« レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 | Main | 変化 »

May 16, 2005

消化能力

先日、何度目かの誕生日を迎えました。この歳まで来ると、一年に一度の日なのにうかうかすると気が付いたら夜なんちゅうことも多くなりました。

さて、イラクでの日本人人質事件と護送車(?)の中で額に中指を当てて考えにふける演出で登場した「ご主人様」「王子」の事件が起きてからというもの、めっきりオーバーランが取り上げられなくなりました。決して減ったわけではないでしょう。マスコミが飽きたからです。JR西日本の記者会見の席上、罵声を浴びせてネット上でも傲慢な態度に批判が集中した記者が在籍する読売新聞がお詫びを掲載しました。遅すぎ。使命感?自分が強気に質問する姿に酔っているだけなのでは?なんて勘ぐりたくもなります。

それにしてもイラク絡みの人質の家族は、神妙にしなければならないという風潮がいつの間にかしみついていますね。活動家に踊らされて周辺に噛み付きまくった人質3人組の家族に対する批判が発端となっているようですが、今回も傭兵として渡った兄の行動に自業自得感が漂っているにせよ、主張したいことを口ごもらざるをえない弟さんの歯がゆさが表情から伝わってきます。本来は真っ先に警備会社が交渉すべきことですが、日本政府が中途半端にでしゃばったくせに、相変わらず町村外相はニタニタとアルカイックスマイルを漂わせて人質解放を訴えるだけ。マスコミは政府と同様に消極的な姿勢に終始して香田さんを見殺しにした過去があるだけに、今度こそ世界を動かすような大論調を張ってもらいたいものです。

さて、「王子」の奇行がクローズアップされています。少年時代は学校にベンツで送り迎え、犯罪の示談金に1200万円をポンと支払うバカ親に育てられたバカ息子が起こした、一般市民がムカムカと嫉妬しそうなネタ満載の事件は、しばらくはテレビや新聞、週刊誌などで取り上げられ続けるでしょう。今日、テレビでインタビューに答えた警察出身の祖父と言うのもとんだバカ爺で、孫が否定するから「犯人ではない」という論調は百歩譲ったとしても、最近の女性は肌を露出するから悪いというのは、人間の理性のかけらもない発言であり、この祖父にして、あの父親にして、こいつありという感じです。
事件の本筋でない部分をあれこれ詮索するのはあまり意味はないと思うのですが、例えば王子が学生時代、交際を何度も求めて断っていた女性を母親の運転する車(ベンツ?)で待ち伏せして会食し、中座して2人きりにするという恐ろしい作戦を演出しています。首を絞められながら辛くも逃げ出したこの女性に、外で見張りをしていた母親は「悪気はなかった」と息子に代わって詫びています。あほか。そのほか、後に独り暮らしを始めた息子の部屋にコンドームを仕掛けたり、子供の種付けまで演出しようとする…すごい母親です。
その母親の死が彼を大きく変えたといいますが、仮に生きていてもある程度のブレーキがかかっただけで、こいつの本質が変わるとは考えづらい。仮に犯罪にはならなかったにせよ、周囲の人間に迷惑をかけ続けるという構図は変わらなかったでしょう。
この事件を通じて今後、アダルトゲームけしからんという論調が強まってくるでしょうが、こういうゲームをして、自分なりに消化できないことが問題であり、ゲームそのものを規制するというのは論外なような気がします。プロレスは暴力を助長するから禁止しろという論調と同じ。これは、プロレスを単なるケンカとしか消化できない人間の見方であり、そういう能力があれば普通にエンタテインメントとして楽しめるものです。
日記で何度も言っていることですが、アニメやマンガは、日本が世界に誇ることが出来る数少ない産業です。そのなかでエロは影に隠れてしまいますが、多くの人間の欲求を満たし、いろいろな人の生活を支えていることを忘れてはなりません。それを成績優秀とチヤホヤされ、善悪も教えられず好き放題生きてきたたった一人の人間の強行によって「オタクはみんなこういうことをやりかねない」というふうに報道され、一般人がそうとらえられてしまうのは、オタクの方々にとってはとばっちりだといえるでしょう。
最近「成績優秀」ということに疑問を感じます。今や教育とは、みかん箱をひっくり返して裸電球の下で辞書を食べながら勉強をするという本人の努力によるものではなく、いかに金をかけて手厚い教育を受けさせるかという傾向が強まっているといえます。金をかければある程度の学力はつきますし、テレビゲームなどで立体感覚が優れた子供が増えたことにより、「IQ」というものの重要性が薄れてきているとも聞きます。学力があっても生活能力がないガキはゴマンといます。普通はこういう人たちも社会に出て揉まれて、成長していくものなんですが、社会に出てもなお、親が庇護すればこういうチャンスもみすみす逃してしまうことになります。
僕の周辺やそのへんの有名人にも大学や専門学校をいくつも卒業したという人も多いですが、大学に行きながらアルバイトをして同時に専門学校に通うというダブルスクールはまれで、たいがいは親のスネをかじって大学を転々とするケースがほとんど。専門学校や大学一つ卒業させるのも普通の親にとっては死活問題なのにうらやましい限りです。おまけに当事者は「将来、何をするか」という人生の選択をいつまでも先送り出来るわけで、これもうらやましい限り。リアルなネバーランドのよう。

この事件、王子の甘いマスクと言葉にホイホイとくっついていって、言われるがままに結婚したり、ハーレムを作ると命ぜられると女友達を連れてくる被害者の女性の行動についても理解出来ない部分が多いですが、王子の奇行を含め、何故こういう事件に至ったのか、保護観察制度の盲点など好奇心だけにとらわれることのない、核心を突いた報道を望みたいものです。

|

« レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 | Main | 変化 »

Comments

Hello my loved one! I wish to say that this post is awesome, great written and come with approximately all important infos. I'd like to look more posts like this .

Posted by: Wilburn | May 19, 2014 at 10:02 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49725/4142163

Listed below are links to weblogs that reference 消化能力:

» ココフラッシュにマスコミ批評カテゴリーがついに登場。 [雑談日記 (徒然なるままに、、。)]
 みなさんご協力ありがとうございました。10サイトを突破しついに「マスコミ批評」 [Read More]

Tracked on May 16, 2005 at 06:39 PM

« レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 | Main | 変化 »