参の会員のはずなのですが、使い道がほとんどなく引き出しの奥に眠っていたのでした。個人情報保護法の関係で現在は募集を停止中のようですが、お持ちの方は使わない手はありません。

ついでに紹介!

スカーレット・ヨハンソンファンの方々に。

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August 29, 2006

森のリトル・ギャング

CinemaX弟99回。

監督:ティム・ジョンソン、キャリー・カークパトリック
製作総指揮:ビル・ダマスキ
原作: マイケル・フライ、T・ルイス
脚本:レン・ブラム、ローン・キャメロン、デヴィッド・ホセルトンほか
音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
声の出演:ブルース・ウィリス、ギャリー・シャンドリング、スティーヴ・カレルほか
(日本語吹替え版:役所広司、武田鉄矢、石原良純、夏木マリ、BoA、友近、カンニング竹山ほか)
上映時間:84分
(公式サイトはここ

「種蒔いて収穫せず」

更新が長らく滞っていました。今回もCGアニメです。アニメが好きというわけではないのですが、最近の洋画はCGアニメの乱発、実写はシリーズモノや何か有名なキャラクターがその地位に至るまでというビギンズものが増えているので、選択肢が狭まっているような気がします。一方で邦画は無理に映画にする必要のない無駄撃ちばかり…映画人気がどこまで続くか心配になってきます。例えば、視聴率の稼ぎ頭からあっという間に転げ落ちた巨人戦の凋落ぶりを踏まえると、他人事ではないような気がするのですが。

さて、今回は字幕版を選択しました。多くの映画は字幕、吹替えを併映しているのですが、この映画は吹替え版だらけ。毎回、この手の映画では「声優初挑戦」タレントを含む素人声優のヘタレ仕事が気になるのですが、この映画は脇役までタレントや俳優で固めるという徹底ぶり。キャラクターの見た目の可愛さや本編の短さを考えるとこういう方法でも簡単にやっつけられると考えたのでしょうか。

もちろん、声優と俳優の中間的存在の人(戸田恵子とか)や声優を器用にこなすタレントもいますが、中には論外ともいえる人もいるわけで…日本には専門職の声優がいるので、わざわざハリウッドの真似をしなくてもいいような気がするのですが。RJの声を担当したフルース・ウィリスは可もなく不可もないという感じでしたが、こうした有名俳優を声優として起用するにも、日米ではレベルが違いすぎているような気がします。声優の安心感を実感するには依然として人気が続く「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」 の吹替え版をご覧になるといいでしょう。人気映画にもかかわらず盲点を突くように声優陣で固められています。ジョニー・デップの微妙な息遣いは字幕版でしか体感できませんが、吹替え版はやっぱり声優だなとあらためて感じさせられます。

さて、森のリトル・ギャングは、原題は「OVER THE HEDGE」で内容のまんまです。都市開発のスピードが速く、僅か一冬で周囲を住宅地に囲まれてしまった悲劇の野生動物たちが主人公です。都市化が進み人間とペンギンと共生するようになってしまったオーストラリアのどこかの街のような雰囲気です。動物達は、生垣の向こうの家に忍び込むと食べ物などを簡単に手に入れられることを知り、ためらいながらも次第にギャングとして暗躍し始めます。その一方で主人公のRJは、仲間が集めた物資をクマに上納することを計画しているわけで…詳しいあらすじは公式サイトや他の映画批評サイトを確認して頂くとして、主役級のキャラクターの映画での目的がはっきりしているのは、この映画で評価すべき点といえるでしょう。

ターン1までの評価「B」

森のリトル・ギャングの欠点は、範囲があまりにも狭すぎるということです。ファインディング・ニモでは息子のために壮大な距離を旅する父親、アイス・エイジポーラー・エクスプレス、最近のカーズも相当な距離を移動しています。アニメとは、実写では不可能なスピード感やカメラアングルを表現できるというメリットがありますが、森のリトル・ギャングでは、空飛ぶカート(?)やテンションの高いキャラクターのハミーが活躍する後半のシーンぐらいです。この2つのシーンが、この映画の数少ない見所ともいえるのですが。

ターン2までの評価「C」

封切後しばらく放映されていたCMでドン亀のヴァーンが「君も家族だ」と言っていたように、ベタなセリフの応酬でRJは、クマとの約束を破棄してあっさり改心してしまいます。これが突然すぎますし、実は作品の冒頭で哀愁感を漂わせる要素となっていた都市開発についても、何の解決もされないまま、主人公とクマとのドタバタ劇で終わってしまいます。面白いテーマとなり得る設定なのに、冒頭の説明に使っただけであとは放置。種蒔いて収穫せず。もったいない話です。

