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March 20, 2006

エミリー・ローズ

CinemaX第77回目。

監督:スコット・デリクソン
脚本:ポール・ハリス・ボードマン、スコット・デリクソン
音楽:クリストファー・ヤング
出演:ローラ・リニー、トム・ウィルキンソン、ジェニファー・カーペンターほか
上映時間:120分
(公式サイトはこちら

「事実は小説より奇なり」

いわゆる「悪魔のイナバウアー」に抗議が殺到してCM放映を一時中断していた「エミリー・ローズ」です。ただ、映画を観ればその抗議がいかに無意味なものであるか、痛感することになるでしょう。

エミリー・ローズは、単なるホラー映画かと実はそうとも限りません。ノーマークで観ていると驚かされるような仕掛けもありますが、それ以外の部分は至ってオーソドックスに話が展開していきます。まず、エミリー・ローズは映画の欠かせないエッセンス的存在であるのですが、決して主役ではないことに注意しなければなりません。
主役は、愛についてのキンゼイ・レポートにも出演しているローラ・リニー演じる女弁護士のようです。彼女は、トゥルーマン・ショーで偽妻を演じていますが、演技力は今回も健在でした。彼女の魅力である笑顔がかなり少ない役だったのですが、序盤から最後に向かい段々と顔まで変わってみえてくるほどの演技力はやはり大きな見所です。
エミリー・ローズは、悪魔祓いの信憑性を問う裁判を中心に展開されます。つまり、非現実的なものと現実をいかに結び付けられるかというところに焦点が宛てられます。これまでの多くのホラーがやりっぱなしで終わることが多いだけに、この映画は本当に解決するのか、序盤から期待が高まります。

ターン1までの評価「B」

世の中にスピチュアルという言葉が流行するようになりました。江原啓之氏がこの言葉を日本で流行らせたといっても過言ではないでしょう。僕にとってはスピチュアルという言葉は知らなかったものの、幼い頃から当然のようにあるものだと信じていましたので何の抵抗もないのですが、僕の記憶が正しければ江原氏はスピチュアルという言葉が一般市民に抵抗なく受け入れられるように受け入れられるようになった時、スピチュアリストではなく、霊能者と肩書きを変えたいと言っていた様な気がします…違ってますかね?スピチュアルとは、オブラートにくるんだ表現であって、霊能者と変わらないということだといえます。
一方、昨年からテレビでやりたい放題の細木数子は占星術師であり、統計学上の法則に基づいて判断を下していますのでスピチュアリストではないということ。最近では霊能者のような神がかり的な言動も目立つのでエスカレートしていかないか心配なのですが。そういえばミスター・マリックも一時期、霊能者のようなことをやっていましたね。

ターン2までの評価「B」

この映画の見所は、後半に集中しています。特に変質していくエミリー・ローズとその周辺の人々の行動、そのことを証言する証人達の行動、そして何より姿を現しはじめる悪魔の恐ろしさです。ただ、実際に画面上に出てくるわけでなく、エミリー・ローズの視線や彼女の身体を借りて行う奇怪な行動で表現されます。これが怖い。悪魔のイナバウアーもこの行動の一つです。「1,2,3,4,5,6!」という呪文のような言葉も怖いですし、午前3時に停まる時計も怖い。
ネタバレですが、エミリー・ローズは「世の人々に悪魔の存在を知らしめる」という役割を背負っていることを知り、自らの身体が滅びる道を選びます。この点に世界の人々が感動したようですが、僕のポイントからは外れていました。聖母マリアがその役割を伝えるという部分が理解出来ませんでしたし、いくら重要な役割だといえあまりにも救いようがありません。
ただ、この救いようのなさが西洋ならではなのかもしれません。「呪われた狩人」という交響曲がありますが、この曲のストーリーは確か殺しちゃいけない動物を仕留めてしまい、狩人は発狂しながら森の中をさ迷い死んでいくという救いようのない話だったはずです。有名どころだと「フランダースの犬」あのラストは救いようのなさではピカイチといえます。大団円で終わる話が好きな日本人が「フランダースの犬」を好むのは突然変異だとしか思えないのですが。

最終評価「A」

陪審員の粋な計らいは米国ならでは。WBCでは米国の嫌な部分をみてしまいましたが、米国の気質にはこういう洒落の利いた部分もあるのだとあらためて感じました。エミリー・ローズの話は後に出版され、映画化され、多くの人々が映画を鑑賞していますが、僕のようにブログを書いたり、誰かに感想を伝えてその人がまた映画を観ることも世の中に悪魔の存在を知らしめるという、彼女の「役割」であるといえるでしょう。奥が深い。
宗派はどうでもいいのですが、先祖を敬うことすらしない人々が増える中で、世の中に鉄槌を下すといううえで存在価値の高い映画といえます。ただ内容も把握せず「怖い」「気持ち悪い」と抗議してCMを止めさせる行動がいかに愚かなことであるか、クレーマーの方々に感じてもらいたいものです。みすぼらしい服を着ている人を指差してで「なんて卑しい人」と言っているのと同じ。
「エミリー・ローズ」は、実話を知っているか否か、死後の世界がどこまで受け入れられるかによって、映画に対する印象も大きく変わるのかもしれませんが、必見の映画といえます。ただ、ホラー映画としては中途半端なものであり、警戒せずに観に行くと怖いのですが、過剰に期待して観ると空振りに終わることでしょう。どちらかというと法廷モノのジャンルに入るといっていいでしょう。
実話をもとにした映画は、ストーリーや設定が実話に振り回されてしまい案外クソ映画に成り下がってしまうものなのですが、エミリー・ローズは、弁護士を中心に描いたからこそオリジナルと見紛うような展開が実現したのかもしれません。ただし、オリジナルとして人間の頭がこのような話を思いつく確率は万に一つとしてないといえます。まさに「事実は小説より奇なり」いかに人間が頭の中に突拍子のない話を考えようと、事実はそれをあっさり飛び越えてしまうことをあらためて感じてしまったのでした。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年3月16日
劇場:新宿文化シネマ
観客数:25/408席
感涙観客度数:不明


ついでに紹介!

原作本(?)と今観たら多分怖くないエクソシスト。

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Comments

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