« タイヨウのうた | Main | 火中の栗 »

May 14, 2006

隠された記憶

CinemaX第87回。

隠された記憶

監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュほか
上映時間:119分
(公式サイトはここ

「スローフード」

劇場公開はユーロスペースのみ(2006年5月14日現在)。典型的な単館映画です。以前にも触れましたが単館映画のパターンには①意外なところから掘り起こされてきた名作②面白くないから結果的に単館映画になった③配給会社が弱い④映画の内容が日本での劇場公開にそぐわない…などの傾向がみられます。それでも、カンヌ映画祭、ヨーロッパ映画際などで多くの賞を受賞した映画。「衝撃のラストカット その真実を見逃してはいけない」というコピーは、いったいどういうことなのか。CinemaXが斬る…かも。

隠された記憶は、冒頭から同じ風景が数分間続きます。かなり挑戦的な映画ということを強烈に印象付けるスタートです。冒頭シーンが全く動かないといえば、未知との遭遇ですが、得体の知れないものを扱っているぞということを強烈に印象付けるような必然性は、隠された記憶の冒頭シーンからは感じられませんでした。

ちなみに未知との遭遇は、当時の関係者向けの試写会で、真っ暗な画面が数分間続いて、「映写ミスか?」とザワザワしはじめたときにやっと小さな窓が映り始めたそうです。歴史上、実際に行方不明になった戦闘機を題材に扱うなどリアリティも抜群だったこの映画は、冒頭のたった数分のシーンだけで「凄い映画が出てきたな」と関係者たちを一気に惹きこんだというエピソードがあるようです。例えばモノクロ画面といい、思い切ったシーンを使うときは、それなりの意味が必要です、絶対に。

ターン1までの評価「C」

変化のないシーンが延々と続き、タイトルがあらわれます。とにかく何でもかんでも超スローテンポ。これだけ引っ張って面白くなかったら許さんぞと怒りすら覚えるぐらい、無駄な時間が経過します。おまけに、フランス語のまったり感も手伝って、極めて緊迫感のない展開が続きます。

ちなみにストーリーは、自分の家や生家を撮影したビデオテープが、主人公、ジョルジュの家に送りつけられるというものです。謎解きをしようとあちこち動き回るのですが、その度ごとに裏を返したように新たなビデオテープが送りつけられるという、冒頭はサスペンス的な要素が少しだけする映画です。ただ、別に緊迫感があるわけでもなく、観客が謎解きをしているような楽しみもないので、ただ眺めているだけ…という感じです。

ターン2までの評価「C」

とにかく展開がトロすぎます。ジョルジュがビデオテープに撮影されていた母親のもとに足を運んでのやりとりや妻、アンととの夫婦喧嘩、幼なじみであり後の義兄弟となる男との数十年ぶりの再会、そしてやりとり…全てが超スローテンポです。シーンの両端に無駄な時間をかけすぎです。例えば、カップ焼きそばのソースで、上下のギザギザがついている余白部分が、通常は数ミリなのに、数十センチもの長さに間延びしているような感じです。これだと開けるのも大変ですし、材料費の無駄です。原油価格も高騰しているのに。

映画は省略の技術といいますが、隠された記憶に関しては、無駄だらけです。その雰囲気がいいという人もいるかもしれませんし、ハリウッドのような活劇はお子様が見るものだとのたまう映画通の方々には満足な映画かもしれませんが、僕には極めて退屈な映画に感じられました。その後、僕は「寝てもいいよ光線」を感じてしまい寝てしまうのですが、寝なくても内容をかみ締めることは出来なかったことでしょう。所詮、お子様ですから。

最終評価「判定不能」

映画を観ながら寝てしまう時は、器用にも「ここで寝てしまっては話の筋が分からなくなるぞ!」というシーンでパッと目覚めてしまうのですが、僕は本当に最後の最後まで目を覚ますことがありませんでした。森林公園行き急行で言えば、東松山を過ぎたあたりで目覚めたことになります。疲れていたのか、最後まで寝ても大丈夫だよという自分の才能の賜物かは分かりませんが、衝撃のラストシーンの手前で目が覚めました。

そして、衝撃のラストシーン…これは、ある意味衝撃的でした。相変わらず長回しのシーンが続いて、エンドロールが流れ始める「えっ?これでおわり?」という感じです。穿った見方をすれば、あえて衝撃のラストシーンと説明しなければ、暴動が起こると思ったのではないかと疑ってしまうほど。

スローフードもたまにはいいなあと思う人は多いとは思いますが、365日そればっかりだと飽きてしまう人も多いはず。過ぎたるは猶及ばざるが如し、隠された記憶は、ちょっと度が過ぎたスローテンポな映画かなあと思いました。もしかすると、もう一度見直せば、面白さが見出せるかもしれないという期待を込めて、判定不能とします。ただ、二度と観ることはないでしょうが。フランス映画、やっぱり苦手です。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年5月9日
劇場:ユーロスペース2
観客数:30/144
感涙観客度数:不明
※各ターンは個人的に設定、感涙観客度数は場内の鼻すすり音で推定。

ついでに紹介!

未知との遭遇…レビュー中で持ち上げて何ですが、僕はあまり好きではありません(笑)

|

« タイヨウのうた | Main | 火中の栗 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49725/10071062

Listed below are links to weblogs that reference 隠された記憶:

« タイヨウのうた | Main | 火中の栗 »