森のリトル・ギャングは、主人公の心の変化という要素はムリムリに押し込められているので映画としては成立しているように感じますが、パンチのなさが目立ちました。戦術もなく選手が右往左往するだけのヘタレなサッカーを観ているようです。まあ、キャラクターが可愛くて観ているだけでどうにか楽しめるのは救いだと思いますが。

最終評価「C」

CGアニメの乱発もさることながら、いろんなタレントを実力を考えないままに声優に初挑戦させる、観客を小バカにしたようなキャスティングは、いい加減に考え直してほしいものです。劇場まで足を運び、高い金を払って映画を観ているわけですから。そんなことで観客が稼げるのなら東京フレンズなんかは大ヒットです。観客はそんなにバカじゃない。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年8月11日
劇場:テアトル池袋
観客数:20/162席
感涙観客度数:
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

東京フレンズの元ネタ。ファン向けにDVDでちょこっと作るのと、映画そのものを楽しみたいフファンを含め多くの観客を相手にするのとはレベルが違うことを認識してほしいもの。

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August 17, 2006

論点

また台風が接近しています。今年は猛暑も手伝って、日本近海では台風が発生しやすい状況にあるようです。時折大地に打ち付ける激しいスコールのような雨は、幼い頃体験した夕立のような趣もなく、日本が熱帯化していることを実感させてくれます。それにしても予報の当たらないこと。日記で何度か触れましたが、気象予報士制度が始まり、ピンポイントや時系列でのきめ細かな予報が出るようになったのはいいのですが、一方で予報の大外れが目立ってきているような気もしなくもありません。数時間前に予報を変えられても困りますし、外れたからといって予報士が理由をずらずら並べて言い訳をするのも見苦しいような気がします。

台風10号は今後、九州などに上陸する可能性が出てきましたが先日、テレビなどで「いよいよ上陸か」「首都圏を直撃か」と世間を煽りまくってはしゃいでいた割に関東の南をかすめただけの台風のように寸止めで回避するかもしれません。第一、この台風10号だって当初の予報とは違う動きをしているわけですし。天気予報とは時に災害に繋がり命にも関わるほど重要なことです。最近ではよりオリジナリティを求めるような予報士も増えているような気がします。予報士個人のこだわりも分かりますが、慎重に発表してほしいものです。

さて、根室沖で漁船がロシアの警備艇に拿捕されました。一人は死亡。まずはお悔やみを申し上げます。麻生外相が呼びつけたロシアの駐日臨時代理大使といきなり握手する光景は不可思議でしたが、日本国内ではロシアへの非難が高まっていますし、テレビや新聞もこの事件を大々的に扱っています。漁船の乗組員を銃撃して殺すというのはあまりにも行きすぎですが、今回の問題について、どうも歯切れが悪い感じもしなくはありません。この歯切れの悪さについて考えてみましょう。

まずは、この事件は北方領土問題が絡んでいます。漁船が拿捕された海域は日本固有の領土の周辺、つまり領海であり、銃撃を受けるいわれはないのですが、ロシア側も領有権を主張していますので、このことを理由に現時点で速やかに問題を解決するのは難しいでしょう。漁船は、便宜上日本が引いている日ロ中間線を越えてカニ漁をしていました。この線は北方領土を放棄するものではなく、これを越えるとロシアに拿捕される可能性がありますよ、というものです。それを越えて操業をしていたのですから、厳密に考えると漁船の側にも落ち度がなかったとはいえません。

この問題を山陰沖に置き換えます。山陰沖でも韓国など他国船籍のカニ漁が問題になっています。彼らは資源保護のため日本では禁猟になっている期間でも領海に入り込んで根こそぎカニを捕獲していきます。海上保安庁は警戒をしていますが、事前事後を通じていろんなルールにがんじがらめになり、北朝鮮の工作船に発砲するのがやっとの状況ですから、密漁を行っている漁船もそんなぬるい警備だといざとなったらカニかごを捨てて逃げてしまいます。ちなみに今回拿捕された漁船もロシア警備艇に拿捕される前は必死にカニやカニかごを捨てていたといいますから、領土問題は抜きにして、漁船の乗組員にとって、不本意ながらこれは密漁だという後ろめたさはあったのかもしれません。

