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December 07, 2005

ALWAYS 三丁目の夕日

CinemaX第61回目。

ALWAYS 三丁目の夕日
監督:山崎貴
原作:西岸良平
脚本:山崎貴、古沢良太
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希ほか
上映時間133分
(公式サイトはここ

昭和33年の東京が舞台の映画です。密かな昭和ブームが続いているというなかで、時流に乗った映画ともいえます。
さて、ALWAYS 三丁目の夕日は、原作モノということで、原作を知っている人、知らない人では感想が変わると思いますが、僕は「原作を知らない」ということで解説を進めることにします。
冒頭の東宝のロゴも今は懐かしい「TOHO SCOPE」の古臭い文字に囲まれています。シネスコという言葉は、今も見かけるのですが、我々一般の人間にとっては死語になりつつありますね。
総天然色を含め、今はそれが当たり前になっていますから。電話なんか、コードなんかないものと思い込んでいる最近の子供たちと同じです。

本編は、冒頭からCGの嵐です。ポリゴンはどうしても角ばってしまうと言われていたのが数年前、今では羽毛まで表現できるようになっています。そのCGを駆使して昭和33年の東京を表現していますが、それだけだと粗が出てしまうので、一部を実写で補っています。このバランスもなかなか良く、バレバレだなと思うのは上野駅構内程度で、それ以外のシーンでも特に興ざめするところはありませんでした。
冒頭の庶民の生活風景はまだまだ続き、時折もったいぶったように空が映し出されるのですが、なかなか主役が出てきません。引っ張って引っ張って、最後の最後で、登場する建設中の東京タワーを観ると、不思議な感動を覚えます。
昭和33年といえば僕が生まれる前ですし、生まれていても九州の片田舎からは見ることが出来ない建物です。それなのに懐かしい感じがする。そういう気分に浸れるところが、この映画の魅力といえるかもしれません。
ちなみに今、自宅のトイレで愛読している「死因事典」なる本によると、このころは自殺者も少なかったようです。オリンピックを数年後に控え、人々の目の前に世界一になろうとするような建物が少しづつ組み上がるのが見える訳ですから、そりゃ黙っていたってテンションが上がります。
逆に今の世の中は、あらゆるものが先進国として成熟してしまい、金を持っているのは資産家や個性的といいながら判を押したように同じ格好をする人が多いIT社長ぐらいでしょうか。金持ちの子供は金持ち、貧乏人の子供は突然変異が起こらない限り貧乏人のまま人生を終えるという夢のない世の中になってしまいました。

ターン1までの評価「A」

映画自体は、いくつかの人物のエピソードが散りばめられています。自動車工場の家族と上京した金の卵の話、売れない作家と元踊り子の話、町医者の話など。東北から集団就職するいわゆる金の卵を演じるヒロインは掘北真希です。大きな目が印象的な女優さんでちょくちょくCMやドラマなどに登場するようになっていますが、この人の方言が妙にマッチします。ネイティブには不満のようですが。
彼女は、若くて生き生きした演技にも魅力がありますが、今が最高潮という雰囲気があるだけにこの先が心配なような気がします。良くいえば眩しすぎる、悪くいえば若いうちだけ、という感じです。だからこそ一定の時期が来て、シフトチェンジが必要な女優さんといえます。最近、頻繁にCMに登場するようになった無段階変速女優、長澤まさみとは対極です。多くの若い女優さんは、このシフトチェンジが上手くいかず消えていってしまいます。まぶしい印象が強い堀北真希、年を重ねどのようにシフトチェンジしていくか、注目です。

映画は、中盤に差しかかると売れない作家を中心に話が展開していきます。下心を持って元踊り子の友人の子供を預かったばっかりに。この「やめときゃいいのに」感は、映画で重要な要素の一つで、洋画にもみられる、登場人物が迷ったり判断を誤ったりしたばっかりに泥沼にはまるというパターンにも共通します。
この作家が邪魔者扱いしていた子供を次第に受け入れるようになる…心の変化の度合いだと、やはりこの人物が主人公になります。キャストの順番も先頭ですし。
この映画は、観客それぞれがお気に入りのエピソードを見つけたりという楽しみ方も出来ます。僕は、指輪の話が一番渋いと思うのですが、指輪と子供へのクリスマスプレゼントのどちらを選ぶか、この辺りはもっと悩むシーンがあってもいいのかもしれません。

ターン2までの評価「A」

ALWAYS…は、さまざまなところに伏線が張られ、観客が飽きるような難しい部分もなく、かつ興ざめしない程度に先が読める…難解な映画も多い中で、雰囲気だけでなく内容も観客に優しい映画でした。CG頼みの軽い内容のようですが、例えば、元踊り子の「きれい」とか、町医者の「もう酔いたくない」のセリフのように、ずっしりと重い部分も備わっています。
群像劇といえばそうですし、主役の心変わりが小さいといえば、厳密に言えば映画のセオリーから外れているかもしれませんが、見た後の印象も素晴らしい映画です。原作モノという「上げ底」を取っ払っても大いに評価出来ます。構成や映像のテクニックやシーンの繋ぎ合わせ方も絶妙。決して原作の魅力だけで相撲をとっているような映画とはひと味もふた味も違います。
感想が遅くなってしまいましたが、未見の方は今すぐにでも劇場に足を運ぶといいでしょう。

最終評価「A」

映画を観ると、多くの人が東京タワーに行きたくなるかもしれませんが、一度も行ったことがない人は、がっかりしないよう覚悟が必要です。時間に置いてけぼりをくらった鉄塔の上に辿り着くまで、竹の子剥ぎのように金をむしりとられますから。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年11月26日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:140/182席
感涙観客度数:測定不能(多数)

度数はCinemaX最高だと思いますが、少なすぎても測定不能、多すぎても結局は測定不能になってしまうので、表現方法を考えなければなりません。

ついでに紹介!

プロジェクトX、東京タワーの回。この番組でNHKエンタープライズ大もうけ。

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結果的に「何もしない勝ち」になってしまった故郷、豊後高田市の昭和のまち。おそるべし。

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Comments

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