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January 23, 2005

カンフーハッスル

CinemaX第27回目。

カンフーハッスル
監督:製作:脚本:チャウ・シンチー
出演:チャウ・シンチー、ユン・ウー、ユン・チウ
(公式サイトはこちら
(計測時間115分)

「ある意味、ありえねー!」

チャウ・シンチー監督・主演作品。殆どノーマークで放映
され口コミで話題が広がった少林サッカーの人です。
前回とは違い、期待MAXで封切りのカンフーハッスル。
正月映画第一弾というところからもどれほど期待が込め
られているかが分かります。果たして、その期待に応え
られたかどうか…考えてみましょう。

長い予告を追えいよいよ本編スタートです。予告の時間
は最近少し短くなったような気もしますが、気のせいで
しょうか。予告は、次の参考になるという人もいますし
何を観に来たのかわからん時間がもったいないとご立腹
のお方もいます。一番腹立たしいのは、予告を見越して
遅れて入場する奴。ちなみにアレキサンダーの予告は
2度流れました。詳しいことは分かりませんが、ワーナー
マイカルの場合は最初のロゴが出る時の映像と音楽が
激しく痛んでいて、その後のロゴ(ポップコーンミサイル?)
はそうでもないことを考えると、予告映像には館ごとの
ものと本編にくっついたものがあると推測できます。
ま、どうでもいいですかね。

本編はずっと痛い映像です。幼い頃ブルース・リーの
映画を観て「ああ、映画って本当に人を殺しながら作る
んだ」とショックを受けた記憶があります。カマが尾骨の
上をえぐる映像でした。カンフーハッスルも暴力的な映像
が随所に出てきます。それでも直接的な表現を避けて
いるのは時流に合わせたのかもしれませんが、カンフー
というのは、視聴者側の暴力に対する嫌悪感をある程度
寛容にする材料にはなるようです。相手の顔をボコボコ
殴るシーンもカンフーなら許される部分があります。いくら
やられても生き返りそうという雰囲気があるからかもしれ
ません。そういう部分では、少しプロレスに似ています。
あれだけ相手を痛めつけるのに、暴力を助長するなどと
いう論調に発展することはまず、ありませんし。

冒頭は、蝶ががひらひらと舞います。フォレストガンプの
オープニングを思わせる優雅さです。豚小屋砦(あって
ますか?)までのシーンは立体的で、引き込まれます。
CGやワイヤーによるアクションはかなり見所ですが少し
度が過ぎた感じもします。少林サッカーの時は数週間も
空中に飛んだままの立花兄弟などキャプテン翼による
派手なサッカーアクションの土壌があるのか、ある程度
無茶苦茶なことをしても「もしかしたら、出来るかもな」と
思ったものですが(そんなことないか)カンフーハッスル
は少し飛躍しすぎている感じもします。

主人公は、最初は善悪で言えば悪の立場にいます。
あまり喋りすぎるとネタバレしてしまうので避けますが
ここから善の立場に変わるところがドラマなわけです。
少林サッカーには薄かった要素です。きっかけは少女を
救った経験なのですが、この重要な部分を端折ってしま
います。アメ、ラムネなど小道具が利いているだけに
もったいない。その他のエピソードも話の流れはよく
分かるのですが、どうしても説明不足が目立ちます。
主人公は何故、ケガをしてもすぐに治るのか、達人に
よる修行であるにしろ短期間にどうして強く慣れたのか
そのあたりを説明する要素がないと観客はなかなか話
の中に入り込めないのではないかと感じました。

アクション以外の見どころは、前述ですが豚小屋砦まで
のシーンに代表される立体的な重なりや、後半に出て
くる蝶の脱皮、羽ばたき、花など小道具を巧みに使って
折り重なるシーンは見物です。特に蝶はモンタージュに
使われていることに加え、冒頭のシーンを思い起こさせ
ます。僕は「へえ、モンタージュか…蝶?あっ、冒頭の
シーンか」とノリツッコミみたいな思考プロセスを辿って
しまいましたし。映像の作り方は上手い、でも構成は…
といった感じでしょうか。

カンフーハッスルは、眺めるだけだと非常に楽しい映画
ですが、そういう観方をするのなら少林サッカーのほうが
もっと楽しめます。幼い頃に救った少女のエピソードなど
感動させる要素のほか、達人の経歴など話を盛り上げる
要素がたくさんあるのに、そういうものをバラまくだけで
拾おうとしない。これだけ派手な映画なので、泣かせる
要素があれば効果絶大です。例えば、個々のエピソード
を膨らませたり、対立の構図をもっと早い段階で濃く取り
上げるなど描き方は沢山あるように感じました。なのに
肝心なところを端折って、派手なアクションに時間を割き
すぎるように思いました。この間のゴジラとは逆です(笑)

最終評価「B」

もったいないなあ、の一言です。チャウ・シンチーは男の
魅力に溢れる人物なので、決して消えることはないで
しょうし、この映画も外れてはいないので、少なくとも日本
では、アクション映画の監督としての知名度は確保して
いるといえます。このままでも観客を集めることは出来
ますが、もう少し上を狙うことも出来るでしょう。カンフー
ハッスルは、アクションをウリにした映画ながら、それが
仇となって期待を裏切られた感もあります。例えば熱狂的
なジブリファンの方々のように「チャウ・シンチー全て良し」
とする人なら別ですが、アクションに足元を救われた感が
しなくもありません。極端に言えば、「レオン」に日本中が
感動しリック・ベッソン全て良しという風潮が確立しようと
した中で放映された「フィフスエレメント」を観て、何じゃこれ
と劇場で口を開けて観ている観客の心理です。カンフー
ハッスルの観客は、派手なアクションを期待して来たはず
ですが、僕にとってはアクションが荒唐無稽すぎて派手に
やればやるほど取り残される感じがしました。思えばいつ
の時代の話かも分からないまま話が進んでいましたし。
盛り上げどころや散らばりすぎたエピソードの取捨など基本
的な部分を整理するだけで監督としてのチャウ・シンチーは
大化けしそうな感じもします。これだけの追い風を受けて
いる人ですから、人材を揃えてアドバイスを仰ぐぐらい容易
いことだと思うのですが。逆に追い風を受けているからこそ
難しいといえるかもしれませんね。今後に期待します。

~鑑賞メモ~
鑑賞日:平成17年1月23日
劇場:ワーナーマイカルシネマズ板橋
観客数:39人/182席
感涙観客数:検出不能
※感涙観客数は観客の鼻すすり音で推定

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