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March 23, 2006

のび太の恐竜2006

CinemaX第79回目。

監督:渡辺歩
原作:藤子・F・不二雄
脚本:渡辺歩、楠葉宏三
出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一ほか。
(公式サイトはこちら

「末期モデルチェンジ」

懐かしい「のび太の恐竜」が帰ってきました。僕らの世代のリピーターには「過剰演出」との呼び声高い映画をCinemaXが斬る?

のび太の恐竜2006は、声優が一新された最初の劇場版です。CinemaXでは、リメイクでも続編であっても、前作を観ていないものとして評価することになっています。ただ、今回はそうもいかないようなので、最初に全体の評価を行います。

「最終評価B」

野比家は、東京都練馬区から引っ越したのでしょうか?というぐらい雰囲気が変わりました。町には小さいながら山もありますし。サザエさん一家や算数の教科書の物価(ノート30円、えんぴつ5円)のように、いつまでも変わらないのはアリだと思いますが、のび太などの登場人物は以前に比べ髪が薄くなり、ヘルメットのように固定されていたヘアースタイルも風になびくようになっています。昔、サザエさんで、サザエとフネが東芝が新発売した電動ポンプを使うシーンを入れてしまい抗議が殺到したことを記憶していますが、こういうものは現実にあわせて変化してもいい部分と悪い部分があるようです。
最近では水戸黄門でのCMで先代…いや、先々代の黄門様である佐野浅夫が黄門の格好をしてチリンチリンとチャリンコに乗るCMに「観ている側が混乱する」「デリカシーがない」と抗議が殺到した記憶がありますが、ドラえもんも登場人物の髪型が自然になびいたり、原作にはない多彩な表情をしたり、携帯電話を持ち歩くスネオなど、変わってもいい部分と残さなければならない部分を取捨選択する時期が来ているのかもしれません。サザエさんのようにいつまでも時代が止まっていてもいいとは思うのですが。「さーて、次回のサザエさんはぁ~“フネ、ついに決意、流行の熟年離婚”“ワカメ、出来ちゃった結婚の相手は誰?”“マスオ、リストラで焼き鳥屋開業”の3本です」…違和感アリアリ。
記憶の糸を辿りながら重箱の隅をつつきますが、のび太の部屋が狭くなり、出入口が机の横側から真後ろに変更されています。具体的に説明すると、ドラえもんの寝床である押入れがあった場所が、出入り口になっています。特に本棚やおもちゃ箱が煩雑に置かれてしまったために「これではお座敷釣り掘が出せないだろう」と心配してしまいます…どうでもいいことですが。

ドラえもんのテレビアニメ(以前の日テレバージョンではない)は、僕の小学校入学と同時、昭和54年4月に始まりました。当時は、創刊号からコロコロコミックを読み漁り、小遣いを貯めて単行本を買い、それを何度も読み返す毎日でした。そしてテレビアニメがスタート。放送開始の4月が待ち遠しかった僕は、コロコロコミックなどに掲載される事前情報を何度も読み直し、時にノートなどにサンプル画像(?)を書き写す毎日を過ごしていました。コロコロコミックって、活字にすると本当にコロコロしているんですね、コロコロ。
かくして昭和54年4月2日午後6時50分、ドラえもんは「夢のまちのび太ランド」を第1話としてスタートしました。それは、餅のような風体のドラえもんが、のび太の尻にヘリトンボ(後のタケコプター)をつける小学館の学習雑誌の第1話とも、パン屋を救うため怪電波を流したコロコロコミックの第1話とも違っていました。
ドラえもんは、平日・土曜の午後6時50分から7時まで、日曜日は午前8時30分から9時まで、毎日観ることが出来るようになりました。週2回放映(火曜は再放送)されていた以前のサザエさん以上のインフレぶり。後に10分間のドラえもんは消えましたが、日曜の時間帯を1時間繰り下げ、金曜日に移動して今に至ります。