ここで注目しなければならないのは、山陰沖で密漁を繰り返す他国船籍の漁船の乗組員に対する日本人としての感情です。日本人からみれば極端な話「銃撃して船を沈めてしまえ」とか「そんな悪いことをする乗組員は殺してしまえ」と思いませんか?北朝鮮の工作船が海上保安庁の巡視艇から銃撃されて爆沈するのをみて、清々した人は多いはずです。今回の事件で亡くなった乗組員は、ロシア警備艇の流れ弾に当たったとの見方もありますが、この船が密漁(ロシア側から見て)を繰り返していたのではないかとの情報もありますから、ロシアの警備艇でカラシニコフを手にした乗組員はもっと違った感情を抱いていたのかもしれません。自分たちの内にも秘めているかもしれないこういう感情を抜きにして「拿捕は不当だ」と主張するだけというのは、あまりにも偽善的すぎるような気がします。

もちろん、殺せと思うのと実際に殺すのとでは大違いですし、今回のロシアの行動は非難されるべきでしょう。もう一つ注意しなければならないのは、漁船の乗組員への同情一辺倒だったマスコミが今後、どのように主張を変えてくるか、です。特に最近のマスコミは変わり身が早いですから、惑わされないように注意する必要があります。テレビや新聞では今回の事件について、領土問題を先送りしていたことに原因がある、と誰でも分かりそうなことを高飛車に主張していますが、彼ら自身もこの種の問題に何度も食いついては、核心に触れることなく吐き出してきたのではないかという気がします。マスコミに煽られて、暫く国内では北方領土問題への関心が高まるでしょうが、例えば秋篠宮妃殿下が男児を産んだりなんかするとそれまでの論調は消し飛んでしまうことが懸念されます。問題を先送りにしないためには、マスコミが常に監視をし、国民の関心を高めていくことが必要だと思います。太陽系に惑星が増えたことを大々的に報じている場合ではありません。
Zoomin

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August 15, 2006

昨日も今日も大騒ぎ

昨日の都心を襲った停電、凄かったですね。僕は幸い何の影響もなかったのですが、たった一隻の船で首都機能をほぼ壊滅状態に追い込めるというのは、考えてみれば恐ろしいことでもあります。危機管理が足りないとマスコミは食いつきますが、復旧までの数時間、東京電力の発表を待つ前に独自に原因を究明して報じるぐらいの力量はないのでしょうか。ヘリに乗ってビルから煙!(自家発電の排気ガスをテロによる火災と間違えてはしゃいでるようです)と叫ぶだけなら、誰にだって出来ます。少なくとも停電の最中は東京電力のホームページはパンクしていて、一般市民に情報提供出来るのは、マスコミしかなかったわけですから。

前回、大規模停電が起こった1999年は、ちょうど現場近くの工場で働いていたので、製造ラインが完全に停止して、やることもなく本を読んでいた記憶があります。あの時は、自衛隊機がエンジン不調か何かで送電線を切って墜落しました。パイロットは機体を必死に操縦しながら市街地を避けて河川敷に墜落させようとして、送電線を切ってしまったという記憶があります(パイロットは死亡)。早めに脱出すれば助かったかもしれないのに、ギリギリまで必死に操縦不能の機体と格闘した自衛隊員の行動と今回の浚渫船の作業員のボーンヘッドを比べること自体失礼なような気がします。

ちなみに東京電力の原子力発電所のトラブル隠しが明るみになった2004年にも大規模停電が起こる可能性はありました。政府やマスコミが必死に省エネを訴えましたが、一般市民には関心が薄く、結局、冷夏だったことなどの奇跡が重なり回避出来ました。この一件は、リストラが進む中で久しぶりに動かした火力発電所のオペレーターがなかなか揃わなかったりと大都市と大企業の綻びばかりが目立つ事態として話題になりました。

さて、大騒ぎは、今朝も続いていました。小泉首相の靖国神社参拝です。朝からテレビ各局は首相公邸からの映像を生中継し、首相が靖国神社に向かうとマスコミの車と数機のヘリが後を追うという徹底的な取材体制が敷かれました。まるで麻原彰光やホリエモンなど悪いことをした人間に対するマークの仕方です。そして、靖国神社でも記者が待ち受けます。首相の顔を間近に捕らえられる距離でありながら、決められたラインを超えないようきちんと並んで。一連の取材は官邸記者クラブのメンバーに与えられた特権のようです。前々から首相に15日に参拝するのかというボールを投げ続けていたのも彼らで、実際に参拝すればこの大騒ぎ…いわばマッチポンプのような状況です。今日付の社説だか何だかで「8月15日は静かに戦没者を悼め」と諌めている新聞社も混じって大騒ぎしているのですから、開いた口が塞がりません。

小泉首相は先日、一般紙やテレビなどの記者(これも恐らく官邸記者クラブのメンバー)に公約を守っても批判、守らなくても批判、靖国神社にいつ参拝しても批判とキレていましたが、気持ちは分からないでもありません。マスコミ各社にこれだけ大々的な中継をやって、いったい何が言いたいの?と聞かれても、恐らく答えを持ち合わせてはいないでしょうから。首相の靖国参拝は、それによって日中、日韓関係が悪化して商売が難しくなる大企業などが関心がある程度で、恐らく殆どの国民は重大な関心を寄せているわけではないように思います。情報を出す側と受ける側の温度差を感じずにはいられません。

