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March 02, 2006

燃ゆるとき THE EXCELLENT COMPANY

CinemaX第71回目。

燃ゆるとき THE EXCELLENT COMPANY
監督:細野辰興
原作:高杉良
脚本:鈴木智
音楽:川崎真弘
出演:中井貴一、大塚寧々、長谷川初範ほか
上映時間114分
(公式サイトはここ

「池袋」

先日、観てもいないのに「ちゃらい」と評価してしまい、いささか反省している「燃ゆるとき」です。日本の映画業界は最近、シネコンの後押しもあり、数十年ぶりの活況が戻ってきています。ただ、手当たり次第に韓流映画を輸入したり、ちょっとでも良さそうな原作を発見したり、ワンアイデアの企画が持ち込まれると簡単に映画化するような風潮も見受けられますこれでは、せっかく劇場まで足を運んでくれた観客を落胆させてしまうことにはならないだろうかと懸念しているわけです。そのうえで「ちゃらい」と言ってしまったこの「燃ゆるとき」は果たして、ちゃらいのか、そうでないのか。

冒頭から、分かりやすい展開です。ベタベタのセリフ、ベタベタの人間関係。この映画を観て「ストーリーが全然理解できなかった」という人はまず、いないでしょう。それだけ取っ掛かり易い映画ですが、映画は、簡単にチャンネルを変えられてしまうテレビと違い、観客を箱に閉じ込めてしまうという強制力を持っていますので、ある程度の強引さも許されます。逆に、それがなければテレビでも出来るということになります。誰にでも判り易いと言うのがこの映画のセールスポイントなら、テレビでも出来そうだというのが、ウィークポイントなのかもしれません。

ターン1までの評価「B」

かつて、プロジェクトXという番組がありました。派生して映画化された話もありますが、この「燃ゆるとき」を観て、プロジェクトXをイメージした人が多いかもしれません。そこが、この映画に何も新しさを感じない所以なのかもしれません。逆にプロジェクトXがなければ、こういう映画も製作されなかったかもしれませんが。「燃ゆるとき」には、プロジェクトXの多くの企画が視聴者を感動させていたのと同様に、感動するポイントが数多くあります。仮に感涙ポイントとでも言っておきましょうか。

ちなみに、米国に進出した食品会社サンサンインクは、親会社が東輝水産。キャラクターや社名ロゴから簡単に推測できますが、モデルは東洋水産…マルチャンです。原作は実話をもとに描かれたそうですが、度重なる苦難は、実話と思えないほど壮絶です。築地から発祥した東洋水産は、以外にも魚とは縁遠い即席めんを主力商品とする企業です。ちなみに吉野家も築地が創業の地のようなもの。肉と魚も縁遠いはずなのに、意外です。その東輝水産は、米国で瀕死の状態で、主人公の川森という男が赴任して、再生が始まります。あらすじだけを並べるのはここの趣旨ではないので、詳しくは他の映画系ブログや公式ホームページなどをご覧下さい。

ターン2までの評価「B」

「燃ゆるとき」は、確かに見所は多いのですが、不思議とただ観ているだけという感じもします。「アメリカ式のビジネスが必ずしも正しいとは限らない」とか、川森の辞表のエピソードにみられるような、これでもかというほどのアンチ・アメリカの姿勢に魂を揺さぶられる人もいるでしょうが、タイミング良く人が現れて気の利いたことを話したり、今までは怒号が渦巻いていたのに、川森が喋っている間は沈黙する従業員とか(しかも日本語が判らないのに)、ストーリーを都合の良い方向に進める展開が目に付きました。決められたレールの上を走らなければストーリーが迷走してしまい、とても映画として成立しないのですが、そのレールが観客に見えてしまえば終わり。上手く隠しているか否かがポイントです。この辺りは「ちゃらい」作りのように感じられました。

この映画に足りないものは、対立かもしれません。主人公と社内で対立するのは、後にも先にも営業担当だけ。あとは良い人ばかりですから、どこか物足りないような気がします。映画のストーリーそのものは、コスト削減から、セクハラ事件、ユニオン設立問題と危機が次々と訪れます。現実味が薄れるほどのタイミングの良さに目を瞑るとしても、その過程で人間関係が培われていくような内容にすると、見応えがあるのかもしれません。例えば、川森よりむしろ、加賀丈史扮するサンサンインク社長、深井を主人公にするとか。

最終評価「C」

個人的に映画そのものは良い出来だといえますが、どうしてこんな時期に?という感じもします。プロジェクトXの免疫が出来たサラリーマンに訴えかけるほどの力はないでしょうし、俳優は豪華なのですが、誰かを観に行こうというほどキャストが突出しているわけでもなく、テレビをそのまま映画にしたようなもの。どうせならどこかのテレビ局の何周年記念だかで製作してテレビで流せばいいのに。
それにしても東映はいったい何がしたいのかが分かりません。後追いのジャパニーズホラーをはじめ、他社がさんざん畑を荒らした後に封切られた不思議系感動物語の四日間のナントカとか、ハリウッド俳優・渡辺謙という威を借りて、国民的大物女優を抱き合わせて赤字を垂れ流した北のナントカ、他の良い映画を次々と終わらせてまでも拡大ロードショー・ロングランを無理強いし続ける戦艦映画といい…東映に再起はあるのでしょうか。

「燃ゆるとき」は、いろいろな要素が揃っているもののこじんまりとしている映画といえます、デパートでも何でもあるが、新宿や渋谷、銀座に比べるとこじんまりとしている、池袋のような映画でした。テレビでも出来そうな映画ばかり作っていると、観客は絶対に離れていくでしょう。やっと復興した日本の映画業界のため、映画の無駄打ちをするような風潮を絶対に許してはなりません。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年2月28日
劇場:丸の内TOEI
観客数:40/510席
感涙観客度数:若干

アミーゴオイルのトレーラーがやってくるシーンは、ベタなのですが感涙ポイントの一つといえるでしょう。

ついでに紹介!

プロジェクトXのラインナップで最も泣ける「ミスターVHS」を題材にした映画(上)。これまた東映。またか!
当時のプロジェクトX「窓際族が世界規格を作った」のVHS(下)。何故かVHSのみ。プロジェクトXは長期に渡り放映されたものの、商品化されるうえで「欠番」が多いような気がします。淀川工業のケースといい、いろいろと難しいんですね。ゴジラですら、当事者の方々はボロカスに言っていましたから。ゴジラは、ゴジラというあだ名の大部屋俳優にちなんで名づけられましたが、別にクジラとゴジラの合成語という都合のいい話ではなく、自然発生的に使われていたニックネームです。当時の製作者は存命なのですから、ちゃんと探し出して取材しないと。

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Comments

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