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July 04, 2005

宇宙戦争

CinemaX第43回目。今回はいつも以上にウラをろくにとっていないウロ憶えの記憶満載なので「変だな?」と思った方は突っ込んでもかまいませんし、鼻で笑って流していただいてもかまいません。

宇宙戦争

監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:H・G・ウェルズ
脚本:ジョシュ・フリードマン、デヴィッド・コープ
音楽:ジョン・ウシリアムス
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニングほか
上映時間117分
(公式サイトはこちら

「Xbox」

誰が付けたか夏のビッグ3(スターウォーズ・エピソードⅢ、バットマン・ビギンズ)の1つです。1年近く前から予告編が流されて「気が早えよ」と思っていましたが、いよいよ封切られました。やはり時間は流れているんですね。最初の頃の予告編は、何となく面白そうな雰囲気でしたが、最近はタコのおばけみたいなものがビローン、ボローンと動くのを見て、正直、前売券を買ったことを少なからず後悔したのも事実です。

封切りのタイミングも、同時期に封切られるスターウォーズが先行、先々行上映と劇場によっては土曜日を3週連続でジャックしてしまうという大胆な戦略を立ててくるなかで、宇宙戦争はその爆弾をかいくぐりながら6月29日(水)という中途半端ともとれる日程で封切られました。しかも、おばちゃん方が映画館に殺到し、ポップコーンはともかくせんべいを食う音でセリフが聞き取れなくなるレディースデーに合わせるかのように。翌日はファーストデーですから、安売り感が否めません。

「日本人はスピルバーグが好きだが、駄作も多い」とは、先日、戦国自衛隊1549を一緒に鑑賞したA氏の言葉。まさにその通りで、日米同時公開で「日本もメジャーになったか」と日本のスピルバーグファンがぬか喜びしたものの、結局は悪評が轟く前に観客を荒稼ぎしようとしたのではないかと疑いたくもなったA.Iをはじめ、キャッチ・ミー・イフ・ユーキャンやターミナルなど、評判ほど面白くないような感じがした映画も少なくはありません。なかにはプライベート・ライアンやシンドラーのリストなど、鬼気迫るものもありますが。ただ、どの映画も基礎そのものはしっかりしているので、途中で逃げ出したくなるような駄作はありませんが、勢いとかそういう面で考えると、ジュラシック・パークあたりが通過点のような気がするのは僕だけでしょうか。

前振りがやたら長くなりましたが、本編開始です。ちなみに、僕は原作を読んだことはありません。読んだことがある人とない人では、見解が大きく異なるような気がしますので。

数々の映画で主役を張ってきたトム・クルーズは、その癖みたいなものが映画の雰囲気をぶち壊しにしてしまうようなことも多々あるような気がしましたが、この作品の情けない父親ぶりはなかなかハマっているように感じました。加えて迫力のある映像も印象的ですが、こういう破天荒な設定に陥る前兆のようなものが出来れば欲しかったような気がします。観客は非日常的な戦争を観るつもりで来ているので、こういう部分は割愛してもかまわないと思いますが、監督自らが建てた金字塔、未知との遭遇では、かなり前に行方不明になった飛行機が砂漠のど真ん中で発見されたりというような設定で前兆を見事に表現していただけに、いきなりタコロボット(?)が登場するのは、少し裏切られた感じがしました。

ターン1までの評価「B」

タコのような宇宙人を一般的にウェルズの火星人などと呼ぶのですが、このウェルズは原作者のH・G・ウェルズに由来します。ちなみに1938年、米国でラジオによる火星人来襲を放送してパニックを起こしてしまったのは、オーソン・ウェルズ。この火星人はタコのようですが、5本足です。手は2本。バブル期に火曜と金曜に発刊していた「フロム・エー、フロム・エー・ツー・ゼット」のキャラクターの火星人も5本足です。
ついでに、ホルストの組曲「惑星」のなかの火星が5拍子なのは、5本足の火星人の行進を意味しているとか。同じ「惑星」の中の木星は某の歌姫ともてはやされた女性歌手が歌った「Jupiter」だったりします。この曲は、あちこちで流れて耳にタコが出来るぐらい聞かされましたが。ホルストの曲は遺言でホルスト自身以外のアレンジが許されていなかったのですが、どうやら著作権が切れてアレンジ出来るようになった(と見切り発車したような感じもします)ようです。アンサンブルなどで地球や当時は発見されず「惑星」に収録されていない冥王星を加えてアレンジする音楽家もいますが、下手にアレンジすると呪われてしまうような気がするのは僕だけでしょうか。この組曲だけは原曲のまま楽しんでもらいたいと強く願います。