その大騒ぎに触発されるように、中国は小泉首相の参拝直後に予め用意しておいたような声明を発表しました。韓国を含めこれから現地の大使を呼んで抗議したり、市民は日の丸や小泉人形を燃やしまくるでしょう。日中、日韓関係に平和が訪れるという妄想はさらに遠くなってしまいます。前述の通り、国民は首相の靖国神社参拝などそれほど関心がないわけで、むしろ増税やガソリンや野菜のの高騰などのようが注目度が高い状況にあります。首相の行動を日本国民の総意のように思ってもらっても困るのですが。

さて、終戦記念日(この呼び方も疑問ですが)になんで様々な番組が放映されています。興味深かったのは日本の原爆研究の話でした。当時の関係者の話で、日本が開発していれば間違いなく使っていただろうということが確信出来ました。併せて捕虜の人体実験の話もありました。当時は敵国の人間は殺してもいいという考えがまかり通っていました今考えると恐ろしいことですが、それが戦争の恐ろしさといえるのかもしれません。もちろん、人体実験などは弁解の余地もなく、反省すべき行為だといえますが。

別の番組では、原爆資料館を見た中国の子供が「原爆はひどいことだけど、日本人が中国にやったことを考えると(爆撃されるのは)仕方ないことだと思う」とコメントしていましたが、何でもかんでも反日に繋げてミソクソに考えるような子供が未だにいるという現実に驚かされました。また、別の番組では、日本人親子が韓国に留学した際、娘が戦争の資料館に行き、日本兵が韓国の人々に行った暴力を知りショックを受けていました。反日教育にも使われる資料館のようなので全ての内容を鵜呑みにするのは危険なのですが、一方で徹底的に反日教育を受け、他方、戦争に関しては何でも反省しなければならないと刷り込まれてしまっている日本人の子供をみると、将来を担う同世代の子供なのに、これで平和を目指すというのは無理な話かもしれないと感じました。

戦後60年を過ぎ、靖国神社のA級戦犯の合祀問題や東京裁判そのものの存在を見直す動きなど、先の戦争には100%謝罪という思考回路しか存在しなかった日本人はやっと、過去を振り返ることが出来るようになっているように思います。もちろん、戦争は絶対に避けなければなりませんが、真に有効な日中、日韓関係を築く意志があるのなら、未だに子供たちに反日教育を施す隣国の人々に正面切って抗議するぐらいの度量が必要なのかもしれません。先人達は目を逸らして来た問題ですが、これを避けて問題の解決はないと思います。
Yuyake_1

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August 13, 2006

カーズ

CinemaX第98回

監督:ジョン・ラセター
脚本:ジョン・ラセター、ドン・レイク
音楽:ランディ・ニューマン
声の出演:オーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、ボニー・ハントほか
上映時間:122分
(公式サイトはここ

「車ごときに」

車が主人公のアニメーション、カーズです。日本では内容を伴わないいくつかの映画の派手なPRに圧されながらも興行ランキング上位に残り続けましたが、特に米国では未だにトップ10をウロウロしているという、ひょっとしたら記憶はともかく記録に残るアニメーションになる可能性が出てきています。果たしてCinemaXの評価やいかに。

CGアニメーションをそんなに数多く観る訳ではないのですが、その度に感じるのは、技術の進歩です。かつてCGでは難しいとされていた球体はあっという間に克服され、髪の毛や動物の毛皮などもかなりリアルに表現できるようになっています。カーズは、登場人物はおろか、動物や虫まで何でもかんでも車なので、金属の光沢がポイントになるのですが、これだけでも技術の進歩を感じることが出来ます。背景に関しても、恐らくCGに実写を織り交ぜていると思うのですが、大きなスクリーンでもその境目が分からないほどです。

ターン1までの評価「A」

ストーリーは、単純明快です。新人ながらレースで大活躍をして、すっかり天狗になっているライトニング・マックイーンが、高速道路の開通で地図上から消された街に迷い込み、仲間の温かさを感じながら、人間性(?)を取り戻すという話です。簡単に言えばベタなのですが、マックイーンと街の仲間の友情が芽生える過程なども強引かつ丁寧に描かれています。

