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September 06, 2005

危うさを楽しむ危うさ

話題の震災時帰宅支援マップを買いました。
これ、売れに売れまくっているらしいです。何せオフィスや家庭に置きっぱなしでは全く意味がない性質のものなので、社員一人一人に配ったり、家族の分をまとめて購入したりする場合もあるようです。本来なら自治体が無料で配布する性質のもののような気がしますが。
最近は比較的規模が大きな地震が多く、まさに地震大国日本の本領発揮といったところですが、それをうけて帰宅困難者に対する支援やイベント(?)などの取り組みが増えてきています。支援の中心はコンビニやガソリンスタンドになっていますが、ハリケーン襲来後のアメリカの混乱ぶりをみると、果たして上手くいくかどうか。「いざという時に我れ先にという人がいかに多いかということを思いしらされた」とは、先日の地震で東京都内の鉄道網がパンクした真っ只中にいた知り合いの言葉です。
件のマップがバカ売れしたり、帰宅困難者のイベント(?)をハイキングのように楽しんでいる人を見ると、人間は自分の身が危険にさらされない程度の非日常を好む生き物なのだなとつくづく感じます。だからこそジェットコースターのような乗り物が人気があるのでしょう。台風が来たからといって屋根に上って修理をしようとして転落して死傷したり、川や海の様子を見に行って行方不明になるのも興味本位の部分が全くなかったとはいえないでしょう。
台風の話になりましたが、アメリカではハリケーンの襲来により大きな被害が出ています。被災地は政府の後手後手の支援で無法地帯と化していますし、メキシコ湾周辺の原油生産や石油精製は完全にストップし、世界のエネルギー需給に大きな影響が及ぼされようとしています。ただでさえ高い原油価格がさらに高騰する可能性があります。一方でアメリカはイラク戦争では勇み足に近い機敏な行動をした割に、国内問題になるとこのていたらく。海外に批判されても仕方がない状況といえます。

さて、IEAという機関が、加盟国に対し石油備蓄の放出を要請しました。IEA加盟国とは、先進国を中心とした石油消費国が中心で構成されており、産油国でもあるカナダなど一部地域を除いて石油備蓄を行っています。それを単にアメリカに向けて輸出するだけでなく、国内への輸入や国内需要を抑制したりして各国の割り当て分が世界の市場に出てくるように操作するものです。やがて行われることになる二酸化炭素排出量の取引にも似ています。アメリカは、少なくとも今の大統領の間は京都議定書は完全無視の状態ですが。
日本では、民間業者が行っている備蓄義務量を引き下げる手続きがとられることになりました。おそらく、何隻かのタンカーがガソリンを載せてアメリカに向かうという珍事がセレモニー的に行われた後は、輸入抑制や米国に近い地域とのバーターなどで有耶無耶になっていくことでしょう。船賃がクソ高い状況でアメリカに石油を輸出するなんか現実的ではありませんから。
地震は予期できないものですが、夏に必ず一つは発生して、襲来する可能性が高いハリケーンは、同じ天災でもある程度予測できるものです。アメリカの石油製品の供給不安は、外ばかりに目を向けて省みることがあまりなかった災害対策や、自国での石油製品の供給能力の低さ、ガソリン価格が安価であるなど石油に偏りすぎた国民生活が招いたものだともいえます。
アメリカの開き直りぶりは、自分の家から出た火事に消火器も置かず町内に燃え広がった状況に対し「火が悪い」と言っているよう。自身のていたらくを棚に上げているような国に、国内の石油製品の価格が高止まりしている状況で日本がわざわざ輸出をして助ける必要があるのかという気もします。高い高いとマスコミが紙面を埋めるWTI原油も日本にはほとんど輸入されていないわけですし。
ハリケーンの被災地には、有色人種の姿が多くみられます。車がなく逃げ遅れたという理由らしいですが、これが例えば白人など富裕層が居住する地域でも同じようなていたらくとなったのでしょうか。貧乏人などどうでもいいといわんばかりの行動は、今の日本をみているようです。政府は国内のガソリンが値上がりしようとも、つまり、一般庶民の生活が苦しくなろうとも、アメリカのご機嫌がうかがえれば満足なのでしょうから。

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