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May 01, 2006

Vフォー・ヴェンデッタ

CinemaX第84回。

Vフォー・ヴェンデッタ
監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィーヴィング、スティーヴン・レイほか
上映時間132分
(公式サイトはここ

「MOTTAINAI」

マトリックスのスタッフが送る、異色のアクションエンターテインメントという触れ込みで話題となったVフォー・ベンデッタです。脚本のウォシャウスキー兄弟といえば、マトリックス。マトリックスで話題になった超スローモーションで流れる弾やワイヤーアクションは、後の映画で少しでも似た部分があると「マトリックスを真似たな」と観客に感じさせてしまうぐらい、センセーショナルでした。

ただし僕は、映画でもアニメでも、「××のスタッフが再結集」という言葉は、あまり信用していません。良い映画を製作した時と同じメンバーが集っても、グレードの高い作品になるとは限りません。ましてや、映画制作に必要不可欠な監督や脚本家が変わっているのに、何が再結集だと言いたくなる映画も多数あります。話題づくりの一環なのかもしれませんが。

冒頭は、17世紀頃のヨーロッパのシーンです。これは、本編にどのように関わっているのかがさっぱり分からないのですが、少なくとも途中までは、効果的な伏線のように感じられました。ただ、後半は見事に置き去りにされてしまいますが。

舞台は、第三次世界大戦後のイギリスのようです。かつてのフィフス・エレメント、最近ではキャシャーンなどのように、現在と接点の少ない、近未来という設定の映画は、スベる場合が多いような気がします。Vフォー…も危険な橋を渡っているのですが、主人公のVの不思議な魅力が欠点を覆い隠しているような感じがしました。少なくとも前半までは。「面白いキャラクターが現れたな」と思いましたし。ちなみに、チャイコフスキーの序曲「1812年」に合わせた爆発シーンは、見物です!

ターン1までの評価「B」

期待が大きかったVフォー…ですが、段々と展開が退屈になっていきます。ただ、監視カメラに囲まれ、政府の情報操作が当たり前になった歪んだイギリスは、現代の世の中を皮肉っているように思えました。まるで現在のアメリカのよう。日本の場合は、情報操作こそないようですが、テレビや新聞の偏向的な報道で時に、情報操作に近いようなことも行われているような気がします。ただ、この場合は政治的なものというより、話題性を高める(煽る)ということが目的なような気がしますが。ちなみに、日本のマスコミが煽りまくったファミレス教祖のような人物も登場します。

もう一人の主役は、ナタリー・ポートマン演じるイヴィーです。彼女は、レオンでの小娘役に始まり、スター・ウォーズでクイーン・アミダラを演じるなど子役から大人の女優へと変貌を続けていますが、ここに来てちょっとギアチェンジが必要かなという感じもしました。実際に本編中のロリコンファッションはかなり厳しく、かといって大人の女性としての魅力も少なく、ギアチェンジに失敗すれば、ブルック・シールズのように消えてしまうような気がしてなりませんでした。加えて、ストーリー展開の不味さが原因なのか、本人が思い切った割に効果が薄いような気がした剃髪シーンにおいても、シガニー・ウィーバーのような不思議な新鮮さも感じられず、一休さんのような緊張感のないキャラクターになってしまっただけのような気がしました。

ターン2までの評価「C」

Vフォー…は、後半になるとイヴィーの行き当たりばったりな行動、Vの理解不能な行動が、話をさらにややこしくしていきます。登場人物が笑っているのに、観ている側は特に笑えない。登場人物が泣いているのを観客が口を開けて観ているのでは、既に映画として成り立っていないといえるでしょう。きっと、頭の中に「???」「????」「?????」とシーンを重ねるごとにクエスチョンマークが増えていく辛い時間に感じることでしょう。僕は、そうなる前に眠ってしまいましたが。ちなみに、アクションシーンは、Vフォー…でもそれなりに健在です。もしかすると「ははん、今度はこうなんだ」とほくそえむ程度かもしれませんが。

最終評価「C」

最初のシーンが何の意味だったのか、もはや考えることすらバカバカしくなってきますが、もっとあのシーンを活かして、Vが人間じゃないかもしれないということを全面に押し出すべきではなかったかと思います。本当はそういうつもりなのかもしれませんが、仮にそうだとしても伝わっていないので同じ。冒頭のチョイ見せで期待したアクションも、引っ張って、引っ張って後半に見せる程度。これではまるで美人局です。

Vという人間の奇妙な風貌やセリフが面白かっただけに、それを活かしきれなかったことが残念でなりません。特に中盤の間延びが致命的でした。原作があるようなので、ストーリーより外になかなか踏み出せないという点があったのかもしれませんが、話を付け加えないまでも、もう少しシーンを削ったりしてシンプルにすることは出来たはず。ちょっと欲張りすぎたことが逆効果になったのかもしれません。過ぎたるは及ばざるが如し。

後半の唯一の見どころといえば、前半に引き続き、序曲「1812年」のショーが見物です。この曲は、侵攻してきたフランス軍をロシアが蹴散らすさまをダイレクトに表現した分かりやすい曲で、最初は威勢が良かったフランスの国歌が段々と弱っていって、最後は当時のロシア国歌が盛大に流れてフィナーレを迎えます。終盤のチャイムとバスドラムは、教会の鐘と大砲をあらわしているので、Vフォー…の過激なショーは、行き過ぎてはいるものの、チャイコフスキーの遺志をリアルに表現したとみることも出来るでしょう。

ちなみにチャイコフスキー作曲の序曲「1812年」は、中学から吹奏楽を始め、高校、大学と指揮者をしていた僕にとって、一度やってみたかった曲の一つでもあります。終盤までは本当に退屈な曲ですが、最後の派手さはストラヴィンスキー、レスピーギには及ばないまでも、彼らにない上品さが漂っています。終わりそうで終わらないことで、観客の拍手を誘うという古典的な手法も盛り込まれた、温故知新を地で行く曲です。Vフォー…のショーも必見ですが、機会がありましたら曲も是非、聴いてみて下さい。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年4月25日
劇場:丸の内TOEI②
観客数:20/360席
感涙観客度数:不明

Vって、友人に似ている人がいるんですよね(笑)

ついでに紹介!

イッパチ×シェーラザード×カラヤン×ベルリンフィル、素敵な組み合わせ♪

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予告編での「ナタリー・ポートマン」の 坊主頭がきになって仕方がなかった 「Vフォー・ヴェンレッタ」を観てきました。 原作は、イギリスのコミックなんですね。 違う方の評をみると イギリスの歴史と背景を把握しないと 面白くないと書いていたのですが・・・ 全然そんなこと関係なく楽しめました。 前半は、ダークな描写が多く ラストのほうで一気に見せてくれて 終わり方も楽しめました。 少しネタばれです... [Read More]

Tracked on May 06, 2006 at 02:10 AM

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