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January 09, 2006

キング・コング

CinemaX64回目。

キング・コング
監督:ピーター・ジャクソン
脚本:ピーター・ジャクソン、フランソワ・ウォルシュほか
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
声の出演:ナオミ・ワッツ、ジャック・ブラックほか
上映時間:188分
(公式サイトはこちら

「大福袋」

キング・コングは、チキン・リトルと同じ日に鑑賞しました。つまり、ダブルヘッダー。チキン・リトルのユルユル感に疲れて3時間の長丁場を耐えられるかなと思いましたが、やはり耐えられませんでした。3時間ということは、テレビドラマで言えば80分とか90分拡大版という感じなわけで、バラエティを含め拡大版がレギュラーに比べ大味でつまらなくなるのは世の定めです。3時間のキングコング、どこに無駄があるのかを考えてみましょう。
…と思いましたが、冒頭からいらないシーンの連続でした。脚本家を船から降ろさない方法も陳腐、無駄なシーンが多すぎ。とにかく、キングコングが登場するまでにありとあらゆる無駄が駆使されています。無駄の見本市。
個人的には綺麗な顔の割に女優としての魅力を全く感じないナオミ・ワッツと面長のアランプロストのようなエイドリアン・ブロディの恋物語を描くという時点で魅力が半減していますから、わざわざ映画を上手くみせようとするようなセリフを登場人物が喋ったりするのはかえって映画のテンポが悪くなります。加えてあちこちで使われている意味のないスローモーション。アルマゲドンのあちこちで挿入されているリブ・タイラーのショット並みにテンポが悪く、意味不明です。
単なるあらすじの説明だけなら、多くのブログに掲載されていますのでそちらをご覧頂くとして、とにかく前半のまどろっこしさがこの映画の評価を下げているといっても過言ではありません。下らない状況説明は抜きにして冒頭から「映画を撮影しようとしていた一行が偶然島を発見する」というのでいいのでは?と思います。この映画は、開演時間に喫茶店に入りコーヒーでも飲んで、少し昼寝でもしてから劇場に入るといいでしょう。

ターン1までの評価「C」

キング・コングは、撮影の一行が島に入ってから、少し見所が増してきます。CGにさんざん金をかけたようですから、ここが面白くなければ無用の長物になりかねません。ただでさえキングコングという重い看板を背負っているわけですから。東宝のゴジラ、東映のガメラ、日活のガッパみたいなものです。相変わらず意味のないスローモーションは使われていますが、それ以上に迫力のあるシーンがあるのがせめてもの救いといえるでしょう。
中盤あたりになって、やっとキング・コングが登場しますが、これに呼応するようにさらにCGの迫力が増します。すると…酔うわけです。グラグラ揺れる画面で乗り物酔い状態。臨場感を出したいのは分かりますが、これはERじゃないつーの。スローモーションはここでも健在。おまけに登場人物たちの寸劇がテンポを悪くしています。何よりも不味いのは、キング・コングがただのすばしっこいゴリラにしか見えないことでしょう。
本編中のCGは、絵柄こそ迫力はありますが、重量感が感じられません。キング・コングの動きをもっと遅くする必要があるのかもしれません。このほか、恐竜の群れから人間が逃げるシーンがあるのですが、CGの技術は認めますが、どうしてあんなにデカくてすばしっこい恐竜と同じ速さで人間が走れるのか。この辺りの行き当たりばったりの設定がリアリティを殺しているような気がします。CGは、実写では撮影が困難なシーン…つまり、非現実的な世界や危険な場所での撮影に代わるものとして使われる側面もありますが、そのシーンに登場する人間は、生身の人間という設定ですから、スケールを無視した映像製作をすると違和感が出るのは当たり前のような気がします。単に技術をひけらかしているという感じです。

