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February 18, 2005

ネバーランド

CinemaX第29回目。

ネバーランド
監督:マークフォスター
出演:ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット
(公式サイトはこちら
(計測時間140分)

「さらっと」

前評判が高く、封切りから時間が経過しましたがやっと更新。
井筒監督は酷評、超映画批評では評価された作品です。
自分が見るまでに情報が入ると影響されないか何かと心配で
だったら試写や封切直後に見ればいいという理論になりますが
実は観た人が「ああ、そうなんだよねえ」と感想を共有出来る
ことも狙っていたりします。そんな感じでやります(どんな?)

20世紀初頭の物語です。映像を通じて当時の風俗(それは
意味が違います)や劇場の仕組みなどがちょろちょろと観ること
が出来ます。映像はロゴの雰囲気と同じく緑のイメージが強く
ゴチャゴチャせず観やすい映像でした。映像全体の雰囲気は
「恋に落ちたシェイクスピア」みたいな感じです。

未亡人役は、タイタニックでディカプリオを海中に沈めたケイト・
ウィンスレットです。この人は何故かブレイクしません。綺麗
なのですが華がない感じがします。声も暗いんですが、どうし
ても派手な役が似合わないのかもしれません。タイタニック号
で机の上に乗っかって踊るシーンは、上流階級の令嬢が
庶民の娯楽を楽しむというシーンですが肝腎の彼女がちっとも
楽しそうな演技ではなかった記憶が甦ります。よってテレビにも
不向き。ただ、こういう陰のある役はハマります。

ターン1までの評価「B」

この映画は評価が二分されます。あのガキが何をしたのかと
いえば、何もしていませんし、ジョニー・デップ扮する劇作家の
心が動いたかといえば、そうでもありません。最後にガキが
そういう素振りを見せるだけで、単に眺めているだけの映画
だったりします。それを心地良いとみるか、そうでないとみるか。

主人公の心が動かない映画はあります。テレビですが、踊る
大捜査線は、青島刑事の心が変わる訳ではなく、むしろ不変
ともいえる彼の行動に周囲が振り回され、変化していきます。
ネバーランドも同じような見方をすると、ガキを中心として周囲の
人間が変化する…といえばそうでもありません。キャラクターが
瀬戸際に立たされるような対立がない。葛藤がない。

まともに分析しようとすると、穴は沢山あります。まず劇作家の
生活状況が分からない。いきなり失敗からスタートするんですが
成功していたころの説明も必要。主人公と未亡人の生活レベル
の格差や主人公と妻の関係がどうしてこうなっているのかとか
そういう部分の説明がないと、何故壊れるのか、壊れるのを
止めないのかとか理解することが出来ません。細かいところ
を無視して眺めることが出来れば、この映画は楽しめます。

ターン2までの評価「B」

後半は登場人物の性格が崩壊、理解できる範疇外の行動を
繰り返します。せっかく対立しようとした部分も有耶無耶に
なったり、大団円に終わったりします。とにかく、登場人物の
誰もが気の利いたセリフを言わない。ということは、誰も心が
変化していないということでしょう。そんななかであのガキが
言った「ピーターパンはこの人」は、唯一ジーンとさせるセリフ
でしたが、その後の行動が支離滅裂。付かず離れずうざい。
最後は「何だ今ごろ」という感じです。

最終評価「B」

人が死ねば悲しい、子供が演技すれば可愛い。それを除いて
評価するとこうなりました。長所は映像が綺麗なことと上映
時間が長くないこと。さらっと観ることが出来ます。日曜日の
午後のような雰囲気をプンプンとさせるピアノ・レッスンのように
眠ったりすることもないでしょう(僕だけかもしれませんが)。

史実をヒントに製作された映画で、どこまでが事実かどうかは
分かりませんが、せっかく妻との対立があるのですから最後は
ここを解決しないと。劇場の裏でほっぺにチューでは苗を植えた
まま逃走する稲作農家です。話を盛り上げられるはずの愛人
(?)の母との対立もうやむや。あのガキとの壁も中途半端に
崩壊。史実がある映画は結局は事実に振り回されて話その
ものが崩れてしまいがちです。クイズ・ショウもエリン・ブロコ
ビッチも史実に振り回されてパワーダウンしてしまった感が
あります。事実は小説より奇なり。

黒澤明の映画は、そのほとんどが内容とかけ離れた原作が
存在します。「椿三十郎」の原作「日々平安」には、椿三十郎
そのものが存在しません。原作者の山本周五郎は、完成した
映画を観て「こんな面白い映画は、私の作品ではない」と
最初は原作使用料の受け取りを拒んだといわれています。
原作をヒントにするなら、面白さを追求してここまで改変する
必要があるでしょう。僭越ながら僕がもしネバーランドをいじる
なら奥さんとの対立をもっともっと引っ張り出し最後は奥さんに
「ネバーランド」を観せます。背景に対立がないと、最後の
シーンはどうしても引き立たないので。劇中のピーターパン役
の女性は綺麗でした。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年2月13日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:約40人/122席
感涙観客数:20人程度
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定

何度もいいますが、人が死ねば悲しいですし、子供が演技
すれば悲しい。この2つは飛び道具です。

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