フライ,ダディ,フライ
CinemaX第46回目。
フライ,ダディ,フライ
監督;成島出
原作・脚本:金城一紀
音楽:安川午朗
出演: 岡田准一 、堤真一 、須藤元気 ほか
上映時間121分
(公式サイトはこちら)
金城一紀自ら原作・脚本を務めるとあって、観てみました。
本人とは面識はありませんが、シナリオ・センター時代に彼のお姉さんと一緒でした。この頃はサボりながら伝説の鳥の話を延々と読んでいたのですが、彼女は毎週のようにシナリオを書いてきては読んでいました。400字詰原稿用紙15枚をきっちりと読むので、一ヶ月でシナリオ一本を読み終わるというハイペースでした。おまけに書く題材に常に挑戦していて、まったく知らない分野の話でも調べ上げてツッコミどころのないように書き上げる様は見事でした。
「GO」が直木賞を受賞したのもこの頃で、彼女は生意気な弟だと笑っていました。その前から、当時のシナリオ・センターの先生は、お姉さんを通じて金城氏の小説を読み、勢いがあると評価していましたが。僕が最後に習っていた先生は、シナリオ・センターの中ではどちらかというと人気がありませんでしたが、清水有生や鈴木光司など多くのプロを輩出しています。シナリオ・センターには半年や一年待ちという人気講師もいますが、輩出するプロの人数と必ずしも比例しないのが不思議です。カルチャーセンターとして通うのなら、それはそれでいいのでしょうが。
その彼女は、僕より後に上がって来ましたが、気がつくとあっという間に追い越されて何時の間にかプロになっていました。ということで、公になっているかは分かりませんが、金城一紀氏のお姉さんはプロのシナリオライターとして活躍しています。フライ,ダディ,フライを観る動機は、この人の脚本が上手かっただけに、弟にもその遺伝子が受け継がれているか…ちょこっとだけ確認したかった訳です。今回は変り種のCinemaXです。
客層は、女性が中心です。暗がりからではなかなか分かりませんが、30~40代の女性と20代前半の女性に大別出来るようです。僕の後ろの席には女子高生が座っていました。それぞれ堤真一と岡田准一のファンだと推測されます。この女子高生、案の定べちゃくちゃ喋るのでうるさいなあと思っていると、分かりやすい反応をするので結構面白かったりしました。
例えば、岡田准一扮する朴が腕だけでするすると木に登ると「岡田くん凄いね」遠い画なので恐らく本人ではないでしょうが、この反応。朴は脇腹に幼い頃刺された傷があるんですが、それを見せると「岡田くん痛そう」とハラハラドキドキ…本当の傷じゃないっつーの。飼っている犬が出てくると「岡田くんの犬、可愛いね」とあまりに分かりやすい反応。まあ、面白いんですが。
一方、堤ファン側は冷静に映画を観ているようでした。そういう僕も経験が浅く、10年ぐらい前からの彼しか知らないんですが、最近は若々しさが消え、それでいて親爺の渋さはまだまだという中途半端な世代に突入しました。そろそろ役者としてシフトチェンジの時期が来ているのかもしれません。上手い事シフトチェンジ出来れば、津川雅彦や役所広司のように親爺の渋さがまばゆくなる役者になれるように思います。
きっと、後ろの女子高生には、堤真一はおっさんだと思っているんだろうなと考えると少し寂しくなりました。劇中で鍛えまくったためか顔が細くなり、真っ白い歯ばかりが目立つ柳沢慎吾のような感じになっていました。言うまでもなく演技はピカイチですが。
さて、映画の脚本はどうかというと、これがこじんまりとまとまっているようでした。話が進めば進むほど、朴がクサいセリフを言いまくるのが気になりますが、これも原作のテイストを殺さないためには必要なのでしょう。これも今が旬の岡田准一が喋るので許せる部分が多くなるわけで、いつものように窪塚洋介を起用していたならば、「ピースな愛のバイブス」になってしまいます。さっぱり分からんことに。
劇中に登場する高校生の仲間などもメチャクチャなんですが、映画そのものにある程度無理なものでも強引に認めさせるようなパワーがあるからか、興ざめするようなことはありませんでした。ただし、最後の決闘シーンは、演出か劇場の設備が悪いのか、カタカタと小刻みに画面が揺れるのが気になりました。それでも映画の要素として重要な「映画の中に自分がいた感」がするので、いい映画といえるでしょう。
それだけ感情移入出来るのは、堤真一扮する鈴木一の貫通行動がしっかりしているからでしょう。動機もはっきりしています。そこに在日の青年を出す意味がはっきりとは感じられませんでしたが、彼の一連の作品でも重要な要素となるので、ここは外せない部分なのでしょう。普通に観るのは面白いですが、映画として大ヒットするまでの派手さがない…単発のテレビドラマで扱ってもいいのかもしれません。
ということで最終評価「B」
~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年7月19日
劇場:丸の内TOEI(1)
観客数:30/510席
感涙観客度数:若干
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定
ついでに紹介!