カーズは、何もかも車という、普通に考えて(アニメなので考えてはいけないとは思うのですが)極めてナンセンスな設定なのですが、映画の大半の舞台となる10分の時間短縮のために高速道路が敷かれたために衰退していった街、ラジエーター・スプリングスなどは、非常にリアリティのある設定だといえます。これは米国のみならず、日本でも新幹線や高速道路が開通したばかりに衰退していった街が数限りなくあるので、懐古趣味に走りがちな日本人の心も揺さぶる設定だといえるでしょう。

ターン2までの評価「A」

カーズは、四角い性格の主人公が丸くなるという(仁鶴ではない)単純明快な映画ですが、純粋な田舎者のメーター、都会生活に疲れ果てたサリーなど細かい人物(?)設定のほか、頑固爺のハドソンの隠された秘密も重要なエッセンスとなっています。

そんななかでマックイーンの心は少しづつ変化していきます。設定の5W1H、主人公の貫通行動(古びた街から早く脱出してレースに出場したい)を含め、映画に必要な要素がきちんと詰め込まれています。加えて、揺さぶりも重要なポイントなのですが、マックイーンのレース終盤での行動は、見事な揺さぶりといえるでしょう。ただ、最後は大団円で終わるので、ジブリと並んでディズニーなら子供に観せても大丈夫という親御さんたちにも安心です。

最終評価「A」

実写とアニメを同じ目で評価するのはどうかといつも思うのですが、アニメだからといって完成度が高いとは限らない映画も多いので、CinemaXではこのままミソクソで取り扱っていきます。カーズで驚くべきは、日本語版向けのシーンが数多く盛り込まれているということでした。もちろん初めてではないのですが、カット数の多さ(それでも10は行っていないと思いますが)は過去最多ではないでしょうか。最近では特に劇場公開の度に海外から有名俳優が来日するなど日本の映画市場が注目されていることを感じますから、その一端なのかもしれません。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年8月4日
劇場:チネチッタ
観客数:20人/191席
感涙観客度数:50%
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

作りは非常に丁寧なので、興行成績が示すとおり記録に残る映画になると思います。ストーリーがベタなので、記憶に残らない映画になる可能性はありますが。日本が沈没するあの映画とか、誰かの子供のあのアニメなどは「大ヒット上映中」と集客に必死ですが、たまに見かけるカーズの「大ヒット上映中」は、面白さでは看板に偽りなしだと思います。CinemaXでの紹介が遅くなりましたが、レース場でのあのスピード感は是非、劇場で体感してみてください。カーズは、車ごときに感動させられる人間にとっては悔しい映画です。

今回は吹替版でしたが、オリジナルではミハエル・シューマッハやマリオ・アンドレッティなどが声優をつとめています。話題づくりのためにタレントをずらり並べる日本語吹替版と大差ないように思いますが、やはりオリジナルのほうがウィットに富んでいるように感じます。

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August 09, 2006

ゲド戦記

ゲド戦記
監督:宮崎吾朗
原作;アーシュラ・K・ル=グウィン
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
音楽:寺嶋民哉
声の出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、小林薫、夏川結衣ほか
上映時間115分
(公式サイトはこちら

「壮大なる素人仕事」

ジャパニメーションの質の高さを世界に轟かせた一方で、日本国内のアニメ市場を席巻してしまい、ジブリ以外はペンペン草の状態にしてしまった宮崎駿のご子息、宮崎吾郎第一回監督作品として鳴り物入りで封切られた「ゲド戦記」です。前評判が高いのか、そうでないのか、巷では賛否両論渦巻いていますが、予想外に手に入れたタダ券を使って観てしまいました。

いわゆるジブリ信者の方々からは封切前のかなり早い段階で「予告編を見て涙が出そうになりました」だのと絶賛されていましたが、果たして彼らは少なくとも予告編で露呈されていた「目新しさが全くないキャラクターデザイン」をどのように思っていたのでしょうか。血は繋がっていても父と子、別人です。見たことのあるキャラクターばかりで、声優も多くが使い回し。僕にはスタートから暗雲が垂れ込めているとしか思えなかったのですが。

さて、本編スタートです。原作を読んでいないからかもしれませんが、冒頭から話がさっぱり読めない状態が続きます。しかもそれがラストシーンまで。おまけに、乗り物酔いのような不快感を覚えます。恐らく、カットの数がやたら多いか、そのタイミングが悪いかのどちらかもしれません。加えて、状況を説明するだけのセリフが、作品のテンポを著しく悪くしているように感じます。

ターン1までの評価「D」

「ゲド戦記」は余計なものが多い映画ですが、ここで余計なセリフをいくつか上げてみましょう。「なぜそれを」「まさか…な」「ん?帰ってきたのかしら」「おかしいわねえ」「ついて来いってこと?」などなど。これらの多くが独り言でセリフがなくても仕草で充分表現できるものです。意味のないシーンも山ほどありますが、最も気になるのは、人物のセリフが一言、いや二、三言は余計だということでした。

