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May 05, 2005

弛緩

先日、NHKで放送された中日-ヤクルト戦で声の渋い俳優でもあり声優でもある森山周一郎氏の発言で抗議が殺到したようです。確かに、堀尾アナウンサーや解説の小早川毅彦の面白い視点での分析までもさらってしまい、そのまま自分の話で完結してしまう展開は、極めてテンポが悪く感じました。世の中、キャッチボールが出来ない人は沢山いますが、今回はこの典型である人を呼んだことになります。NHKはこういうご時世なのか、不思議と神妙な姿勢を示していますが、通常の野球中継とは違う試みという方向性は決して間違ってはいないと思います。ただ、呼んだ人がまずかっただけ。「中日が優勝すると不吉なことが起こる」などは、思い浮かんでも口に出すべきことでもありません。ましてやテレビなんぞで。この日は、ヤクルトは大敗するしロクなことがありませんでした。
視聴者は、森山氏の自慢話や素人目で決め付けた解説などにも頭に来たようです。たしかに「だから何なの?」という発言が多いように思いました。こういうタイプの人も結構いますね。テレビで国会議員が討論したりなんかするのをみていると、センセイ方にも多いタイプだといえます。この放送は先程も触れた通り、アナウンサーと解説がやり取りする通常の野球中継とは異なる試みとして何度か行われている手法のようですが、どうせなら副音声にするとか、BSで放送すればよかったのかもしれません。CSには元プロ野球選手とは思えないほど根拠のない決め付けで解説するデーブ大久保という強烈な解説がいたり、一部には最強の解説者と噂されるヨネスケなど地上波とは異なる味のある野球中継も行われています。

さて、JR西日本の事故後の対応について、さらに問題が広がっています。事故現場から「逃走」した社員、事故直後のボウリング大会など出るわ出るわ…NHK問題しかり、マスコミを敵に回すとどんな小さな不祥事も洗いざらい大きく取り上げられてしまいます。ということは、敵に回さなければ封印されているともいえます。事あるごとに問題発言として突かれた森前首相に対して、小泉首相は、同じようなレベルの問題発言をしても特に大きく取り上げられなかったりします。他にも世論を味方に付けているような人や団体の行動は、よほどひどいものでない限り黙殺されることが多いような気がします。
それにしても、事故現場からの逃走はあまりにもひどい。フジテレビのニュースJAPANの松本方哉キャスターは「事故現場から離れた運転士は気が動転していたとはいえ、救助ということを『そよ』ほども思わなかったのか」と吐き捨てました。全く同感です。火事などの災害においても、まず客を最優先して従業員が最後に逃げるのは当然のことです。デパートなどの建物での火災による避難や航空機での緊急避難もそう。警備員の新任・現任教育の内容でも緊急避難の項目でこのことは徹底されています(確か)。それが事故を起こした鉄道会社の社員が、偶然居合わせておきながらその場を離れるとは何事か。思い出すのは、逆噴射で起こった羽田空港沖の航空機墜落事故で真っ先にゴムボートで脱出していた機長の姿。彼は心を病んでいましたが、許されない行動でもあります。
以前の日記にも述べましたが、こういう事故が起こったり、逃走したりするのは、企業の方向性が明確でないからといえます。安全と効率化の追求とは相反するもの。日本社会にありがちな本音と建前の両方を得ようとすれば、何かしらの歪みは生じるものです。何よりも落胆したのは、逃走の件を自ら公表するでもなく、マスコミにつつかれてやっと認めたことです。いびつな分割民営化で東北・東海道新幹線のようなドル箱路線をもらえなかった一方で私鉄との過酷な競争にさらされているJR西日本に少しは同情したい気もありましたが、そういうものも失せてしまいました。
鉄道会社の不祥事で悔しいのは、商品のように不買運動が出来ないことにあります。沿線の住民の多くはよほど不便な思いをして他の交通手段を利用しない限り、その鉄道会社を利用せざるを得ないということです。西武鉄道、東武鉄道などで起こった事件や事故でも同じ。利用者は頭に来ても利用せざるを得ない人々が大半です。電力会社やテレビ局も同様に公共性が高ければ高いほど、社内の不正に目を光らせなければなりません。公共性が高いということは、黙っていても金が入るということ。それだけの特権を得ているわけですから、やって当然の取り組みといえます。

最近、鉄道だけにとどまらず事故が相次いでいます。マスコミが目を光らせているオーバーランを覗いても、普段でもニュースで大きく扱われそうな事故が多発しています。JR福知山線の事故以前にも航空関連などで余震みたいなトラブルは数多くありました。「事故の連鎖だ」「日本の安全神話の崩壊だ」などと偉い評論家のように十把一絡げにしたくはないのですが、特に安全を徹底すべき企業や人の気の緩みは感じます。「何をやっても無駄」と日本全体の雰囲気の弛緩みたいなものを象徴しているようにも感じられます。
某経済紙と大企業ばかりが「景気は上向き」と強調する、一般庶民には全く実感のない景気回復(?)の時代のなかで、うかうかしていると国会議員のセンセイたちは自分たちのことは棚に上げて、官僚の導くままに愚かな国民たちに莫大な国の借金を負担させようとする目くらましの法案を審議する先の見えない不思議な世の中になっています。これでは国民は将来に希望が持てません。
今一度、日本全体の士気を向上させたいなら、企業と同じように国として将来の展望を明確にする必要があるでしょう。そのために国民それぞれが何をすればいいのか(税の負担増といわれると困りますが)を示せば、国全体の士気のようなものが出てくるような気がします。日本は今、ジャイアンツみたいなものです。それぞれに力はあるのに、明確な方向性がなくさ迷っている感じです。首相と同様に堀内監督に求心力があればまだ救いようがあろうものですが。

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Tracked on May 05, 2005 at 11:20 AM

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