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June 22, 2005

戦国自衛隊1549

戦国自衛隊1549

監督:手塚昌明
原案:半村良
原作:福井晴敏
脚本:竹内清人、松浦靖
出演:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史ほか
上映時間119分
(公式サイトはこちら

「変なガメラ」

邦画が元気です。1、2週間後にはスターウォーズなどの洋画に飲み込まれる運命ながら、観客動員数上位3位が邦画という状態が続いています。そのなかでトップを走る、戦国自衛隊1549を観ました。
今回は鑑賞中のメモなし。忘れないうちに感想を書きとめるため、更新予定だった「イン・ザ・プール」をすっとばしてのアップです。「潜水艦映画に外れ(ほとんど)なし、タイプスリップ映画に当たり(ほとんど)なし」という強い確信を持っている僕ですが、果たして今回やいかに。ちなみに「変なガメラ」とは、一緒に鑑賞したA氏が述べた感想です。分かるような、分からないような…。

冒頭から、タイムスリップのシーンです。ここから、タイトルまでのテンポが実にいい。戦国…のロゴが登場する時は、是非、ゆーわーるどの看板「音符くんと音符ちゃん」を思い出してみてください。黄色い「ゆーわーるど」の文字が回転しながら登場するアレです。
タイトルまでは、実に小気味良く展開する割に、本編に入ると何故か映画全体がダメダメの沼に沈没していきます。それでいてその沼は、本当にダメな底なし沼でもない。どうして「元」自衛官でなければいけないのかとか、どっちの的場だよとか、細かいツッコミどころはありますが、何よりも用語がチンプンカンプン。Fユニット、MHD電池、D-3など。ロクな説明もないのにこういう用語が飛び交うと、観客は混乱します。観客だけではありません。俳優陣もセリフをいいながら頭にいくつも「?」「?」「?」が浮かんでいるのが分かります。キャシャーンほどではありませんが。

やがて、主役級の人物が、追っかけタイムスリップをしていきますが、現在に穴が開くとか、何時間後に戻ってこれるとか、こじつけともとれる設定はむしろ必要がないのかもしれません。要は、何をしにタイムスリップをするのか。この理由さえあれば、映画は成立するわけです。タイムスリップ映画の金字塔、バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズは、この理由が極めて明快だったわけで、この骨さえしっかりしていれば、あとは何とかなるような気がします。

ターン1までの評価「B」

追っかけタイムスリップ後、武将やお城やなんやらかんやらが登場しますが、この設定もかなりこじつけています。歴史が修復されるという、劇中を通じて言いたいことは分かりますが、それはあまりにもこじつけすぎではないかと。自衛隊員の中に三國陸曹長という人物が出てくるのですが、このエピソードもかなり強引。演じているのは嶋大輔ですが、ヘルメットを乗せた風船のような顔は、途中まで本人だとは気がつきませんでした。彼のイメージは、リーゼントとセットだということが良く分かりました。

展開は、クライマックス向かっていきますが、寂しいのは合戦のシーンが少ないこと。画面を観ているとCGにかなりのお金をかけているのではないかと予想できますが、そういう飛び道具に頼れば頼るほど、作品が陳腐になっていくような感じがします。オールスターキャストで登場人物が暴れまくった戦国自衛隊(1979年)に比べると、静かで勢いがありません。

ターン2までの評価「C」

この映画のヒーローとヒロインを考えます。ヒーローは誰かと聞かれると、江口洋介です。彼は、演技がワンパターンだと言われ、最近では何を演じても「里見先生」になってしまいますが、フライング洋介と違って、それぞれの役で意外に味が出てきます。年季が違うんですかね。一方、ヒロインはと聞かれると、鈴木京香のはずですが、これが危うい感じがします。女優としてはベテランの域に達した鈴木京香は、若い頃から主役を張れる数少ない女優の一人でしたが、やはり年齢が隠せない年頃になってきました。特に最終シーンの仏頂面はかなりギリの状態に思えました。
一方、濃姫を演じた綾瀬はるかは、演技力はともかく、若さという恐ろしい武器を持っています。そして、その風貌は若い頃の鈴木京香をイメージさせます。まるで狙ってキャスティングしたのではないかと思えるぐらい。鈴木京香は、息の長い女優になることは間違いありませんが、主役を張る若い(方の)女優としてのスタンスではなく、中年女性も兼務出来るような、本格的なギアチェンジがそろそろ必要なのかもしれません。そう強く感じました。

ストーリーは、最後までこじつけで展開します。敵方に回った自衛隊員が、いざ死にかけると、これまでとは全く正反対のことを言い始めたり、いきなりええかっこしいになったり、うかうかするとすぐに大団円の展開に走ってしまいます。これは、劇中を通して一貫していて、実は本当の対立がどこにもなかったりします。それをあえて狙ったのなら仕方ありませんが、どこかパンチのない、ダシのない味噌汁みたいな映画になってしまいました。ツッコミどころがあるようで、実は丸く凝り固まってどこからもツッコミようのない映画、そんな感じです。前作が現在の判断基準では、地上波で放映できないぐらい過激な表現が多いことを考えても、…1949は、良くも悪くもこじんまりとまとまってしまった映画のように思えてきます。

最終評価「B」

見応えはありますが、当たり障りのない、毒にも薬にもならない感じのする映画でした。無難な作品なので、ヒットするのも充分頷けますが、前作の戦国自衛隊とは別物と考えたほうがいいでしょう。「だったら続編みたいなタイトルにしなければいいじゃないか」と言う人もいるでしょうが、自衛隊が演習中にタイムスリップしてしまえば、それだけで戦国自衛隊の設定になってしまう訳ですから、このタイトルが最も無難なのかもしれません。

この映画のテーマは、福井晴敏氏の原作にありがちな「強い日本を目指せ」みたいなものだと考えられます。これはローレライにも通じますし、既に劇場で嫌というほど流れている亡国のイージスの予告編で中井貴一がブツブツと言っているセリフも同じことを意味しています。この強いメッセージ性で映画そのものの見応えが出てくるのは確かですが、食傷気味であることも確かです。おいしい料理も毎日食べれば普通の料理、難しいところです。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年6月21日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:17/296席
感涙観客数:僅少
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定

ついでに紹介!

見比べるもよし。

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Comments

どこかパンチのない、ダシのない味噌汁

この表現、なんだかピッタリだと思いました。で、不味いって言われたので後半は味の素を大量に投入。ベタベタな味に変化した…そんな風に感じてしまいました…(汗)

Posted by: chishi | July 25, 2005 at 11:35 PM

コメントありがとうございます。

)この表現、なんだかピッタリだと思いました。これは、一番の褒め言葉です。ありがとうございます。やはり、あちこち取り繕われてこじんまりとまとめられた印象が残りますよね。

Posted by: yuworldmaster | July 27, 2005 at 07:21 AM

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