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May 28, 2006

ダ・ヴィンチ・コード

CinemaX第90回。ダビンコ。

ダ・ヴィンチ・コード
監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、アルフレッド・モリナ、ジャン・レノほか。
上映時間:150分
(公式サイトはここ

「Windows95」

今回は、期待度が異常に高いダ・ヴィンチ・コード(以下ダヴィンコ)です。おまけにA.I.やら宇宙戦争など微妙な映画が多いような気がしなくもない世界同時公開です。国内でも原作本がバカ売れして、まさに猫も杓子もという状態ですが、CinemaXの評価やいかに。

冒頭からいきなり、予告編でさんざん観させられたシーンです。そのシーンが何を物語っているか、出演している人物がどういう人間で、どういう関係なのかは、この辺りではアンテナを張り巡らせていれば、どうにかこうにか理解出来る様な気がします。ただ、原作本を読んでいないなど予備知識が全くないような方が観ると、この先に難関がいくつも立ちはだかることでしょう。

ターン1までの評価「B」

ダヴィンコは、キャスティングの濃さも特徴です。トム・ハンクス、ジャン・レノと灰汁の強い俳優のほか、アメリでの挑戦的な笑顔が妙に癇に障るオドレイ・トトゥ、ガンダルフのイアン・マッケランなど濃いメンツで塗り固められていますが、話をぶち壊しにするほどの存在感がないのは、テーマやストーリーそのものの灰汁が強いということになるのでしょう。

中盤あたりまでは、事前情報なしでもある程度楽しめると思います。特に、最後の晩餐の解釈などは、実際に目で観ることが出来るので、なるほどなと思うことも出来るでしょう。ただ、この先が大変です。あちこちに宗教の分子みたいな連中がはびこっていて、誰がどう裏切っているのか、さっぱり分からなくなってしまいます。

ターン2までの評価「B」

暗めの落ち着いたトーンの画面は、ダヴィンコ特有の重苦しいムードを醸しだしているといえますが、ここで問題が…ケータイからのアクセスです。僕は上巻しか読んでいないので、原作にこのシーンがあるかは分かりませんが、ケータイからデータベースにアクセスしてあっさりと情報を引き出してしまうのは、あまりにも短絡的過ぎるだろうと思ってしまいました。主人公に安易な超能力を持たせたばかりに話を軽くしてしまった劇場版リングのようです。

最後の展開にも「?」でした。よく分からない土地で、よく分からない老婆が「あなたの祖母よ」と名乗り出て、そのまま抵抗なく居座ってしまうところが理解できませんでした。ダヴィンコに総じていえることですが、あまりにも端折りすぎて、話を軽くしてしまっているような気がします。だったら、今流行りの3部作にでもして、切り売りしてもいいのかなと思いました。

最終評価「C」

ダヴィンコは、①原作本を読んでいる②テレビで関連する特集を観た③やたら宗教に詳しいの3点に当てはまらない方には、辛い映画かもしれません。特に中盤から後半にかけてのダラダラ。実際にはいろいろ話を詰め込んでいるのですが、余りにも端折りすぎて平坦になってしまっているから、観客にはダラダラと感じられるのでしょう。評価が二分されるのは、この事前情報の差もあるのかもしれません。

ちなみにCinemaXでの評価は、①原作モノの場合は原作を読んでいない状態②続編の場合はそれ以前の設定を無視するという方針で行っていますので、フラッと劇場に立ち寄って楽しめるかどうかを基準にしています。映画を観るにあたって予め観客に準備を強いるのは、映画を製作する側の驕りでしかありませんから。

良い映画とは、親子や夫婦、恋人や友人同士が、「ちょっと映画でも観ていこうか」とフラッと立ち寄って、「良い映画だったね」と余韻を共有し、噛み締めることが出来るものだと思います。かといってテーマやストーリーを出来るだけ多くの観客の趣向に迎合する必要はないのですが、最低限、設定の説明から感情移入、クライマックスまで一本の映画で完結する必要があると思います。

そういう観点からすると、原作を読まなければなかなか楽しむが出来ないダ・ヴィンチ・コードは、極めて観客に不親切な映画だと言えます。最近の洋画は、3部作だのシリーズものやコミックに頼る映画が多く、最近ではスターウォーズのダース・ベイダーやバットマン、今度はスーパーマンまで、ヒーローになるまでの物語が主流になりつつあります。これらの全ては既にキャラが立っていて、往々にして設定の説明が省かれる傾向にあるわけですから、全く先入観のない観客にとっては、極めて不親切な流れともいえます。邦画もこの傾向に追随する雰囲気があるのも気がかりですが。

1995年秋、Windows95が発売されました。折りしもパソコンというものがやっと一般庶民にも浸透した頃で、猫も杓子もこのソフトを買いあさりましたが、その後、買ったはいいものの「どうやって使うの?」と途方に暮れた方が山ほどいました。特にサラリーマン。何となく買っておこう、何となく並んでおこうと横並び意識が強い日本で、ダ・ヴィンチ・コードのブレイクはある意味必然的な現象だったといえるでしょう。とりあえず読んでおこうとか、とりあえず観ておこうということで。本に例えるならば、猫も杓子も呪われたようにダディやサラダ記念日を買いあさって読んでいたのにも似ています。そういえば、間もなく4年に1回の猫も杓子も熱狂するイベントが始まりますね。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年5月27日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:240人/262席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

宗教の分子が様々な階層や職業に入り込んでいて、裏切り、そのまた裏切りを繰り返す構図は、イベント程度にしか信心していない殆どの日本人の感覚からすると、どうしてそんなに宗教にこだわるのか、理解出来ない部分も多いことでしょう。日本版ダ・ヴィンチ・コードを作るのなら、古今伝授を題材として扱っても面白いかもしれませんね。

ついでに紹介!

文庫本も切り売り。

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