« 変化 | Main | 偏向 »

May 23, 2005

交渉人 真下正義

CinemaX第39回。

交渉人 真下正義
監督:本広克行
原案:君塚良一
脚本:十川誠志
音楽:松本晃彦
出演:ユースケ・サンタマリア 、寺島進ほか
上映時間127分
(公式サイトはこちら

「喰わせ逃げ?」

踊る大捜査線の本流から派生した映画です。これまでも婦人警官の日常を取り扱ったりと織田裕二の出ない亜種のテレビドラマがあったりしましたが、今回の作品をはじめ夏にはもう一つの亜種「容疑者室井慎次」が控えています。連ドラでは序盤から中盤まで低視聴率に喘いでいたものの、口コミでジリジリと成長していった踊る大捜査線はここまで成長しました。低視聴率で打ち切られたものの、度重なる再放送でブレイクして次々と亜種を生んでいった機動戦士ガンダムを彷彿とさせます。週末からは、主人公が最終回にパッ○ラ○ーになってしまうというやりすぎの設定が物議を醸したZガンダムの劇場版が公開されます。

さて「交渉人真下正義」は、踊る…劇場版第2弾で米国での修行後に交渉人として帰国してきた真下正義のエピソードを独立させたストーリーです。「こうしょうにん」を変換すると「公証人」としか出ないように、ハリウッド映画などで扱われた場合を除き日本ではまだまだ浸透していない単語です。踊る…に対してあらかじめ予備知識があれば(観客の殆どはあるはずですが)楽しめますし、そうでなくとも楽しめる映画です。ただ、踊る…シリーズにしたほうが集客が断然に違うはずですが。

さて、冒頭から疑問が噴出します。何故、クリスマスの映画をGW後にぶつけてきたのか。おそらく、テレビ放映を年末にぶつけるつもりなのでしょう。そう考えると、千数百円を出してわざわざ劇場を訪れる観客よりも、視聴率を稼げるその他大勢のテレビ視聴者を優先するのか、と少し不満に感じます。奇しくもJR西日本の事故後に鉄道の暴走を扱う映画の放映と重なりましたが、特に変更なく封切られました。これは、マスコミの牙城の一つであるテレビ局(つまりフジテレビ)などが絡んでいるからなのでしょうか。過度な規制ばかりが良いとは限りませんが、今回に限って何も異論が出ないのはかえって不思議に感じます。

映画の舞台は、東京の地下鉄です。撮影は東京以外の市営地下鉄も使って上手いこと撮影されています。地下鉄がひたすら暴走するだけなら「距離が短いぞ」と思ったんですが、そういう設定ではありませんでした。緊迫感は「新幹線大爆破」を彷彿とさせます。宇津井健、高倉健のダブル健が出演し、ハリウッド映画「スピード」の源流とも言われる新幹線…は、暴走する新幹線と司令室のやりとりが見所の映画です。後半の人情ドラマで激しくトーンダウンしてしまいますが、新幹線…は一見の価値があります。

踊る…シリーズにも使われていますが、ドビュッシーの「海」の明らかにパクリのようなBGMが気になります。加えて交渉人…はクラシック音楽を多用してサントラの制作費を削っているようですので、劇中で使われている殆どの曲は使いまわしということになります。その中で「海」もどきの曲は許せません、本当に。パチスロにも吹奏楽コンクールの課題曲(真島俊夫「コーラル・ブルー)の明らかにパクリのような曲が使われているようです。もちろん偶然の一致ということも考えられますが、「知らないからいいだろう」で作ったのなら問題です。

脇線や一部は有楽町線新線として開通している地下鉄14号線を題材に使用したり、踊る…の2作目の映画の地下トンネルにも似たマニアックな設定を持ってきたりしています。暴走する電車のデザインは浮世離れしていますが、ああ、アリかなと僅かでも思わせる非日常的な設定を楽しませてくれる意味では、面白い映画だと思いますし、存在意義もあると思います。脇線の一つで有名なのは、桜田門駅周辺の千代田線と有楽町線の脇線ですね。ごく稀に千代田線の霞ヶ関駅ホームに有楽町線の回送電車が滑り込むなんて状況を目撃することが出来ます。地下鉄の多くが戦前からの地下道を流用していると言う疑惑もありますが、詳しくはその筋の本を読んでみるといいでしょう。こういう本を読んでもああ、アリかなと僅かでも思わせる非日常的な想像が膨らみます。楽しい。

さて、派手なシチュエーションやこれまでのシリーズを経て出来上がったキャラの設定で展開はどんどん誤魔化されていきます。ここまで話を面白くしたのだから、犯人はどんなやつか、どんなどんでん返しが待っているのか。期待は膨らみます。シンバルの音に反応する爆弾という設定といえば、記憶が確かならサントリーミステリー大賞か何かの受賞作で和音に反応するトリックがありました。シンバルの設定をパクりとするのはこじつけになるので避けますが、何か陳腐な感じがします。ただ、そんな疑問も吹っ飛ばすほど映画の展開が派手なのでさほど気にならなかったりします。

この映画の最悪な点は…ネタばれになるので避けますが、最後まで観てお考えください。明らかに何かが足りません。これまで膨らんできた期待に対する何かが。「それでいいのか?」と叫びたくなるような。例えば、激安、2000円のフルコースを頼みと、超豪華な前菜、スープが出てきて「これはメインディッシュは凄いことになるな」と期待させておいて、待てど暮らせど料理は出て来ず、いつの間にか店内はおろか厨房も空っぽという状況です。最初の展開が面白いだけにやっつけのような終わり方は解せません。カラスで何もかも説明出来ていると思うな!