宮崎駿作品の特長は、ストーリーもさることながら、高さ、そして建物や道具などの奇抜なデザインにあると思います。それが魅力となり観客に「スクリーンの向こうに行ってみたい」と思わせてくれます。ストーリーがぐちゃぐちゃな作品も少なくはないと思うのですが「眺めていて楽しい」というのは大きな武器といえます。ところが、「ゲド戦記」は、全くそのような魅力がありません。時間が経てば経つほど、「?」が増えていきます。アレンがどうして二重人格なのか、どうしてあんなことをしたのか、説明されるのは最後の最後、しかも不十分。作り手が分かっているだけで、観客に伝えようとする努力を怠っています。

「ゲド戦記」の主役級の人物は、セリフも状況を説明するだけだったり、哲学者のようにべらべらと難しいことを喋るだけなので、少しだけ味のあるハイタカを除き、まったくキャラクターが立っていません。セリフのやりとりも例えば「それは何?」「みかんです」「おいしそうですね」「そうですね」と交互にやりとりをするだけ。セリフというのは「おや?」と思わせる応対をすれば、観客の興味を惹きますし、それがキャラクターとなります。そういう努力をも放棄しています。加えて、いろいろな人物の様々な行動も説明で済ませてしまうので、テンポも悪くなります。

例えば、ハイタカを追って来たウサギにテルーが「ハイタカは出かけてここにはいない」と説明するシーンでは、ハイタカを捕まえないと命の保証がないウサギが、あっさりとテルーの証言がウソではないと納得してしまいます。これは極めて安直です。ウサギは命がかかっているわけですから、そんなにすんなり納得出来るはずがありません。話術とか、論理とかで観客を納得させる作業を怠っています。他のシーンにもみられることですが、ご都合主義で観客を納得させようとしたり、作り手の糸(=意図)がミエミエの作りが気になります。例えば、極太の針金を使ったマリオネーションみたいなもの、これではしらけてしまいます。

ターン2までの評価「E」

「ゲド戦記」は、セリフもさることながら、人物の性格も崩壊しています。例えば、都合によって出たり出なかったりするアレンの二重人格(だから二重人格だという見方も出来ますが)、人嫌いのはずのテルーが次のシーンでは普通に他人と話していたり…メチャクチャです。おまけにダラダラとした展開…例えば手打ちうどんを作る時、小麦粉をこねるところ、麺を切るところ、茹でるところぐらいをダイジェストに流せば「ああ、うどんを作っているのだな」ということが分かるのですが、「ゲド戦記」だと小麦粉と道具の買い出しから出来上がりまでを長回しで説明しているような感じです。

ゲド戦記の上映時間は115分ですが、余計な部分を取り除いていけば恐らく上映時間は半分以下に短縮出来るでしょう。そんな無駄の多い状況のなか、極めつけは宮崎吾郎監督が自ら作詞した「テルーの歌」でした。棒読みの声優が歌っているあの曲でCMにも使われています。よっぽど気に入っているのか、1コーラスで終わるかと思いきやフルコーラスという大盤振る舞い。その間、観客は草原でもののけ姫みたいな女の子が歌っているのを口をポカンと開けて観ているだけなので、かなり辛いです。

シナリオをダラダラとさせる原因は、①無駄なシーンが多い②単純なやりとりだけのセリフ③主人公に貫通行動がない(または伝わっていない)④人物の性格が立っていない…などが挙げられますが、「ゲド戦記」にはシナリオを学ぶ人が必ず経験する失敗が全て詰め込まれています。簡単に言えば失敗のオンパレードです。宮崎吾郎監督は「ゲド戦記」の映画化を進めるなら、少なくとも監督業に徹して、ストーリーはきちんとした脚本家を起用するとか、自分でやるのなら2~3年ぐらいシナリオの勉強をするとか、拙速に事を進める必要もなかったのでは?と思います。宮崎という名前だけで、沢山の観客が劇場に足を運ぶわけですから。

世の中には自分が天才だと信じて、どのようなことであれ独学で事を進めようとする人が沢山いますが、実際の天才はほんの一握り。父親から受け継いだDNAを信じるのなら、きちんと勉強するべきでしょう。世襲で飯が食えるのは政治家やタレント、ワンマン企業ぐらいのものですから。