それから1年後、昭和55年3月15日に封切られた「のび太の恐竜」は、モスラ対ゴジラと同時上映で公開されました。当時は2本立ての映画も多かったのですが、東宝のエースであるゴジラと、しかもモスラ対ゴジラを抱き合わせるあたり、ドラえもんに今のような信頼がなかったからとみることも出来ます。モスラ対ゴジラは、中村真一郎、福永武彦、堀田善衛のそうそうたる文学者が生み出した傑作中の傑作ですから(でも、ゴジラ対メカゴジラが=昭和49年が好き)。
ドラえもんに頼りすぎて、人間的にちっとも成長しないのび太に「ドラえもんは果たして、子供の教育にいい漫画なのか?」という疑問の声もあります。確かに殆どのストーリーは「ジャイアンにいじめられる・スネ夫にからかわれる」→「ドラえもーん!」→「ひみつ道具で復讐」→「調子こいて失敗する」というパターンなのですが、映画に限っては、のび太はほんの少し成長しますし、ジャイアンも何故か頼もしくていい奴になります。ただ、その場限りなのですが。

のび太の恐竜2006は、欲張りな設定が目立ちました。特に環境問題については、そんなに時間を割く必要があるのかとも思いましたが。藤子・F・不二雄(藤本弘)がこの原作に込めたのは、そんな偽善的な要素ではなく、生き物を大切にする心だったような気がします。それにしても恐竜ハンターは恐竜を狩り放題、あの名作、「サウンド・オブ・サンダー」の基準にすると、未来は変化しまくりです。たった数グラムの蝶を持ち帰ってしまったことで未来の地球は壊滅寸前に追い込まれたのなら、四次元ポケットからゴミを捨てまくったドラえもんの行動は重罪です…これもどうでもいいことですが。
ドラえもんは、藤本氏の死後、変質してしまったという声も聞かれます。これは、石ノ森(石森、あるいは石乃森)章太郎の死後、仮面ライダーが跡形もないぐらいに変わってしまったことに似ています。最近の仮面ライダーは、変身する主人公のイケメンぶりばかりが注目されますが、これも原作者が亡くなってからの流れ。藤岡弘、はともかく、中村梅之助のような風貌が印象的だった佐々木剛(仮面ライダー2号、一文字隼人)は、今の路線だと絶対に採用されない俳優だといえます。

日記で何度か触れましたが、ドラえもんは藤本氏の死後、残されたアイデアメモのほか、脚本家など周囲のスタッフによってストーリーが作られ、今でも放送が続いているようです。くれぐれもいいますが、藤子不二雄A(我孫子素雄)が描いているわけではありません。サザエさんの場合は、新しい話がなくても季節ならではの話を数年のスパンでリニューアルしていれば何とかなるような気がするのですが、ドラえもんはそうはいきません。
藤本氏が亡くなって以後のドラえもんは、ひみつ道具に頼る傾向がより強まったとの声もあります。これは少し残念なような気がします。もしかすると。こういう道具があればいいなとまず道具ありきで、それにあわせてストーリーをねじ込んでいるのかもしれません。藤本氏がどのようにストーリーを考えていたかは分かりませんが、多分、そういう安易なストーリーの作り方はしていなかったはず。
のび太の恐竜2006も、同じような傾向が伺えます。原作がこうだから、こうしたらもっと面白くなるとか、ストーリーの柱は変更していないものの、原作・前作の威を借りて尾ひれをベタベタとくっつけすぎてしまった感があります。伏線の張り方は上手いなと思っても、その部分はオリジナルと大差ないので、思いついたアイデアを盛り込みすぎてしまった末期のモデルチェンジみたいなものなのかもしれません。その割に効果が薄いような気がするのですが。
声優の方々については、交代した時こそ違和感を感じましたが、少しづつ馴染んできているように感じられました。少なくとも30年は1人も欠けそうにない若さなので頑張ってもらいたいものです。そのためにも、脚本家などスタッフの方々には、目先の面白さだけを追求するのではなく、大人になっても強烈に印象が残るような奥の深いストーリーを是非、考えてもらいたいものだと思いました。

