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December 28, 2005

皮肉

山形県内で特急電車が脱線・転覆し多くの死傷者が出ました。強風の中で電車を走らせたJR東日本に批判が集まっていますが、この事故だけでなく、日頃から電車を運行しないと駅などで「こんなことで止めるな」と利用客から文句を言われ、走らせて事故を起こすと「安全対策がなっていない」と批判されるのはどこか気の毒なような気もします。東武線踏切での事故を思い起こします。東武線踏切事故は、結局は保安係一人に全責任を負わせる不可解な結果でしたが、あれも遮断機を上げなければ周辺住民から文句を言われ、いざ事故が起こると批判されるというものでした。
最近になって東武線竹ノ塚駅付近で立体交差などの検討が始まりました。「何故今ごろになって」と批判する報道も多いですが、立体交差にともなう通行止めや周辺への影響が大きくなかなか手をつけることが出来なかったというのが正直なところでしょう。費用の負担はもちろん、立体交差の場合は、踏切のかなり手前から陸橋や地下への潜り込みが始まりますから、こうしたことで人の流れが変わることは、特に踏切付近の商店などで死活問題です。
踏切や事故に対する意見と同じで人それぞれのエゴがぶつかり合うと物事は何も進まなくなります。開かずの踏切を歓迎していた人はよほどの奇人なわけで、何十年も立体交差に向けた取り組みが停滞していたのは、こうしたエゴのぶつかりあいの結果ということも考えられます。
ちなみに、こうした立体交差工事でも今話題の道路特定財源が使われています。本来は高速道路以外での道路を作るために利用する道路特定財源なので、踏切立体交差への使用は「流用」ということになります。陸橋や地下道として道路を作っているじゃないかといわれればそれまでですが。
ついでに高速道路はプール制というものをとっていて、全国から集めた利用料金で高速道路を作ったり補修したりしています。東名高速や何かが何十年かの償還後は無料になるといわれていて実現しないのは、今も高速道路を作ったりしているからで、全国の高速道路整備計画が完結すれば、一定期間を経て無料になるというからくりです。ただ、計画中の高速道路には費用面でどうしても実現不可能と思えるものもあり、高速道路全体が無料になると言うのはどだい無理な話でしょう。民営化は一歩前進でしょうが、寡占状態の業界がどれだけ進化するかは未知数です。
もっとついでに、全国には高速道路もどきのような「有料道路」というものがあります。地元の人ですら高速道路を勘違いしがちですが、これは高速道路ではないので道路特定財源が使えます。高速道路が完成するまで一部区間を有料道路として建設する場合も同じです。仮に後で高速道路となった場合でもお金を返すわけではありません。道路特定財源の一般財源化されると全てがなし崩しになり、こういうコスい手を使わなくてもよくなるかもしれませんが…話が大きく逸れました。
今回の特急脱線・転覆事故で新たに犠牲者が見つかりました。この点は大いに批判すべきところでしょう。新たに発見された方は恐らく事故後間もなく亡くなったのでしょうが、寒空の下、雪の中に長時間埋もれていました。自由席の乗客をカウントするのが難しいことは分かりますが、どうして念には念を入れて捜索しなかったのか「最終的には」と付け加えて死傷者を報じていたマスコミも猛省する必要があるでしょう。
また、乗客の中に母親と幼い娘が乗っていたとの情報もあるようです。車内で歌をうたっていたとの話も。実際に乗車していたらの話ですが、その後の悲劇を知らずに母親の傍で無邪気に歌う女の子の姿が浮かんでくるようで悲しくなってきます。5人目の犠牲者は情報どおりに遺体が見つかりましたが、せめてこればかりは誤報であることを祈ってやみません。

さて、犯罪被害者の情報を警察が実名にするか否かを決定することを盛り込んだ犯罪被害者等基本計画が閣議決定したことに対し、大手マスコミが反発しています。ただ、これを冷静にみている国民も少なくはないはず。だってこれは「被害者」の話じゃないですか。これまでも事件があると報道は被害者に集中しがちです。もとより加害者は逮捕されると弁護士や検察などさまざまなベールで情報が出にくくなりますし、取材慣れした企業も大手になればなるほどマスコミの対応を心得ていますから、結果として無防備でガードの甘い被害者遺族や関係者に取材が集中しがちになります。おまけに、被害者を襲った悲劇などをお涙頂戴とばかりに編集すれば、視聴率を稼ぐことが出来ますから。
今回の特急脱線・転覆事故は、犯罪ではないのですが、恐らく被害者に関する報道が過熱することがよそうされま「した」。社会が停滞する年末年始においてはマスコミにとって格好の「餌」となることが予想されま「した」が、先手を打つように被害者遺族が報道の自粛を要請しました。今回の事故は、例えばJR福知山線の事故に比べ被害者が圧倒的に少ないため、少ない遺族にマスコミが殺到する危険性があります。今回の要請を受けて、果たしてマスコミが自粛するのかどうか、お昼のワイドショーでデカデカと取り上げたりはしないか、対応を注視する必要があるでしょう。テレビ局は年末年始の特番でそれどころではないかもしれませんが(これも問題です)…話を戻します。
個人的には、そういう反発よりも、仮名や少年Aで片付けられてしまう少年犯罪…特に凶悪なものについて、どうしてそれで納得しているのかが不思議でなりません。確かに世の中には人権などに五月蝿い人も多いのですが、犯罪被害者が実名で発表されないことに反発するのなら、独自に取材して報じるという手もあるはずです。これはそれほど難しいことではないと思いますが、特に大手マスコミは記者クラブという悪しき制度に縛られていますので、例えば警察庁の記者クラブの出入り禁止ともなれば、ただでさえ独自の取材能力が衰えている彼らにとって自動的にニュースソースが出てくる自動販売機を失うことは死活問題でしょう。
記者クラブの締め付けが強くなればなるほど、売名行為としか思えない大手経済紙へのリークが多くなればなるほど、彼らが小馬鹿にする週刊誌が自由に報道できる余地を与えることになります。皮肉なものです。
ginza0512

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