某週刊誌のアンケートで「本当は頭が良い俳優」が翌年には一転「本当は頭が悪い俳優」と評価された窪塚洋介の怪演が話題となった作品…最初は新鮮味がありましたが、何せ持ち駒が一種類しか…。


Comments
感動です!
何が・・・かと言うと、堤真一氏が柳沢慎吾氏に似ている・・・と言う事。
ず~いぶん前から、周りの人に「似てない?」とフレまわっていたのですが、堤氏が当時、完璧に二の線だったためか、「まさかぁ」と一笑に付されて寂しかったモノです・・・。
ね! そっくりですよねえ・・・
あ~スッキリした!
ところで、演劇好きの割に映画館になかなか行けない私ですが、CinemaXを楽しみにしております。色々な仕事や行事、新しい勉強などが重なり、ますます映画館に行けそうにない夏になりましたが、ご紹介の「ヒトラー~最後の12日間」には無理をしても行こうと思いました。
つい最近「アドルフに告ぐ」を一気に読んだばかりなのです。子供の頃に母に連れられてみた「アンネの日記」も思い出します。
ところで、「星になった少年」はご覧になりませんか?今月末にタイ大使館のパーティに行く事になり、見ておかなくちゃね・・・と話しているので・・・最近キャンペーンで露出が多かった柳樂裕也クンの鳩ポッポ挨拶(首だけを前にピョコピョコさせる挨拶の仕方・・・お前は鳩か!)が、どうも気になっている我が家なのではありますが・・・。
Posted by: Bana-co | July 21, 2005 at 06:19 AM
似てますよねえ…ファンの人に怒られてしまいそうなのでどうしようかと思いましたが、カミングアウト…用法違いますかね。
ヒトラーは、相当に混雑するので平日の朝イチとかがいいと思います。土日は立見も出るとか。明日から新宿でも上映が始まるはずなので、少し緩和されるかもしれませんが。
星になった少年は…微妙ですねえ。面白いと分かっているんですが、棘のなさそうな映画は劇場に足を運ぶまでに相当な気合が必要ですから(笑)
Posted by: yuworldmaster | July 22, 2005 at 09:19 AM
失礼します。
ちょっとだけフォローを入れさせて頂くと、あの木登りシーンも他のシーンも、スタント無しで岡田くん本人が実際に演じているんですよ。
その女子高生達がそれを知っていたかどうかは分かりませんがw
それでは、通りすがりで失礼しました。
Posted by: りん | July 23, 2005 at 06:00 AM
情報ありがとうございました。浅はかでした。
撮影する側も本人が登っていると分かるようにすればいいのにと思いますよね。あまりにも見事に登ってしまうだけに、もったいないシーンです。
きっと、その女子高生も知っていたんでしょう。これも一種のジェネレーションギャップですね(笑)
Posted by: yuworldmaster | July 23, 2005 at 02:09 PM
象になった少年・・・じゃなくて・・・
見て参りました。
今から上映!と言う時に、かなり大きく揺れ、館内、ざわつきましたが、何とか最後まで見ることが出来ました。
スケール感がなく、ストーリーも「次はこうなるのね」「ピンポ~ン!」と言う感じでした・・・が、ピュア感が良くて、さすがに最後は泣いてしまいました。
本当は、恥ずかしいので泣かないように我慢したのですが、エンドロールの事、ふと横を見ると家人の頬に光るものが・・・
我慢して損した!
Posted by: BANA-CO | July 23, 2005 at 09:58 PM
ご家人(ごけにんではない)の涙を誘うとは…なかなかの作品という証拠ですな。
Posted by: yuworldmaster | July 24, 2005 at 06:00 PM