エンドロールで映し出される原作の部分は、涙が出そうになります。特に、ピー助が遊んでいたボールをぼんやりと見ている絵は、すごく印象的です。では何故、これを本編で入れなかったのか。この点は少し疑問に思いました。のび太の恐竜は、単行本の10巻あたりに収録されている短い話があるはずなのですが、もう一つ、台風のフー子のエピソードが付け加えられた記憶があります。このストーリーでは、のび太は、台風の卵(たぶん)からフー子を育て始め、やがて成長し、手に負えなくなります。どうしようかと考えていたところに、フー子は巨大台風に立ち向かって消えていきます。そして、のび太はフー子が去った後、ふと、発生したつむじ風を見てフー子のことを思い出します。
これはのび太の恐竜のボールのシーンに共通する部分があります。何故これを本編に入れなかったのか、出来上がった料理を食卓に運ばずにゴミ箱に放り込んでしまうほどもったいない話です。ちなみに、フー子のエピソードは後に映画になっています。ドラえもんには数少ない感動系のストーリーなのですが、映画としてリサイクルするあたり、藤本氏亡き後で劇場版を作る上でのスタッフの苦労がうかがえます。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年3月18日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:200/296席
感涙観客度数:不明

子供達は立ち上がり、さながら動物園状態でした。奇声をあげたり、スクリーンのドラえもんや登場人物に手を振ったり、オープニングやエンディングのテーマ曲を一緒に歌っていたり。覚悟していたとはいえ、やかましいことこの上ないのですが、何故か微笑ましく感じました。そういえば僕らの子供の頃も、床やステージの上などに子供がゴロゴロ寝ていましたから。なんだか懐かしい。
今回もアニメーションの声優初挑戦の俳優がいました。ちょっとでも話題のある映画になると俳優やタレントがこぞって声優に初挑戦するのですが、何だか「声優なんか片手間で出来る」という雰囲気がして何だかムカつきます。話題性だけで下積みを重ねてきた声優の方々の仕事を簡単にさらってしまうのは理不尽な気がします。
劇団ひとりは芸達者なところを見せましたし、アニメーションでは声優初挑戦となる船越英一郎もそれなりに上手いのですが、2時間ドラマの帝王というだけあって、それなりの配役にしなければならないのか、彼がアフレコした黒マスクは、以前に比べ準主役級に格上げされていました。こういう無理な設定変更をすると、全体のバランスが少しづつ崩れていくわけです。
恐竜ハンターのエピソードをだらだらと続けるのではなく、前作の大きな要素の一つだった、「キャンピングカプセル」でのお泊り、うらやましくて仕方がなかった「エラチューブ」を使った海水浴、幼い頃飲みたくて仕方がなかった「コンクフード」など、冒険という要素をもっとフルに発揮すると楽しい映画になったのかもしれません。そういえば「ひらりマント」は出てきませんでしたね。ドラえもんも道具を出す時にちっとも紹介してくれませんでしたし。
加えて、ピー助の声優を務めた天才子役、神木隆之介は、ピーと声を出すだけなのにわざわざ起用する必要はないと思いました。声優は何度か経験があるようですが、トラウマにならないか心配です。ちなみに前作は確か、ドラミちゃんの声優(よこざわけい子)が担当していたはず。鼻にかかった「ピー!」が印象的でした。びっくりしちゃったなー!びっくりしちゃったなー。

ついでに紹介!

「のび太の恐竜」DVD・原作、とにかく観ろ・読め…「のび太の宇宙開拓史」お勧め…フー子のエピソードを引き伸ばした「のび太とふしぎ風使い」未見。

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Comments

Often it is seen as each a help and a hinderence to the easily lead, that are yet to grow accustomed to its disombobulating nature. In the past, games were thought of as a toy for kids. Take-Two and Rockstar Games' Grand Theft Auto V has shattered every sales record known to man.

Posted by: Boom Beach free wood | July 24, 2014 at 11:06 AM

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