ターン2までの評価「B」

そのタコロボットと地球人による宇宙戦争か!と期待するも、実はそんなことはなかったりします。これ以上のネタばれは避けますが、少なくともドンパチを楽しみたいのであれば、スターウォーズを観にいくといいでしょう。一言で言えば「ネガティブ版未知との遭遇」とか、「機械版ジュラシックパーク」といったところです。これで通じますか?
この映画は、あちこちで「逃げるだけ」とか「戦争になっていない」という批判もありますが、映像の迫力はありますし、何よりもパニックになる人々の集団心理を見事に現しています。ちなみに警備員の講習では、パニック時においては、自然発生的なリーダーに判断を任せてはいけないということを教えます。助けを求める人を振り払って自分だけ助かろうとする立場になるか、その他大勢でその人にすがりついてもがくかは、運以外の何ものでもなかったりします。映画の主人公は前者にならないと話が進まないのですが、この映画は一時的にもトム・クルーズが後者の立場にもなります。こういう細かい設定をみると、決して見掛け倒しということではなく、意外に奥の深い映画だということを感じます。

宇宙戦争は、終盤の設定に賛否両論が出ることでしょう。ネタばれを出来るだけ避けたいのですが「本当に解決すべきかどうか」つまり、明確な理由で宇宙人を駆逐してしまうべきかどうか。原作でも理由は説明されているようですが、僕は、あえてこの映画の場合は「NO」であることを肯定します。例えばヒチコックの「鳥」は、具体的な原因が分からないまま終わっています(はずです)し、日本人の叡智をかけて謎のバリアと戦った異色の日本映画「首都消失」もバリアの正体は謎のまま終わっています(はずです)。未知との遭遇も、スターシップトゥルーパーズも、話の筋からすれば未完結のまま終わっています(はずです)。映画は、内容により完結が必要な場合もありますが、未完結でも許されるものもあるような気がします。特にSFは、観客が考える余地というものがあると、いい余韻みたいなものが残るような気もします。まあ、宇宙人を徹底的に駆逐したければ、マーズ・アタック!のようにハワイアンを流してしまえばいいのですが。

最終評価「B」

宇宙戦争の最大の欠点は、終盤に観客に投げかけられた最大の謎を、唐突ともいえるナレーションであっけなく解決してしまったことだと思います。その説明自体は、オープニングにもつながるもので「ああ、なるほどな」とは思いましたが、謎なら謎のままで終わらせるか、映像でちゃんと見せるか、ナレーションでの説明はあまりにも陳腐です。しかも劇中にはナレーションがないので、極めて唐突で都合のいい飛び道具のような感じがしました。
ただ、映画の存在価値の一つである「観客に非日常的な擬似体験を提供する」という意味では、宇宙戦争は見応えのある映画だと思います。スピルバーグと同じく、勢いというものが感じられなくなったような気がするジョン・ウィリアムスの今回の曲は、現代音楽の入門編みたいな感じで、それはそれでいいとは思いましたが…。

宇宙戦争は、例えば迫力のある描画など高性能がウリでも、キャラクターのデザインがいまいち馴染めない「Xbox」のアクションゲームのような映画です。何度もいいますが、迫力はあります。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年7月3日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:126/154席
感涙観客数:不明
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定

後ろに座っていた若い女性が隣の彼氏に「キャシャーンが観終わった時よりヘコんだ」を連発していました。耳をそばだてると「ラスト・サムライはヘコまなかった」とも。キャシャーンをバカにするとは!
…今さら白々しいですかね。

ついでに紹介!

原作と劇場版(1953年)もあわせてどうぞ。

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