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March 28, 2005

アビエイター

CinemaX第33回目。

アビエイター
監督:マーティン・スコセッシ
製作総指揮:レオナルド・ディカプリオほか
脚本:ジョン・ローガン
音楽:ハワード・ショア
出演:レオナルド・ディカプリオ 、ケイト・ブランシェットほか
上映時間169分!
(公式サイトはこちら

先般のアカデミー賞で話題になったアビエイターです。頭の中では何故か、アレグリアの曲に合わせて「♪アビエイタ~」という単語がグルグル回っていた妙な印象を持っている映画です。これは吉兆か否か。みなさんもイメージして見てください。きっと脳裏から離れなくなるはず。
アビエイターは作品賞、主演男優賞を逃し、僕の保育園の先生に似ているケイト・ブランシェットが棚ボタで助演女優賞を受賞した良いのか悪いのか分からない結末でした。映画人による映画人のための賞がどれだけブレて当にならないかは、既に多くの人々が感じていることでしょう。
例えば、名作に挙げる人も多い「恋に落ちたシェイクスピア」「グラディエーター」の間に作品賞を受賞した映画、覚えていますか?そう、赤い薔薇の花びらだけが印象的だった「アメリカン・ビューティー」です。大本命が順当に受賞したりしなかったり、意味不明の映画が突然受賞するまさしく意味不明の映画ですが、こと日本人は「アカデミー賞全て良し」と信じる風潮にあるので、アメリカン・ビューティーの話に一生懸命入り込もうとして頭から煙が出た人も多かったことでしょう。平家にあらずんば…いや、アカデミー賞受賞作品の良さが分からなければ映画ファンではないとばかりに。
アカデミー賞の存在は、日本の映画ファンにとって悲劇です。あっちの人々は既に見た映画でも公開が遅れる日本では表彰式と時期が重なる映画が多いので、作品賞や主演男優賞・女優賞を逃したり何かすると日本では「面白くない映画」というレッテルを貼られてしまう風潮にあります。逃すならノミネートされないほうが観客動員が伸びたりするかもしれません。
そうなれば、日米同時公開を増やせという声も挙がりそうですが、それは、豪華スタッフ・キャストの割に失敗作を作ってしまい前評判が広がる前に集客してしまえ、という映画のための防衛作にも使われますから、そう簡単に実現はしないでしょう。それは「A.I.」じゃないかって?
ちなみに、「スターウォーズ・エピソード3」とバッティングする「宇宙戦争」も日米同時公開です。スピルバーグと日米同時公開という怪しいキーワードと意外に打率が低い(と思う)トム・クルーズの「宇宙戦争」に対して、かつて「物語は途中からが面白い」と公言しエピソード4から撮影したスターウォーズ(ということは、エピソード1~3はつまらんということになる)、共倒れだけはしないよう期待したいものです。既に前売券が出回っていますね。全国共通券はお早めに。

大きく脱線しました。
冒頭は、幼い頃のシーンです。母親のこの儀式がずっと影響するんですが、終盤で出てくるシーンでこのガキが言うセリフ「いい映画を撮りたい」「世界一速い飛行機に乗る」という類の発言は、冒頭に持ってこなければ意味がありません。このセリフがあれば、この主人公の破天荒な行動も貫通行動として成立することになります。特にハワード・ヒューズについての予備知識は日本人にはありません。米国人にはこんなシーンは必要ないかもしれませんが、ハリウッドがバカにならない日本の映画市場を見据えているなら、この程度の配慮はしてほしいものです。もちろん僕も予備知識はありませんから、最初の2時間(!)は単に無茶苦茶なことをする男の話としか思えませんでした。
その無茶苦茶な話も、本当に無茶苦茶なので理解できない部分が沢山ありました。潔癖症の癖に恋人とはキスをするゲンキンな主人公は、金にモノを言わせていろんなものを買収しまくりますが、この人がどれぐらいの資産があるのかがピンと来ない。米国人には必要がないかもしれませんが、例えば「自分はアメリカを買えるだけの財産を持っている」という具合にどれぐらい金持ちなのかを分からせて欲しかった。経理担当が困った困ったという端から、打出の小槌のように金を使いまくるのはどうにもリアリティに欠けるような気がします。

最初の2時間「D」

無茶苦茶な映画製作や飛行機作りも映像としては見応えがありますが、だから何なの?という感じです。映像で見せる割に、ニュース音声(?)のような解説が全部説明してしまう始末。まるで登場人物の行動や心中も全てアナウンサーが説明してしまうキャプテン翼みたいです。小中学校のサッカーの試合をわざわざテレビ中継するか、あほ。
ロッキードP-38ライトニングを思わせるXF-11偵察機の主人公の不時着シーンや怪物飛行艇ハーキュリーズのシーンもCGを含めて迫力はありましたが、だから何なの?という感じ。
その主人公は一旦発狂した割りにその後の公聴会で見事な論陣を張ります。この公聴会のシーンがこの映画の最も見所なのですが、上院議員などの強敵をこれだけ論破する男がつい最近まで部屋に篭り、独り言を言いながら小便を入れた牛乳瓶を並べていたとは信じ難いものがあります。
ドラマは心の変化といわれますが、この映画の登場人物の多くが話しに絡むような心変わりをしません。ケイト・ブランシェットが演じた元恋人は少し心変わりしたような感じもしますが、だから話が変わるということでもなく、彼女が主人公のもとに戻ってくるというわけでもありません。一方で主人公の心境は観客が追いつけないぐらいに変わったかと思えば、いきなり元に戻ったり。目に見えないはずの心の変化をどうやって映像やセリフで見せるか…そういう要素はこれっぽちもありません。

最終評価「C」

迫力のあるCGではなく、最も動きのない公聴会のシーンが見所という不思議な映画でした。ちなみに、ハワード・ヒューズが製作した「地獄の天使」「ならず者」のDVDが4月に発売されるらしいです。アビエイター効果以外に考えられませんが、この2本の映画をアビエイター以上に期待してしまうのは、僕だけでしょうか。
アビエイター、ボロカスに批評しましたが悲劇の偉人、ハワード・ヒューズに対する認識を広めたという意味では、存在意義のある映画かもしれません。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年3月26日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:80/549席
感涙観客数:若干
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定
こんな映画でも泣く人はいるんです。映画の受け側も十人十色ですね。いったい誰に感情移入したのでしょうか。

ついでに紹介!

劇中に登場する「地獄の天使」「ならず者」
世の中便利になりました。

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