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May 23, 2006

ピンクパンサー

CinemaX第89回。王。

ピンクパンサー
監督:ショーン・レヴィ
出演:スティーヴ・マーティン、ケヴィン・クライン、ビヨンセ・ノウルズ、ジャン・レノほか。
(公式サイトはここ

「導火線バカ」

お馴染みのピンクパンサーです。日本では豹のキャラクターが一人歩きしていますが、もともとはクルーゾー警部が同名の宝石を追うという実写映画だったりします。リメイクものは、変えすぎると「やりすぎ」と批判を浴びますし、変えないと「能がない」と評価されてしまいます。さじ加減が難しいのですが、果たしてピンクパンサーの評価やいかに。

ピンクパンサーは、冒頭からドタバタな展開が続きます。特に威張った親戚のおじさんのような風貌のクルーゾー警部は、その風貌とは裏腹に堂々と失敗を繰り返します。ストーリーそのものは、巨大な宝石、ピンクパンサーの所有者が大観衆の面前で殺され、宝石が消えたという事件を解決するものです。どうして無能なクルーゾーを抜擢するのかは、本編をご覧になれば分かります。旧日本海軍で言えば、栗田艦隊に対する小沢機動部隊みたいなものでしょうか。つまり、おとりです。

ターン1までの評価「B」

ピンクパンサーは、ドタバタまみれの映画ですが、いわゆる見せるだけのドタバタではないことが、注目されます。昔、行ったシナリオ・センターの合宿の自己紹介で「私が書きたいものは、恋愛コメディのドタバタが描きたいです」という連中が山ほどいて辟易したものですが、上っ面のドタバタが続いてしまっては、観ている側が疲れてしまうだけだったりします。高度なのは「導火線のあるドタバタ」です。

持論ですが、良い笑いとは、そのシーンだけで笑いをとらないということだと思います。導火線がしっかり張られていて、笑いのシーンの直前で観客の口元を緩ませる、あるいは後のシーンにまで入り込んでも、観客をほくそえませるようなものが高度な笑いだといえます。導火線があるからといって、バナナが落ちていて、次のシーンで術って転ぶほど単純ではありません。

ターン2までの評価「B」

シーンの切り替えのテクニックに、コメディリリーフという手法があります。笑いでシーンを締めるというものです。ピンクパンサーは、まさにコメディリリーフまみれです。ただしこの手法は、少々ならテンポが良くなるのですが、あまりに連発するとくどくなります。ピンクパンサーが評価されない要因の一つに「笑いがなじめない」というものがあるようですが、本編中の笑いよりもむしろ、コメディリリーフの連発がこうした評価に至った要因になっているのかもしれません。

ピンクパンサーで難しいのは、言葉の壁です。フランスの話なので、クルーゾー警部は都合の良いタイミングでフランスなまりになります。でも、普段は普通の英語なので、違和感を感じます。あちこちでツール・ド・フランスみたいなことが行われていたり、フランスをコケにしているような内容ですが、このフランスなまりは、笑いをとる以外にストーリーの伏線にもなっているので、いっそのことならクルーゾー以下、フランス警察のキャラクターだけでもフランス語を話せばいいのになあ、と思ったりします。

遠い宇宙でも遥か遠い未来でも英語が使われるほど、英語は万能なのですが(英語圏で製作されるので当たり前なのですが)、あまりにも都合良くなまりを出されると、ちょっとご都合主義かなあという感じもします。字幕版なら、独特のフランスなまりの英語のニュアンスが伝わってくるのですが、吹替版の場合はどうなるのでしょうか。既にダヴィンチ・コードのスクリーン占拠により、同時期の新作のほとんどが劇場公開末期のように上映時間、回数とも不利な状況に追いやられていますが、字幕、吹替のどちらも選択出来る状況にあったら、字幕版を選ぶことをお勧めします。

最終評価「B」

フラッと立ち寄って、笑い飛ばせる映画です。特筆すべきは、ジャン・レノの壊れた演技。ダヴィンチ・コードにも出演していますが、メガネに無精ひげというトレードマークをあえて取り去り、妙な踊りを披露したりもします。実は「似ている俳優がいるののだなあ」と思いつつも、最後の最後でジャン・レノ本人だと知りました。ジャン・レノは、独特のニヒル(?)な雰囲気ゆえ配役のイメージを邪魔することが多いのですが、こういった崩れたキャラクターを演じることが出来るのなら、これからも楽しみな俳優といえるでしょう。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年5月20日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:60人/122席
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

ピーター・セラーズ主演の旧作。古くからのファンは、今回のスティーヴ・マーティン扮するクルーゾー警部に違和感を感じるんでしょうね。でも、新作のほうが気高いフランス警察の雰囲気が良く出ていると思うのですが。


ピンクパンサーに影響を大いに受けていることを確信できるオースティン・パワーズ。シリーズ3作全てが負けず劣らず無茶苦茶なのですが、辛うじてつじつまが合うのがこの第1作。ヒロインが最も地味なのも特徴です。ちなみにピンクパンサーにも出演しているビヨンセは、最初と最後のシーンだけ観れば充分の第3作、ゴールドメンバーに出演しています。

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Comments

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Posted by: Darci | April 27, 2014 at 01:13 PM

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