最終評価「F」

「ゲド戦記」は、ずぶの素人であるにもかかわらず、実力のあるスタッフや知名度のあるタレントや俳優を声優として起用して、いきなりメジャーのアニメ映画を作ることが出来るという、恐ろしく恵まれた環境にありながら、結局は思うがままに素人仕事でやっつけたような映画です。キャシャーンでも感じたのですが、周りの人は何も言わなかったのでしょうか。辛口で有名な父・宮崎駿も「よくまとまっている」と評価していますし、ジブリのパトロンのような人々も総じて絶賛しています。いよいよ流れ始めた「日本沈没」の観客の「感動しました」CM以上に不可解です。

宮崎吾郎監督の評価は、「ゲド戦記」で地に落ちたとする声もありますが、だったら這い上がればいいと思います。20年前、宮崎駿がゲド戦記の映画化を原作者に打診したものの断られてしまったエネルギーが、宮崎アニメを確立したといっても過言ではない「風の谷のナウシカ」を生み出したといわれています。血の滲むような努力をして、ジブリというブランドが生み出されたのですから、才能を信じるだけでアニメが作れるというのは大間違いだといえるでしょう。

「ゲド戦記」は、キャラクターや声優に目新しさがほとんどなく、一方で父親のアニメの大きな特徴である「高さ」「奇抜なデザイン」は引き継がず「結局、何がやりたかったの?」という疑問ばかりが残る映画でした。何よりもかわいそうなのは、眺めて楽しむことすら出来ない子供でしょう。ジブリの新作ということで楽しみにしていた親子連れも多いはずですから。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年8月4日
劇場:チネチッタ
観客数:30人/407席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!
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August 07, 2006

新兵器

ウィルコムZERO3esを購入しました。昨年末、PHSであるにもかかわらずVAIOtypeUを髣髴とさせるようなフォルムでバカ売れしたZERO3ですが、新機種はPHSに近い形状となり話題になっています。プロ野球速報をガンガン更新した挙げ句、携帯電話のパケット料金が大オーバーしてしまい、だったらPCサイトが閲覧出来て、長文も入力出来るPHSを購入してはどうかと悩みぬいた結果、購入したのでした。
ところが、なかなか大変で…ブログを更新出来るまでにはまだまだ修行が必要ですし、活字まみれの生活で、つい先日まで字を見るだけで吐き気がするという状態に陥っていた僕にとっては、なかなか辛いものがあったりします。ワード文書も入力出来るので、電車の中でシナリオや小説も手軽に書けるかなと思いきや、乗り物酔いとの闘いになっています。山手線はまだしも、揺れの大きい東武線では絶望的です。

さて、以下の文はパスポートセンターでの待ち時間に「新兵器」で入力したものです。これでだいたい30分。結構長いかなと思ったのですが、そうでもありませんでした。では、どうぞ。

亀田興毅の世界戦の結果について物議を醸しています。ワールドカップの時も感じたのですが、あちこちでにわかファンが登場してあれこれ批評をしているのをみると、注目度の高さが伺えます。
それにしても最前列の砂かぶりには著名人の数々。注目度の高さとともに人気のあるものにはとりあえず便乗しようというあざとさも感じなくはありません。
とはいえ、50%前後の視聴率を稼いだり、CMまみれで1時間以上も引っ張った挙げ句に微妙な判定でTBSに抗議が数万件寄せられるなど最近では珍しいケタ外れの出来事でした。判定のことは素人の僕は何ともいえませんが、日本中が強いものを欲しているような気がします。強い巨人は春先の蜃気楼に終わり、強い強いとマスコミが煽ったサッカーのワールドカップは拍子抜けするほどの結果に終わりました。ワンマンシップを発揮する宰相も結局は強いものしか見ていないことがバレてしまいましたし。それが最後の最後であったことが、彼の強運であり、一般庶民の悲劇でもあるのですが。
亀田興毅選手は今後、3階級制覇に向けて試練の道を進みます。日本中の注目は相当なものですが、いつかは引退する時がやってきます。今は国民の大多数の追い風を受け、批判も大手マスメディアが黙殺するうちが華といえます。彼は見かけ以上に礼儀正しいといわれていますが、『今後』に向け、大胆かつ慎重に選手生活を送る必要があるでしょう。もちろん、家族やその周辺の人を含め、です。
Willcomes

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August 01, 2006

概況(18年7月分)

埼玉県ふじみ野市のプールで死亡事故が発生しました。女の子が親の目の前であっという間に排水口に吸い込まれるという痛ましい事故でした。その異様な救出の様は、テレビのワイドショーだかで雇われたダイバーが遭難した光景を思い出します。この事故は、ダイバーの遭難といえども池で、水中で迷路のように入り組んでいる穴を探検しているときに起きた事故でした。池の遭難なのに、最終的には重機を使って地中を掘り、ダイバーは変わり果てた姿で発見されました。ふじみ野市の事故でもプールから10メートル以上離れた場所を掘り起こして女の子は発見されました。

