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March 06, 2006

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

CinemaX第72回目。

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々
監督:マルク・ローテムント
脚本:フレート・ブライナースドーファー
音楽:ラインホルト・ハイル、ジョニー・クリメック
出演:ユリア・イェンチ、アレクサンダー・ヘルトほか
上映時間121分
(公式サイトはここ

「心理戦」

鑑賞から少し時間が経つと、自分で書いたメモが読み取れなくなるのですが、今回はその典型。どこまで当時の記憶が甦るか。第二次大戦のドイツ、劣勢になりながらもなお戦争を続けるナチスを批判する白バラというグループの紅一点、ゾフィーという若い女性が主人公です。詳しくは、いつものようにあらすじを詳しく紹介した映画系ブログや公式サイトをご覧下さい。
白バラは、ナチスを批判するビラを作り、国内の人々に発送するという活動をしています。ゾフィーとその兄、ハンスは、大学でビラを大量に撒いたとして、ゲシュタポに逮捕されます。そのまま逃げていればバレなかったのに、戻らなければよかったのにという「あーあ」感が良く出ています。ただ、この映画の中心はゾフィーが逮捕されてからです。
ナチスドイツの時代を扱った時代なので、最近ではヒトラー~最期の12日間~のように、展開としては少し派手なものかと思いましたが、実際にはひたすら尋問官との取り調べが続く地味な展開です。ただ、矢継ぎ早に嘘をつくゾフィーと、何とか容疑を固めようとする尋問官との心理戦が見所です。ひたすらセリフ。カメラのアングルを切り替えるので、舞台を観るような感じでもありませんが。
やがてゾフィーの嘘はばれ、収監されます。ただ、長い心理戦の中で尋問官は、ゾフィーの強さに魅力を感じたのか、今で言う司法取引を持ち出しますが、彼女はそれを断ります。釈放されるかもしれないというのに。尋問官が彼女に向けた情けや、ゾフィーの信念を貫く強さは、日本人の感情を充分揺さぶるものといえますが、一方で、全体的に動きがないだけあって、足りない部分も多い映画でした。「父親に素直に生きろと言われた」とか、セリフだけでなくそういうシーンがあれば、展開が分かりやすく、面白くなったのかもしれません。ただ、動きのなさがこの映画の魅力の一つだともいえますが。

前半までの評価「B」

後半の見所は、ゾフィーと兄、その仲間の裁判です。弁護人も検事も、判事もナチに洗脳されているという、圧倒的に不利な状況での裁判ですが、その場で吐くゾフィーのセリフが、取調室で吐くセリフ以上にこれまた凄い。セリフだけで観客の心を揺さぶろうとするのは大胆不敵ですが、上手いことツボハマると泣かされます。この手の映画は年配の観客が多いのですが、その多くが涙していました。やはり戦争が絡む映画は、戦争経験の有る無しでアンテナの志向性が違い、年代によって解釈が大きく変わってくるのかもしれません。
この映画は、エンディングも見所です。裁判で有罪判決を受けたゾフィーらは、最低99日という猶予期間を無視して処刑されてしまいます。そのシーンが凄い。血しぶきが飛ぶという凄惨なものではありませんが、情報量の少なさの割に処理出来ないほどの衝撃を受けます。上手く説明出来ないので、実際にご覧下さい。
体勢に反抗することすら許されない戦時下のドイツで、戦争に反対し続けたゾフィーの凛々しさは、ユリア・イェンチの演技からも伝わってきますが、エンドロールで登場する実際の彼女の写真からもその強さが感じられます。歴史上はあとわずかでドイツは降伏します。そのことは彼女らは知る由もありませんが、信念を曲げれば生き残ることが出来たと分かっていながら、あえて貫き処刑される道を選んだというのは、多くの日本人の心理と通じるものがあるのかもしれません。

最終評価「B」

映画の良さが分かる要素の一つに「エンドロールで席を達人の少なさ」というのがあります。特に観客の年齢層が高くなると、エンドロールが流れるとざわざわ席を経ち始める人が増える傾向にあるような気がします。戦争絡みの映画(特に第二次大戦)になると、必然的に年齢層が高くなり、白バラの祈りもそうだったのですが、席を達人は殆どいませんでした。劇場の構造によってはスクリーンに人影が無数に映り、ドアの開け閉めで場内が明るくなってしまうというムカつく状態になるのに、誰も席を立たないというのは、やはり脅威です。
ゾフィーのような存在は、戦時中は影に隠れ、その後も歴史の表舞台に出ないので、戦争を知らない僕にとっては消化が難しい内容なのですが、戦争を経験したお年寄りには、戦時中に感じていたことなどに共通する部分があるのかもしれません。国民全てが戦争に賛成していた訳ではないでしょうから。例えばゾフィーのように、空襲を受ける東京のどこかの監獄で空を見上げながら「戦争終われ」「戦争終われ」と祈っていた政治犯のような人々もいたかもしれませんし。

白バラの祈りには、ユリア・イェンチの眼力、吐き出すセリフの重さなど彼女の魅力が詰まっています。ドイツ映画界期待の新星といわれているようですが、若い割に落ち着きもあり、ギアチェンジのいらない息の長い女優になりそうです。更新が遅れている間に劇場公開もあと僅かになってしまったようですが、是非、劇場に足を運び、取調室、法廷でのシーンは決して見逃さないようにして下さい。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成18年2月21日
劇場:シャンテシネ
観客数:40/204席
感涙観客度数:50%
(場内の鼻すすり音で推定)

ついでに紹介!

ヒトラー=悪という描き方一辺倒だった映画が多い中で、趣を変えた「ヒトラー最期の12日間」それだけに批判も多かったようですが、物事をいろんな角度をみるうえで、存在価値のある作品。CinemaXのレビューはこちら

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Comments

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