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July 07, 2006

バルトの楽園

CinemaX弟92回。消化試合第1戦。

監督:出目昌伸
出演:松平健、ブルーノ・ガンツ、高島礼子、阿部寛ほか
上映時間:134分
(公式サイトはここ

「アレフガルド」

CinemaXも久々の更新です。6月半ばに目を傷め、映画どころではなかったのと、この時期は例年になく不作で、積極的に観ようと思う映画がなかったというのが理由です。それでもバルトの楽園を選んだのは、使い勝手が極めて悪い東映の株主優待券を利用しなければいけないからです。この優待券が曲者で、切り離し無効で有効期限付き、劇場や映画が限定されるという株主軽視(僕は株主ではありません)といわれても仕方がない代物です。下手に放置すると最後は観る映画がなくなったり、仮面ライダーなどを観ざるを得なくなるという、恐ろしいことになりかねないので、少しはまともな雰囲気のするバルトの楽園を選びました。ちなみに、楽園は「らくえん」ではなく「がくえん」と読みます。

さて、相変わらずタイムリーエラーのような邦画を配給する東映ですが、このバルトの楽園も何故今の時期に登場したのか、いまいちピンと来なかったりします。ドイツ兵捕虜が登場する話ですから、もしやドイツW杯に合わせたのでは?と考えても、あまりにもかけ離れすぎです。とりあえず松平健とブルーノ・ガンツを起用すればどうにかなるだろうという軽いノリでとっかかったのでしょう。

さて、映画は冒頭からテンポが悪く、タイトルが入る場所もタイミングが悪いような気がしました。おまけに、映画の中で四六時中、曲が流れるのが気になります。これも「楽園」だからでしょうか。ちょっとコミカルなシーンまで曲が流れるので、ちょっとしたコントみたいです。主人公のひげ自体がコントといえばコントなのですが。言語の設定にも違和感を感じました。登場人物がシーンによって通訳を介さずに喋ったり、そうでなかったり、気にならない人はどうでもいいことですが、外国語に敏感な日本人には気になる部分も多いはずです。

ターン1までの評価「B」

その点、英語というものは強いです。フランス軍の話だって、ロシアのパン屋が主人公の話だって、彼らが英語を話しても、特に違和感を感じることはありません。もちろん、日本人だからかもしれませんが、地球とは全く関係ない遠い世界の話とか、遥か未来、あるいは大昔の設定の映画でも、登場人物が英語を話しても特に違和感は感じません。SAYURIが日本人にとって違和感アリアリなのは、日本風の映画なのに、登場人物が英語を話すというところにもあるでしょう。

そのSAYURIで、子役に抜擢された大後寿々花が、バルトの楽園にも出演しています。しかも、SAYURIと全く同じ青い目をして。中山忍が町娘の役で出ているのは、年齢的にかなり厳しいと思いますが、見た目の年齢はここ10年ぐらい停止しているような人なので大丈夫なのでしょう。ちょい役で使うにはちょっともったいないですね。

バルトの楽園では、ドイツ軍捕虜の勤勉さが描かれています。収容所の中を一つの街のようにした松江豊寿という陸軍将校も立派ですが、そこで暮らし、新聞まで発行していたドイツ軍捕虜の能力に驚かされます。ゲルマン人の勤勉さは日本人にも共通するものがあるということは、何度も聞いたことがありますし、先日、ドイツ大使館のパーティに出席した際、テーブルの料理を取ろうと出席したドイツ人がズラリと整列していたのには驚かされました。この時は、クロークもなく棚に荷物を置きっぱなしの状態でしたが、何故か安心して「放置」することが出来ました。偏見かもしれませんが、イタリア大使館で同じことをしようとしたなら、どんなに重くても荷物を抱えたまま行動するでしょうから。

ターン2までの評価「B」

バルトの楽園は、RPGの街の中のような広がりが逆にストーリーの脈絡のなさに繋がってしまっているという感じがしなくもないですが、一部の登場人物の心の変化が、映画としての要素を担っています。青年将校、ドイツ軍捕虜の脱走兵、松江家のお手伝いさん(?)は、それぞれドイツ兵、日本兵を憎んでいますが、後半に心変わりをします。これがなければ、映画として成立せず、単なるドンチャン騒ぎの映画としか評価されなかったことでしょう。

クライマックスは、第九です。ベートーベンの『交響曲第九番』(歓喜の歌)は、日本では何故か年末にこぞって演奏されますが、この時の収容所の演奏が、日本初とのことです。青空の下で反響板があるホールのような演奏が聞こえるのは違和感がかなりありますが、エンドロールでカラヤン指揮の第九を聴けるのは、ちょっと得をした気分です。年齢層が高い観客が、エンドロールでほとんど席を立たなかったことも、第九の人気を裏付けるというものでしょう。僕の前に座っていたおばちゃんは、自動書記のようにゆらゆらと揺れながら聴いていましたし。

バルトの楽園は、維新後苛められ続けた会津藩出身の将校が作った、珍しい収容所があったということを世間に認識してもらうということでは、存在価値のある映画といえるかもしれません。ブルーノ・ガンツは、本当におまけのような存在でしたが。

最終評価「B」

バルトの楽園は、登場人物が喋っている途中でズームをするカメラワークが多用されていました。確か1960~70年頃に流行った手法で、妙な古臭さを感じるのですが、最近はテレビでもまれに見かけるようになりました。時代は巡っているということなのでしょうか。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年6月30日
劇場:丸の内TOEI
観客数:30/510席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

ブルーノ・ガンツを観るなら「ヒトラー~最期の12日間~」Cinemaxのレビューはこちら

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