ターン2までの評価「C」

何しろツッコミどころが多い映画なので「そんなわけねーだろ」といいながら観るのも楽しみ方の一つかもしれません。顔を出す恐竜に一人だけ気付かない設定は全員集合でオバケに気付かない志村けんに観客が「シムラ!シムラ!」と叫ぶ場面に似ていますし、恐竜の頭にうっかり乗ってしまうシーンは、アッガイの上を歩いてしまうカツ・レツ・キッカを連想させます。そういう楽しみ方をしようとしても、やはりスローモーションと無茶な設定のおかげで現実に引き戻されてしまいます。製作者のご都合主義でみすみす死んでいくキャラクター、目の前にもっとおいしそうなエサがあるのにわざわざ小さくて食べにくそうな人間を狙う恐竜…ケーキと金平糖が落ちていたら、ケーキを捨てますかね?
この映画でもう一つ、無駄なのが虫のシーンです。さまざまなグロテスクな虫が登場しますが、それも技術をひけらかしているだけ。気持ちの悪い虫をおやつ程度に登場させるのは、未開の島を表現するうえで効果があるかもしれませんが、これでもか、これでもかと登場させます。おやつどころかステーキを食わせようとしているようです。
主人公達の虫の危機を救うのは、船長です。それ以前のシーンでも突然現れて危機を救ってくれる船長ですが、これもご都合主義。キング・コングを襲うコウモリも普段から同居しているはずなのに襲うのはこの日だけ。広いような島でも意外に狭く、探している人と意外に簡単に出会えてしまう…ツッコミどころ満載です。

ターン3までの評価「C」

やがてキング・コングは捕獲され、ニューヨークに連れ去られてしまうわけですが、その過程でナオミ・ワッツの魅力をさらに失くすような主人公の行動が気になります。主人公、アン・ダロウがキング・コングに惹かれていくのが見所であり、最後の別れの悲しさを強調する重要な要素となるのですが、このクソ女の行動も支離滅裂。さんざん他の男を振り回しておいてキング・コングにひかれながら、あの脚本家が助けに来ると躊躇なく抱きついてしまうわけです。それで山を降りてキング・コングが追いかけてきたら今度は自分が残るという。このお陰で周りの人間はまた振り回されるわけです。
主役級の人間の迷いや安易な行動が裏目に出て周りの人間が死んだりすると観客は「ああ、余計なことをして」と思いますが、これは映画では重要なエッセンスです。ただし、アン・ダロウの行動はこういうレベルを逸脱して人間の範疇を超えた動物に近い突拍子のない心の変化を示します。おまけに街に突然雪が降っていたり…何だこれ?
ニューヨークは、これまでのキング・コングとほとんど同じ設定のようですが、相変わらずアン・ダロウが登場するシーンなどでスローモーションが使われています。少なくともこのスローモーションを失くせば、数分は短縮できるかもしれません。未開の島とニューヨークでのシーンはとってつけたような感じもしなくはないですが、エンパイア・ステート・ビルに登る名シーンは、CGのお陰で迫力がありました。宮崎アニメ並みの高所恐怖症映像も下半身がスッとするような迫力です。

最終評価「C」

ニューヨークのシーンは悲しく、やはりキング・コングは傑作なのだと思い知らされます。ただ、このキング・コングは技術は高いものの並みの映画として多くの映画と共に埋もれていく運命にあるのでしょう。主役の男を船員から脚本家に代えた効果も感じられませんでしたし。映画は登場人物やストーリーなどが重なって、掛け算のように効果が増していくのが理想的だと思いますが、このキング・コングは足し算の映画。CGなど金をかけた分だけしか効果がない映画…値段相応の品物しか入っていない福袋のような映画だといえるでしょう。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年12月24日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:130/156席
感涙観客度数:多数

別れのシーンは、やはり悲しいものですが、そのシーンのシチュエーションだけで泣かされてはいけません。そのシーンまでの積み重ねがあればもっと効果があったことでしょう。前の席の中年男性は号泣状態でした。

kingkong

ついでに紹介!

元祖キング・コングと最初のリメイク版。

キング・コングは日本にも来ていますだ。

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Comments

Hello, I enjoy reading all of your post. I wanted to write a little comment to support you.

Posted by: Lindsay | May 03, 2014 at 03:35 AM

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