最終評価「C」

楽しい雰囲気の映画ですし、ヒットするでしょう(現にしています)が、ジブリ作品のように、踊る…シリーズ全て良しという風潮で漏れなく名作のラインナップに含まれるのは何となく癪な感じがします。シリーズのヒットで家がいくつも建つぐらい稼いだ君塚良一氏は、今回は原案での参加。浴びるほど映画を観ている人なので、どのあたりでアイデアを出しまくったのかは何となく想像が付きますが、彼の名前を使い、踊る…の看板を掲げた割にはパッとしなかったような気がします。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年5月21日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:約300/549席
感涙観客数:若干
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定

踊る…シリーズは常に対立の構図で成り立っています。連ドラの青島VS室井。2人の関係が良化して以降は2人に対立するキャラクターが登場して話を盛り上げています。今回は、真下VS片岡(國村隼)の構図ですが、千疋屋…もとい線引き屋を演じる金田龍之介の演技を見ていると、これがこの映画のいかりや長介なんだろうなあと思いしみじみしました。僕が感動したのはここ。本筋とは全く関係ありませんが。

ついでに紹介!

ダブル健の「新幹線大爆破」です。予告通り爆発する蒸気機関車(本物)を見ると、交渉人…中の公園の爆破予告がいかにちっぽけなものかが分かります。ミニチュアの新幹線が爆発する「パーン!」のシーンは目をつぶってもらうとして、交渉人…がいかにお金をかけずに荒稼ぎしているかが分かります。膨大なエキストラはほぼボランティアですし。これも踊る…の知名度と人気の賜物ですね。


「写真と地図で読む!帝都東京・地下の謎」同じ著者による同様の内容の本は他にも多数ありますが、写真と地図を多用したこの本は解りやすくおすすめ!


踊る…側の曲名は分かりませんが、ドビュッシー「海」より風と海の対話の最終部分をお聞き下さい。踊る…劇場版第2弾で多用され、交渉人…でも使用されたBGMにそっくりの部分があります。前半、クモがホームに入ってくるあたりで流れていたBGMです。「ぱぱーぱ、ぱぱーぱ」という感じの曲(上手く伝わりませんが)そっくりというより…まんまなんですけど(苦)

|

« 変化 | Main | 偏向 »

Comments

Hi! Very Good Site! Keep Doing That! Please also visit my site:

Posted by: Phillip | June 17, 2007 at 06:54 PM

踊る大捜査線の「危機一髪」という曲がドビュッシーの「海」の一番最後のフレーズからのパクリですね。ストリングスのオスティナートとその上で鳴るトランペットがそっくり。

Posted by: watamako | December 04, 2010 at 08:07 PM

お返事が遅くなりました。全くもって同感です。それだけ「海」がドラマチックな曲であることを表しているともいえますね。

Posted by: yu-world | December 17, 2010 at 10:48 AM

Hurrah! After all I got a webpage from where I be capable of in fact get valuable facts regarding my study and knowledge.

Posted by: Curtis | April 27, 2014 at 02:01 AM

Hi! Do you use Twitter? I'd like to follow you if that would be okay. I'm absolutely enjoying your blog and look forward to new posts.

Posted by: วอร์ซี | September 07, 2014 at 01:04 PM

Hi there! This is my first visit to your blog! We are a group of volunteers and starting a new project in a community in the same niche. Your blog provided us useful information to work on. You have done a marvellous job!

Posted by: best dating sites | January 13, 2015 at 12:57 AM

Hi there! This article could not be written any better! Reading through this article reminds me of my previous roommate! He constantly kept talking about this. I most certainly will send this information to him. Pretty sure he will have a good read. I appreciate you for sharing!

Posted by: best dating sites | January 17, 2015 at 09:15 AM

This is my first time visit at here and i am in fact happy to read everthing at one place.

Posted by: match.com | February 08, 2015 at 12:57 PM

I really like your blog.. very nice colors & theme. Did you design this website yourself or did you hire someone to do it for you? Plz reply as I'm looking to construct my own blog and would like to know where u got this from. thanks

Posted by: minecraft free download full version | February 14, 2015 at 08:24 AM

Yes! Finally someone writes about jaynie mae baker.

Posted by: Jaynie Mae Baker WWE Diva | June 12, 2015 at 11:04 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49725/4223298

Listed below are links to weblogs that reference 交渉人 真下正義:

« 変化 | Main | 偏向 »