民間のプールでは監視員に強い権限が与えられるなど安全管理が徹底されています。例えば、としまえんでは、今も変わりがなければハイドロポリスでガキんちょの背中を押したり、着水地点の監視をする人間はほとんどがアルバイトですが、流れるプールなどの監視は、ライフセーバーなどの資格を持つ人間に限られていました。普通のアルバイトがチャラチャラしているのに比べ、監視員は通称赤パンと呼ばれ、やたらプライドが高くて煙たがられていました。でも、よく考えれば人の命を預かっている以上、当然のことだといえます。

事故のあったプールは市営でした。安全管理が杜撰だとか、市町村合併の混乱で対応が徹底されていないなどの批判もありますが、当日の対応一つとっても、排水口の柵が外れていたのを放置して、注意を呼びかけるだけでは、事故は起こるべくして起こったものと批判されても仕方ありません。仮に、プールを運営することが行政サービスの一環程度にしか思っていない自治体があるのなら、考え直すべきでしょう。プールだって一歩間違えば命を落としかねない場所なのですから。

さて、いつものようにマスコミは、日本中のプールは危ないといわんばかりに、ちょっとした事故も大げさに取り上げるようになっています。少し前はやたら殺人事件が起きていて一つの事件を詳細に追いかける暇すらない状況でしたが、いざ、伝える事件が少なくなると、ここ数日は児童虐待で息子を死なせ、逮捕された両親と子供達の惨状ばかりを取り上げていました。児童虐待防止に貢献するような内容ならともかく、どこか怖いもの見たさのように伝えているケースも多く、大いに疑問を感じていたところです。そのさなかにこの事故は発生しました。

マスコミの煽りを鵜呑みにすると、公営を中心としたプールはとても危ないということになります。だから海は安全かといわれれば、そうではありません。天気の良い週末には必ずといっていいほど犠牲者が出ます。どんなに小さな事故でも針小棒大に扱い、日本中のプールが危ないかのように取り上げるのなら、「こうすれば安全だ」「こういう管理方法は危険だ」などプールの管理者に注意を喚起するような内容にしないと意味がないような気がします。「プールは危ないから海に行こう」と行って事故に逢うのは本末転倒ですから。

本来は海に比べプールのほうが格段に安全のはずです。まさかそのような場所で事故に巻き込まれるとは夢にも思わず、別れすら告げることなく娘が目の前から消えた母親、そして、真っ暗で狭くて苦しい場所でたった数年の命を閉じてしまった女の子が不憫でなりません。役人は本来、なかなか責任をとらない人種なのですが、今回は是非、責任の所在を明らかにし、全国津々浦々のプールの更なる安全性向上を図ってもらいたいものです。例えば、市長が辞任するぐらいの誠意があれば、全国のプールの安全対策に向けたメッセージになるかもしれません。

7月の重心指数
普段の仕事:70(+15)
シナリオ:5(-10)
その他:25(-5)
(カッコ内は前月比ポイント増減)

~7月の概況~
「普段の仕事」15ポイント続伸
デッドゾーンである指数50をはるかに超えた状態が続いています。仕事そのものは8月に入り落ち着きましたが、40歳を過ぎて未だにガキのように自分のことしか考えていないS氏と一緒に仕事をすることに猛烈なストレスを感じています。それでもピークを過ぎたので、8月以降はさすがに下落するでしょう。これまでのパターンだと間違いなく転職していたのでしょうが、予想外もいいところで10月にイベントが一つ入ったので、なかなかそうもいかず。イベントとは何か?それはいずれまた。

「シナリオ」10ポイント続落
これも記録的な低水準です。ただ、秘密兵器を導入したので打開策となるかもしれません。秘密兵器とは何か?それはいずれまた。

「その他」5ポイント下落
スポーツクラブに通ったのは2日、前月比1日減。HIPHOPのみ。ここ数ヶ月は腰、膝、目などさまざまな部位を痛めてきましたが、今月は「虫さされ」これが思いのほか重症でした…と、理由をつけては運動をサボっているのですが、最近、お尻の肉が柔らかくなってきたことや、今の体重ゾーンで唯一入るスーツが1年以上のロングランに耐え切れなくなってきたことで、これから少しづつ頑張ってみようと思います。名付けて「5キロぐらい痩せられるかな?作戦」いきなり激しく運動すると足腰を痛めるので、とりあえずはパンプから。

~体位の変化(それは、意味が違います)~
「身長」±0cm
「体重」+2㎏
久しぶりに僕を見た人は、体重以上にもっと太っていると感じると思います。
Kowaineko

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