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April 27, 2005

キャビン・フィーバー

CinemaX第37回。

キャビン・フィーバー
監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス/ランディ・バールスタイン
出演:ライダー・ストロング、セリナ・ヴィンセントほか
上映時間93分
(公式サイトはこちら

久々の銀座シネパトスです。道路の下に劇場が埋まっている銀座シネパトスです。泥のような臭さが漂い、地下鉄が通ると足元からゴトゴト振動が伝わってくる銀座シネパトスです。この振動がタイミング良く重低音の音声と重なったり、怖いシーンに重なると作品の雰囲気が増大します。大概は邪魔なタイミングが多いですが。

本編はたった93分ですが、オープニングが意味もなく長いです。画像の荒さはブレア・ウィッチ・プロジェクトよりマシですが、風邪を引いた時に観る夢のような霞がかかった黄色の強い映像は、慣れるのに時間がかかる方もいるかもしれません。ストーリーは、最後の夏休みを山小屋で過ごそうと大学生の男3人、女2人が向かうというもの。そこではある病気が蔓延し…詳しくは公式サイトに書かれていると思いますが、実はそれほどメリハリのある話ではありません。

登場人物は皆、知らない俳優ですが、マーシー役のセリナ・ヴィンセントという女優は、若き日のキャメロン・ディアスの雰囲気を思い起こさせます。おまけに本編ではキャメロン・ディアスが演じることがなかった素っ裸でのSEXシーンをバンバン(といっても2回ですが)繰り広げます。もう一人の女優も魅力があります。この映画は男優も含め無名ながらキャストにある程度魅力があることが救いなのかもしれません。多くの映画は話が面白くなくても、キャストに魅力があれば救われます。ということは、まず、キャストありきの民放テレビドラマの考えは間違っていないのでしょうか…いかん!いかん!いかん!いかん!

脚本を作る際には、ベターよりもベストの選択でシーンを重ねていきます…つまり、一つのシーンの次に飛ぶときに、いくつかの選択肢があるなかで最も良いと思われるシーンを選んで進むと言うものです。良い映画というのは、この選択が上手くいっていることが多い。こんなことが出来れば、誰でもプロになれそうですが、こんな難しいことはない。いいSF映画やホラー映画も構造は同じです。登場人物は最悪の選択をしながら、構造上はベストのシーンとして選択されていきます。例えば、登場人物が余計なことをして、さらに事態を悪化させて話を広げていくのもベストな選択といえます。「あー、やっちゃったよ」感は観客をそれだけ話の中に引き摺り込んでいるともいえます。キャビン・フィーバーは、途中まではこの選択で進んでいることが分かります。

前半まの評価「A」

キャビン・フィーバーは、主役級の5人のバランスが絶妙だったりします。人数もそれぞれの関係も絶妙。その5人が、続けざまにおそってくる出来事に対してそれぞれの反応をします。シナリオ学校でよくいわれるリトマス紙です。ただ、残念なのは後半になると行き当たりばったりの展開になること。登場人物がぶつかるイベントというものは、ぶつかるという必然性がなければなりません。例えば、ホームドラマの主人公が道を歩いていて隕石に当たるのもイベントですが、話の筋からすると唐突で、これではストーリーが壊れてしまいます。実話なら許されますが、脚本では視聴者を置き去りにすることに。ただ、現実にはこういう話も起こりうるので「事実は小説より奇なり」となるわけです。

キャビン・フィーバーで残念な点はまだあります。登場人物同士のぶつかり合いが少ないことです。宣伝では「生き残りたければ誰も信じるな!」と謳われていますが、そういう感情を持っているのは2人だけ。みんなが「生き残りたければ誰も信じるな!」という感情をむき出しにしてぶつかり合えば、もっと見ごたえのある映画になっていたのかもしれません。ただ、こういう設定になれば後半のセリナ・ヴィンセントのSEXシーンはなくなってしまいますので、殿方の楽しみはなくなってしまうかと。後半の行き当たりばったり感を含め、強引にこのSEXシーンにもって行こうとしているんではないかと思うほど、無理矢理な設定になっています。

最終評価「B」

やはり、後半の行き当たりばったりな展開が残念でした。6:4の割合で4が行き当たりばったり。この比率を少なくすることが一流ホラー映画への道なのかもしれません。ただ、今はメジャーでも行き当たり」ばったりのホラー映画が多く、おまけに怖さの対象が霊だったりこの世に実在しないようなもの(説明がつかないもの)も多いですが、キャビン・フィーバーはその点ではアナログながら理由もあるていど筋が通っていますので好感が持てます。映画の最後での電車のブレーキのようなフッとした力の抜けたオチも面白い。ファンタジー小説家に脱皮したくてもがいている鈴木光司の背中に針を突っ込んで、エキスをちゅうちゅう吸い尽くそうとしている中田某監督の映画とは違うような気がします。何匹もどじょうを追っかけていると、小さな子供は井戸やテレビは女が這い出てくるものだと勘違いしてしまうじゃないですか。

この映画を見ると、他人の咳に余計神経質になってしまいます。今、マクドナルドから更新作業をしていますが、一番向こう側にいる新入社員か就職活動中と思われるスキンヘッドの若者がさっきからゲホゲホとやっています。手を当てるぐらいしろよ…と思ったらおっさんでした。くちゃくちゃ音を立ててモノを食うおっさんも多いですし、これまで決して短くはない人生で誰にも注意されてこなかったのか、不思議でなりません。

キャビン・フィーバーは、結構前評判が高かったりしますが、これは「B級映画の割には」メジャー映画のように面白いということなのでしょう。綺麗なAV女優が芸能界に入ってもたいがいが売れずに元のサヤに戻ったり消えたりするのに似ています。この場合はどちらがB級ということもないんですが、やはり世界が違うんでしょう。B級映画とメジャーの差は、金をかけた分、話や映像の作り方が丁寧なところにあるでしょう。もちろん、全てに当てはまるものではありませんが、満足に資金をかけられないB級映画でもアイデアと丁寧な作りの作品が作られると、地方競馬から上がってくる競走馬のように「お、なかなかやるな」となるわけです。残念ながらキャビン・フィーバーはそこまでは届かなかったようです。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年4月25日
劇場:銀座シネパトス
観客数:19/200席
感涙観客数:なし
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定

ついでに紹介!

「真夏の出来事」です。1998年、メリーに首ったけの予想外のヒットでブレイクしたキャメロン・ディアスが、それ以前に出演した映画の中で最も魅力が引き出されていると思われる作品です。あとの映画は意味不明なものが多い。真夏の出来事は、猟奇的な内容ですが、怖さや出来は今二歩。マスクの頃の彼女は本当にたいしたことがなかったんです。メリー…の人気で後付けされた感じ。当時はジム・キャリーの映画という印象しかありませんから。今の彼女もたいしたことがなくなってしまいましたね…。

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