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February 16, 2005

憤りはどこに

今日は出張先の小山市から、地震に揺られながら更新を
しています。自販機にコーヒーを買いに行って戻ると部屋が
ゆらゆらとゆれていました。阪神淡路大震災と同じような
時間帯ですが、やはりこのタイミングで大地震が来たら
ひとたまりもありません。

寝屋川市内の小学校で痛ましい事件が起きました。
要因については、さまざまな意見が飛び交っていますが
疑問に思うこともあるので取り上げてみました。

昨日行われた父兄への説明会で学校からの謝罪がない
ことに憤っている父兄がいたことが取り上げられました。
比率がどの程度かは分かりませんが…何ですかこれは。
職員を殺傷された悔しさは、事件後の校長による会見が
全てを物語っています。門扉を閉めていなかったことは
ある程度問題があったと思いますが「乱入」したわけでは
ないのでこの点は池田小の事件と根本的に異なります。

犯人は元担任を訪ねましたが、留守なので食事をして
再度学校へ戻っています。刺殺された教師が犯人を
職員室へ案内したのもOBという理由だからでしょう。
例えば、OBが訪れて恩師に会いたいと言われれば断る
理由はありませんし、大怪我をした教師と栄養士の2人は
手傷を負いながら非常ベルを押しました。これ以上の
対応を求めるのなら、校門に自動改札でも作り出入する
業者やOB、父兄を全て疑いこと細かくチェックしたり
1日あたり数万円をかけて警備員を立たせるような対応が
必要になります。警備員を立たせることは、抑止力の1つ
にはなるでしょうが、もちろん入口は正門だけではあり
ませんし、ある学校だけ特別にというわけにはいかない
ので単に警備強化による対応というのはあまり現実的だ
とはいえないかもしれません。
教師が殺傷されたことで心に傷を負った児童は少なくは
ないと思いますが、少なくともこれらの対応に対して謝罪を
求めるのは筋違いだと思います。煽ろうとする目的かは
分かりませんが、その意見をあえて取り上げるマスコミも
視点がズレているような気がします。

また、この事件はゲームの影響が指摘されていますが
それだけを理由にすることは全く意味がありません。
ゲーム業界はこの種のゲームを作る際は死体を残さない
人間ではなくゾンビなら殺しまくっていいなどと屁理屈の
ような自主規制でゲームを作ってきました。
かつてテレホビーといわれた家庭用ゲームは少なくとも
ここ20年ぐらいの文化なので、それ以降の残忍な事件
への関連性はゼロではないでしょうが、問題はゲームを
する人間がどう情報を消化するかだと思います。
犯人は小学校時代いじめにあったと述べています。
事実関係は分かりませんが、その後は不登校で人生を
大きく狂わされたことに恨みを抱いた犯行であるという
見方もあります。一方で当時の担任は恨まれる心当たり
がないと言い犯人の親も熱心に指導してくれたと教師を
評価しています。犯人の一方的な逆恨みの可能性も
ありますが、いじめという類のものは本来、大人の目に
つかないよう行われるものですから、実際に犯人の人生を
大きく狂わせるようないじめがあったのなら、大人と子供の
視点の差が多くの事件のカギになったと考えられます。
大人のちょっとした言動は子供に影響を与えます。
与えた側はその気がなくても受けては何かしら感情を
抱き続ける可能性もあります。かつては、このギャップを
埋めていたのが周辺の上級生や大人だったのでしょうが
都市化のなかで近所づきあいが希薄になり、そのような
機会は確実に減少しています。

携帯ゲーム機が相次いで発売されるなどゲーム業界は
競争が加熱しシェアを拡大するために各社がアイデアを
凝らした刺激的なゲームの開発が進められています。
一方でそれらの刺激的な情報を処理する能力が備わって
いない子供たちがゲームを行い、都合の悪いことは学校や
塾に任せきりで、自分の子供は「良い子だ」と信じて止ま
ない親は子供たちの変質に気づかない…そういう構図も
あるのかもしれません。殺人はいかなる理由も許されま
せんが、これらの事件に対して、短絡的に警備強化や
ゲームの規制強化に決着しないよう祈るばかりです。

学力低下に一貫して危機感を唱える中山文科相は
ゆとり教育の見直しを打ち出しました。一説には骨抜き
教育でバカな国民を増やしエリート層が利益を吸い取る
ことが目的ともいわれるゆとり教育は、受験戦争以上に
様々な弊害を生んでいます。ゆとりを求めても足並みが
揃っている訳ではないので、学習塾は盛況で私立学校は
その間隙を縫って生徒の学力をせっせと上げ結果的に
エリートへの抜け道を作ってしまういびつな構造を作って
しまいました。そもそも教える側の教師がゆとり教育を
受けていない訳ですし、時間があると過保護な親は子供を
学習塾に通わせ、干渉しない親の下では子供たちが伸び
伸びと青空の下で遊ぶわけでもなくゲームに没頭してしまう
わけです。より近所づきあいの機会は減少してしまいます。
ゆとり教育の見直しは何らかの変化を生むきっかけになる
かもしれません。
ゲームは、種類によっては達成感を味わうことや情操教育に
似たような効果もあると思います。IT業界に関心を持つような
入口となることもあるでしょう。犯人は幼い頃、将来はゲーム
雑誌の編集やゲームの開発に夢を抱いていたようです。
ゲームに没頭していた子供が抱く夢としては、決して不純で
はない。その彼が何故凶行に及んだのかを冷静に分析する
必要があるでしょう。マスメディアによる報道が犯人や被害者
のプライバシーの掘り返しだけに終わらないことを祈ります。

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Comments

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Posted by: Leonida | June 03, 2014 at 12:29 AM

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